からだに自信あり?それじゃ歯は?アスリートの歯を守りたい!

 トレーニングに励んでいるアスリートのお口って、プロやアマチュアを問わず、むし歯や歯周病になりやすいって、ご存知ですか。これにはアスリートならではの理由があります。バレーボール日本代表のメディカルチームの一員として、選手の皆さんを歯科の立場からサポートさせていただいている経験から、お話ししましょう。

 

アスリートはむし歯になりやすい!

–—–—–そう聞くと、驚くかもしれませんね。でもこれ、本当のことです。運動中は口で呼吸をするので、お口の中がカラカラに乾きますよね。唾液には本来、むし歯になりかかった歯を修復してくれる「再石灰化作用」があるのですが、唾液が乾くとむし歯のリスクが高くなってしまうのです。

 また、たくさん汗をかくと唾液の分泌自体が減りますし、疲れと空腹で糖分を摂りがちなことや、練習でヘトヘトになって就寝前の歯みがきがおろそかになりやすいことも理由と考えられます。

 

アスリートは歯ぐきが腫れやすい!

 アスリートはからだが丈夫というイメージがあります。たしかに皆さん強靭な肉体をおもちですが、体力ギリギリまでトレーニングを積むと、からだは傷んだ組織の修復で手いっぱい。そのため免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなる可能性が指摘されています。

 風邪やインフルエンザだけでなく、歯ぐきが腫れる歯周病も、お口の中の細菌が炎症を引き起こす感染症。ですからアスリートは、歯周病にも注意が必要なんです。

 

アスリートこそしっかりと予防を!

 では最後にアスリート向けに歯の健康を守るポイントをご紹介します。

 ・毎晩歯みがきを欠かさずに。

 トレーニングで疲れて、つい歯みがきをせずに寝てしまう。でもそうすると、お口の中は朝までむし歯菌や歯周病菌の楽園に。眠くてもファイト!毎晩歯みがきを。

・スポーツドリンクと賢くつきあう。

 スポーツドリンクは酸を多く含むため、長期間飲む続けると「酸蝕症」という歯が溶ける病気のリスクに。エナジードリンクやビタミン飲料、柑橘類やクエン酸も同様です。飲んだ後は水でお口をすすぐなどして、酸を洗い流すようにしましょう。

・半年に一度は歯科医院へ。

 スポーツに打ち込んでいると毎日忙しく、オフの日も歯科医院に足が向きづらいもの。でもアスリートのお口は、むし歯や歯周病、酸蝕症のリスクにさらされています。ぜひ半年に一度は歯科医院で健診を!

引用参考文献:nico 2019年5月号

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「ケガ予防&パフォーマンスアップ!お役に立ちます。スポーツマウスガード」

 

大切な歯や口、あごを守るために!

 学校のクラブ活動や、地域のクラブチームに入って、指導者のもと本格的に練習や試合をしている子どもたち、増えていますよね。世界的に活躍する選手に憧れ、一生懸命なお子さんも多いことでしょう。じつはスポーツ中に起きるケガの10〜20%が口や口の周りのケガで、ことにサッカー人口が急速に増え始めてから目立つようになりました。

 口のケガといってもいろいろで、口の中を切ったり、ぶつかった衝撃で歯が欠けたり、歯がグラグラしたり抜けたり、ひどい場合はあごの骨が折れてしまうこともあります。また、口やあごをぶつけた衝撃で脳が激しく揺れ、脳しんとうを起こして、めまいやふらつき、ときには意識がなくなることがあります。脳を支えている首がまだ十分に鍛えられておらず、食いしばって衝撃に耐える力も弱い年齢のお子さんの場合はとくに、サッカーのヘディングが与える脳への影響も極力減らしたいもの。そうしたときに役に立つのがスポーツマウスガードです。

衝撃緩和&パフォーマンスアップ?!

 歯科で歯型を取って製作するスポーツマウスガードは、ピタッと合うので使用感の良いものです。衝撃吸収能の高い材料で歯をおおうことで、スポーツによる外傷を減らします。また、マウスガードを入れることで噛み合わせの面積が広がり、噛み合わせが安定するため、グッと強く噛むことができ、その結果、首がしっかりと固定されやすくなって、脳しんとうの軽減に役立つことがわかっています。

 噛み合わせがよく、しっかり噛めることによって、脳への衝撃を減らせるだけでなく、からだのバランスがよくなります。そのうえ、グッと噛んだときに脳に伝わる情報が大きいので、「大きな刺激が来た!さあこの刺激に見合うだけの筋力を出せ!」と脳が筋肉に指令を出します。つまり、健康な歯をもち、よい噛み合わせでしっかり噛めると、それだけで運動能力の向上にとても有利なのです。

 アマ・プロを問わず、多くのアスリートが実感しているマウスガードの効果。お子さんだけでなく、大人の方もぜひ試してみてください。

 まだ体格が完成されていない子どもたちが、健康的にスポーツを楽しめれば、結果的には、その素質を将来に向けて伸ばすことにもつながるのではないでしょうか。「安全に」「健康的に」という基本を忘れずに、これからもスポーツをおおいに楽しんでください。

引用参考文献:nico 2015年11月号

子供の歯の健康とスポーツ

運動能力が十分に発揮できるようになるためにも、子供のころから歯を大切にすることが重要です。

また同時に、スポーツ時の事故などで歯を失わないように予備知識も重要です。

以前の小学生対象に運動能力テストと咬合状態の関係について調査したところ、

     「  運動能力が優れている人の方が咬合力も大きい  」

という傾向があることが分かりました。

またスポーツ時によく飲まれるスポーツ飲料には、汗で失うことの多い電解質のほか糖分も多く含まれているので、むし歯予防のためには注意が必要です。

さらに子供が歯を失う原因として意外に多いのが、ケガによるものです。

スポーツ時には相手とぶつかったり、転んだり、スポーツ用具にぶつけたりといった事故が多いようです。

万が一、ケガで歯が抜けてしまっても、できるだけ早く抜けた歯を持って歯科医院を受診すると状態によっては歯を再植固定する治療で元に戻すことが可能な場合もあります。

          『  ケガで歯が抜けたときの対処法  』

①.抜けた歯をさがす

②.歯の根っこにさわらないようにして、流水で30秒以内で洗う。(欠けた歯もあれば袋などに入れて持っていく)

③.抜けた歯を牛乳(低脂肪乳やミルクは不可)もしくは歯の保存液や生理的食塩水に入れて保存。(*牛乳などがない場合は、短時間であればだ液につけてもよい)

④.歯を持ってすぐに歯科医院へ

( 今回の内容は8020推進財団の 『 歯を大切にしてスポーツを楽しく 』 のリーフレットを参考に記載しています。 )