ただの当座の歯と思ったら大間違い。知ってる?仮歯のだいじな役割

 歯の根の治療中や被せ物の製作中など、治療している最中の歯にかぶせる「仮歯」。取れやすく割れやすいので、患者さんにとってはやっかいな歯かもしれません。

 でも仮歯には、治療のクオリティを上げ、患者さんの歯を守るだいじな働きがあります。仮の歯だからどうでもいい?いいえ、決してそんなことはないんです!

 

良質な治療のための“仮歯の3大役割”!

 なぜそんな仮歯がだいじなのか、その訳をご説明しましょう。仮歯は大きく分けて3つの役割を担っています。

  • 削った歯を細菌感染や刺激から守る。

仮歯をつけずに放っておくと、そこにプラーク(細菌のかたまり)がくっつき、被せ物をかぶせる土台の歯がむし歯になってしまいます。仮歯は細菌の感染や知覚過敏から、包帯のように歯を守るのです。

  • 歯が動かないように固定する。

歯を放っておくと自然と動きます。仮歯を入れておかないと、空いたスペースに隣の歯が倒れ込んできて、本番の被せ物がピッタリ入らなくなることがあります。

  • 歯根膜の感覚を維持する。

仮歯が入っていないとその部分で噛むことがないので、歯の根の周りにある、噛む力を感じるセンサー「歯根膜」が怠けます。すると、いざ被せ物を入れたとき「当たりすぎ!」と噛む力に過剰に反応してしまいます。そこで本番に備え、仮歯を使って、噛む感覚を忘れないようにします。

 

仮歯をだいじに使うコツって?
・硬いもの、くっつくものは我慢。

 仮歯が取れたり割れたりしないように、硬い食べ物は避けましょう。グミやガム、キャラメル、おもち、求肥の和菓子などのくっつきやすい食べ物はよくありません。しばらくのあいだ我慢を。

・取れたらすぐ連絡を!

 仮歯が取れて1週間もたつと、歯が動いて本番の被せ物が入りにくくなります。もし取れたら、すぐに歯科医院にご連絡を。

・お掃除はていねいに。

 仮歯は、本番の被せ物ほどピタリと調整されていません。歯ぐきとの境目に汚れが溜まりやすいため、ていねいな歯みがきを。ただし、フロスや楊枝は仮歯に引っかかってしまうおそれがあるので使わないで。

 

 せっかく被せ物を入れるなら、お口にピッタリ収まって噛み心地の良い方がいいですよね。そのためには、本番の被せ物ができあがるまで、仮歯を壊さないように上手に付き合ってください。治療をより良いものにするために、ご協力をお願いします。

引用参考文献:nico 2019年7月号

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二次カリエス(むし歯)の原因【つめもの】

治療したからといって安心は禁物!
むし歯になってしまった場合、むし歯の部分を削って「 つめもの 」したり、型取りをして銀歯を製作したりなどして歯を元の形に修復します。
むし歯は治療したからと言って「 もう安心! 」というわけではありません。

実は、むし歯は治療した箇所こそ注意が必要!

なぜなら、「 つめもの 」をしたところは、さまざまな理由により再びむし歯になってしまうリスクが大変高いのです。

こうしてできてしまうむし歯を「 二次カリエス(むし歯) 」といいます。

➀.そもそもむし歯になりやすいところである

一度治療したということは、その部分がもともとむし歯になりやすいところであるともいえます。

例えば、むし歯の原因となる歯垢(プラーク)がたまりやすかったり、あるいは

ブラッシングしにくい部分であることが多く、再度むし歯になってしまう可能性が高くなります。



②.「 つめもの 」は形がとても複雑

歯はとても複雑な形をしています。

もちろん、つめものを製作する際には、できる限りぴったりと隙間が少なくなるように製作します。

しかし、つめものは複雑な形状になりやすいため、完全に隙間をなくすことは非常に困難。

さらに、長年の使用などによるすり減りねどによて、少しずつ段差や隙間ができてしまいます。

こうしたすき間にむし歯菌が入り込むことによって二次カリエスとなってしまうのです。

③.接着剤が少しずつ溶けていく

つめものは特殊な接着剤でしっかり接着されています。

この接着剤はそれ自体が隙間をるようになっていますが、お口の中で長年使用していると、どうしても接着剤が少しずつ溶けだしてしまいます。

そこにすき間ができ、歯垢(プラーク)がたまって二次むし歯になってしまいます。

※ 以上のように一回削って治療した部位は、むし歯になりやすいため処置する前以上にブラッシングは特に要注意です!

歯の詰め物イマドキいろいろ図鑑

 国内で使われている代表的な詰め物の材料には現在、いくつかの種類があり、患者さんのご希望や歯の状態に合ったものが選択されています。軟らかめのもの、硬く丈夫なものなど、それぞれ長所と短所があるので、見た目だけでなく、むし歯の大きさ、前歯か奥歯か、噛む力の強さなども考慮して、選択されています。

 

即日治療終了。コンポジットレジン

 「コンポジットレジン」のいちばんの強みは、詰めるために歯を削る量が少なくて済むこと。詰め物が取れにくいように、余分に削ってはめ込む必要がありません。

 ただし、着色しやすいこと、大きな治療や、強い力がかかる歯の治療が苦手という弱点も。軟らかいので、使っているうちに削れたり崩れたりすることもあります。とはいえ、軟らかいぶん周りの歯にも優しく、安心しておすすめできる材料です。

 

おなじみの金属。耐久性は太鼓判!

 「金銀パラジウム合金(金バラ)」は耐久性に定評あり。ただ、歯より格段に硬いので、この硬さが歯の負担となることも。歯が自然と咬耗していくのに対して、この金属は変わらないので、歯と詰め物のあいだに段差ができ、そこに汚れがたまると、新たなむし歯の火種となってしまいます。

 「金合金(ゴールド)」は、いわゆる「金歯」のこと。今でもなくてはならない貴重な歯科材料です。というのもゴールドは、金箔をつくれるほど粘りがありしなやかなので、ピタリと歯になじみ、歯といっしょに咬耗し、しなってくれます。そのため歯と段差ができにくく、周囲の歯質も傷みにくので、保険の金バラとくらべると、長期的にみて格段に歯によいのです。デメリットは、目立つことと高価なことですね。

 

人気のセラミック。さらに割れにくく!

 「セラミック」とはそもそも「陶材」のこと。透明感がありきれいで、プラークもつきにくく変色しないかわりに、お茶碗のように欠けやすいのが難点でした。しかし、最近は歯と同程度の曲げ強度のある新材料「e.max(イーマックス)」が登場し、この弱点は改善傾向にあります。

 以前は耐久性の点から、強い力がかかる奥歯にはおすすめできませんでしたが、この新素材が登場してからは、だいぶ適用範囲が広がりました。

 

 「nico」2017年5月号では、上記以外にもさまざまな詰め物を写真つきで解説しています。詰め物について疑問に思ったら、ぜひ手に取ってみてください。

引用参考文献:nico 2017年5月号

付録ダウンロードはこちら

「接着技術でここまでできる。レジンの治療、いろいろ図鑑。」

 

 

 

 

 

 

白い治療の魅力って?

 白い詰め物の治療として知られるコンポジットレジン修復。いまや、接着技術を用いたこの治療法なしでは患者さんのご希望に応えることができないほど、歯科治療にとって必要不可欠な治療法になっています。

 患者さんにとってうれしいメリットは、なんといっても詰め物が目立たないこと。しかも、その日に治療が終わります。

 コンポジットレジンを使う治療では、材料を直接歯に詰めたり盛ったりして修復します。そのため金属やセラミックの詰め物のように、型を取って制作する必要がありません。型取り後、装着のために再度来院せずにすみ、白い治療がその場ですむことはコンポジットレジン修復の大きな魅力でしょう。

 そしてもうひとつ大きなメリットがあります。それは、みなさんが苦手な、歯を削るキーンというタービン音をあまり聞かなくてすむことです。

 コンポジットレジン修復では、接着技術という、歯と材料がピタリとくっつく方法を使います。詰め物が取れないように穴の形を削って拡げる必要がなく、削る量をぐっと少なくすることができます。治療後の歯の寿命にとってよいのはもちろん、歯医者嫌いの元凶になっている「歯を削る音」を最小限に抑えられるのです。こうした特徴をもつ治療は、じつは現代が生んだハイテク材料に支えられています。

 

定期的なメインテナンスで治療長持ち!

 材料の成熟とともに、治療の裾野は一気に広がりました。現在では、小さなむし歯の治療から、かなり大きく欠けた歯を審美的に修復する治療まで、幅広く用いられています。

 このように応用範囲が広いコンポジットレジン修復ですが、残念ながら欠損やむし歯の病巣の範囲があまりに大きいと、きちんと歯を削って被せ物をするなどして治療する方法を選択したほうが適切な場合もあります。

 そこで、大きな治療が必要になるまで放置をせず、より小さな治療ですむように、また新たな治療が必要にならないように、治療後は定期的なメインテナンスをはじめましょう。日ごろから歯科医院でクリーニングを受けていると、治療後のきれいな状態が長続きします。また修復箇所の摩擦など、ご自分では気づくのが難しい治療後の変化をチェックしてもらうことができます。必要なときには修理をしてもらい、コンポジットレジンを用いて治療した歯を長く使い続けていってください。

引用参考文献:nico 2013年11月号

「知りたい!むし歯の詰め物」

ニーズに応える治療法って?

 天然歯の健康美を大事にしたいというかたが近ごろ増えているなと実感します。診療室においでになる患者さんも「痛くない治療を」というだけでなく「できるだけ削らない治療を」「白く自然に見える治療を」と、積極的に要望する時代になりました。

 そんななか、患者さんのニーズに応えて、歯科治療も劇的に進化しつつあります。小さなむし歯の詰め物の治療に用いられてきた、アマルガムという長い歴史をもつ金属の充填材の国内生産が2006年に終了。それに替わる修復材として、コンポジットレジンというプラスチックとセラミックからできた白い歯科材料を用いた充填材が、急速に広まっているのです。

日本生まれのハイテク素材

 従来使われてきたアマルガムやインレーと根本的に違うのは、接着材を修復する歯に塗ることによって、歯に浸み込んだ接着材とコンポジットレジンがバッチリ接着する点です。従来の歯の詰め物は、確実に機能させるという究極の目的のために、その詰め物(充填材やインレー)を取れにくい形に作り、歯をそれに合う形に削ってはめ込む必要がありました。でも歯と直接接着してくれるならその必要はありません。あまり削らないですむ分、治療の痛みは軽減されます。しかも目立たない色で修復できます。みなさんの理想とする歯科治療が、部分的にはすでに実現されているのです。

治療法ごとに、症例に限界も

 ただし、コンポジットレジン充填は、技術的にたいへんハードルが高い治療のため、適用可能な症例が限られるのが残念なところです。たとえば、歯の外形が壊れてしまっているような場合。白い材料を盛り上げて歯の形を作り上げるとなると、それはまるで、ミクロの彫刻家の仕事になります。

 お口のなかはもともと、ほんの細い髪の毛が入っても不快でたまらないほど鋭敏です。そんな場所にある歯を精巧に修復するには高度なスキルが必要です。しかも、作業しにくいお口のなかで、限られた時間で作り上げなければならないのですから、なかなか難しい治療なのです。

 しかしこうした技術を、日本人ならではの器用さと忍耐力、そして集中力で習得した歯科医師が最近急速に増えています。

 とはいえ、あまり大きなむし歯にはクラウンの治療が適用となり、コンポジットレジン充填が可能な場合でも、大きな治療では自費治療になることがほとんどです。小さな治療をご希望なら、受診はお早めに。定期的に歯科健診を受けていると安心です。

引用参考文献:nico 2012年9月号

詰め物・被せ物が入らないときは。。。

歯医者さんで、この前型を採ったので

 “ 今日は詰め物や被せ物が入る日 ”

っていう場合に、歯医者さんで予定と違う場合(今日はセットしてくれなかった)ってあると思います。

この場合に患者さまの立場としてはどう考えるのでしょうか?

まず、原因としてはいろいろなことが考えられます。

1.歯型を採るときのエラー

2.石こうという模型をつくる材料を歯型に流すときのエラー

3.模型上で詰め物、被せ物を製作するときのエラー

などで入らない場合などです。このエラーが調整の範囲内であれば、セット時に入る場合がほとんどです。

ただ、やはりわずかな頻度で、このままセットすると詰め物や被せ物とのすき間が大きくなり、2次的にむし歯になりやすくなることが考えられる場合は、当医院では現状を説明します。

 “ 模型上ではこのようにピッタリなのですが、お口の中で合わせると、ほんの少しのすき間ですが、2次的にむし歯になる可能性がありますので、申し訳ないですが、再度型を採って仮のふたをして、次回セットしていきます ”

・・・と。

ただ、この場合でも患者さまは

  ここは下手なんだ~

と感じられる方もいらっしゃると思います。

それは確かにエラーがあり、患者さまにご迷惑がかかっているのですが、患者さまのことを考えてのこの現状での最善の処置として行っています。

少しのすき間くらいならセットしてしまえば分からないからいいか、という考えが自分として最も嫌なことなので。。。

少しでも自分の考えが伝わっていただけるとありがたいです。

詰め物・被せ物が入らないときは。。。

歯医者さんで、この前型を採ったので

 “ 今日は詰め物や被せ物が入る日 ”

っていう場合に、歯医者さんで予定と違う場合(今日はセットしてくれなかった)ってあると思います。

この場合に患者さまの立場としてはどう考えるのでしょうか?

まず、原因としてはいろいろなことが考えられます。

1.歯型を採るときのエラー

2.石こうという模型をつくる材料を歯型に流すときのエラー

3.模型上で詰め物、被せ物を製作するときのエラー

などで入らない場合などです。このエラーが調整の範囲内であれば、セット時に入る場合がほとんどです。

ただ、やはりわずかな頻度で、このままセットすると詰め物や被せ物とのすき間が大きくなり、2次的にむし歯になりやすくなることが考えられる場合は、当医院では現状を説明します。

 “ 模型上ではこのようにピッタリなのですが、お口の中で合わせると、ほんの少しのすき間ですが、2次的にむし歯になる可能性がありますので、申し訳ないですが、再度型を採って仮のふたをして、次回セットしていきます ”

・・・と。

ただ、この場合でも患者さまは

  ここは下手なんだ~

と感じられる方もいらっしゃると思います。

それは確かにエラーがあり、患者さまにご迷惑がかかっているのですが、患者さまのことを考えてのこの現状での最善の処置として行っています。

少しのすき間くらいならセットしてしまえば分からないからいいか、という考えが自分として最も嫌なことなので。。。

少しでも自分の考えが伝わっていただけるとありがたいです。