ミネラルパックってどういうもの?

今までの虫歯予防では、フッ素についてが主な予防でよくお聞きしたことはあると思います。

よく聞く “ 虫歯 ”

というのは歯に穴があいて着色などがある状態をいいますが、実際は口の中では目に見えないレベルで

    歯が溶けて虫歯ができ、それを修復する

ということが毎日繰り返し行われています。

これが歯の

「脱灰(だっかい)」と「再石灰化(さいせっかいか)」

と言われるものです。

歯の表面のエナメル質はほとんどが

「 カルシウム 」 と 「 リン 」

というミネラル成分ですが、これらはごく弱い酸性度(pH5.5)で溶け出してしまいます。

で、食事をしたり、甘い飲み物を飲んだりすると、口の中に生息している虫歯の原因菌が糖分を取り込み、分解して酸を生成します。
この酸によって、歯の表面からミネラル成分が溶け出してしまうことを「 脱灰(だっかい)」と言い、この状態が続くと本格的な “ 虫歯 ”ということになります。

通常、この「脱灰」を食い止める役割を果たすのが、

唾液(だえき、いわゆる“つば”)  です。

酸を洗い流して口腔内を中性に戻すばかりでなく、唾液中に含まれるカルシウムやリンなどのミネラル成分が、歯に取り込まれて修復することの「 再石灰化(さいせっかいか)」に重要な役割を担っています。

もちろん、この「脱灰」と「再石灰化」のバランスが保たれていれば、虫歯はできないはずですが、

歯が酸にさらされる時間や回数が多い

と、歯の「脱灰」の状態が続き、「再石灰化」が追いつかないので、虫歯が進行してしまうのです。つまり、

①.3度の食事以外に間食をする回数が多い人や、
②.糖分を含んだ飲み物を飲む機会が多い人、
③.唾液の分泌量が少ない人

などは、虫歯のリスクが高くなります。

また、柑橘系のジュースやお酢などは酸性度が強く、歯を脱灰する要因になるのと、ビール、ワインなどのアルコール類も酸性なので長い時間をかけて飲むと脱灰のリスクを高めることになってしまいます。

では、虫歯予防に重要な再石灰化を促す環境を整えるのには、必ず食後の歯磨きを行い、口の中に酸を作るための糖を残さないことです。
また、虫歯菌の塊であるプラークやそれが固まった歯石を徹底的に除去するために定期的に歯科医院でのクリーニングを受けることも効果的です。

より積極的に再石灰化を促すには、このミネラル成分を歯に浸透させる

“ ミネラルパック ”  

という方法が最近注目されてきています。

これはガムの名称でもおなじみの、牛乳由来成分である

CPP-ACP(リカルデント)を配合した「 MIペースト 」というものを歯に直接塗布する方法です。

この「 MIペースト 」には唾液と比べると、はるかに高濃度のカルシウムとリンが含まれていますので、「脱灰」によって失われたミネラル成分が効率よく歯に再吸収されます。

使用方法も簡単で、まず歯磨きを行い、口腔内を清潔にした後綿棒や歯ブラシなどを使って歯全体にペーストを塗布するだけで、10分~30分程度したら軽くゆすいでもいいですが、できればそのままがいいです。
またこの時の歯磨き時にフッ素配合の歯磨き粉を併用すると一層効果が上がります。

この“ ミネラルパック ”により

①.通常よりも再石灰化が促進
②.口腔内が酸性になりにくい状態を維持できる
③.知覚過敏の症状緩和

などの効果があります。

これまでの虫歯予防といえば、歯磨きによって糖た虫歯菌を取り除き、唾液により再石灰化されるのを待つしかなかったですが、“ ミネラルパック ”により虫歯になりにくい丈夫な歯を作るために必要なものを補給するケアという「攻めの予防、新しい時代の予防法」ができるようになっていくと思います。

このMIペーストは当クリニックでも販売もしていますし、フッ素塗布時に一緒に処置することも可能です。

また、使用方法などで分からないことなどもご相談下さい。

キシリトールでの予防は???

むしば予防ってきくと、なんだか難しいような気がしませんか?

もちろん、毎日の歯磨きや間食での砂糖の摂りかたなどストイックなものが多いですよね!

ただ、キシリトールは家事をしながらでも楽に摂る事はできますので、最小限の努力で最大の効果もあります。

以前の研究で発表されたものに、

“妊婦さんが毎日4回以上キシリトール100%ガムを摂ると生まれてくる赤ちゃんへのむし歯菌感染予防の効果は高い”

という発表もあります。

また、最近の発表では

“13ヶ月間キシリトールガムを摂り続けた後中断しても、その後の15ヶ月間は効果が持続する”

というものもありました。

つまり、赤ちゃんへのむし歯菌の感染経路としてスプーンの共用や食べものの口移し、キスなどもよく言われていますが、お母さんが予防を頑張っても、お父さんだって、お子さんには愛情表現でチュッとしたい、おじいちゃん・おばあちゃんも同じスプーンでご飯を食べさせたいと思うはずです。

それを 「あげないで!!」 なんていえば

人間関係もギクシャクしてしまうのでは???

それで、感染経路を完全にシャットアウトすることは物理的に難しいですが、キシリトールを上手に活用して、悪玉ミュータンス菌を移してもいい善玉ミュータンス菌にしちゃえば、

「あれもこれも大丈夫ですよ^^」

と発想転換できると思います。

そうすると、自分だけでなく大切な人もむし歯菌から守ることができるので、妊婦さんにとっても家族にとっても無理せず周囲をハッピーにできる最適な予防法だと思います。

摂取の仕方で分からないことなどは、医院内で遠慮せずにご相談下さいね^^

フッ素入りの歯磨き粉ってどう?

またまた久しぶりになりすいません^^

以前からの続きで今回は  

“ フッ化物配合歯磨剤 ”   についてです。

簡単に言うと、タイトル通り

“ フッ素入りの歯磨き粉 ”  です。

これを使っての予防は、いつもの歯磨きに追加するだけで簡単に実行できる方法ですが、使用方法によってはほとんど効果を発揮しないこともあります。

まず、見分け方としては歯磨き粉の裏面などに記載されている成分表を見て、薬用成分の欄に

    「フッ化ナトリウム」

    「モノフルオロリン酸ナトリウム」

    「フッ化第一スズ」

のいずれかが表示してあれば、フッ化物配合歯磨剤です。

普通の基本成分によるプラーク除去効果は、むし歯予防にもちろんつながります。ただ、フッ化物にはそれだけでなく

“ 耐酸性の向上 (むし歯になりにくくする) ” や 

“ 再石灰化の促進 (ごく初期のむし歯の表面を治す)”

という効果があります。

また、これら3つのフッ化物自体の効果は3つの製剤で大差はないといわれています。

で、これらの濃度について日本では、歯磨き粉のフッ化物の配合上限は1000ppmとなっています。

歯科で取り扱いの商品ではこの上限に近い900ppm近い濃度で、きちんと商品自体にも記載されていますが、一般に市販されている歯磨き粉は、ほとんど記載されていないのが現状です。

できれば歯科医院で相談されてみるのがいいと思います。

次に、フッ化物配合歯磨剤の正しい使い方で、フッ化物の効果をより発揮させるには、

1.使用する歯磨剤の量

・・・1回に使用する適量の目安は、製剤や年齢により異なりますが約1g(約1cm)
   
2.ブラッシング後の洗口方法

・・・① 10~15mlの水を口に含む
・・・② 5秒間程度うがいをする
・・・③ うがいは1回だけとする
・・・④ 1~2時間程度は飲食をしない

ということが重要になります。

最後に今までのさまざまなフッ化物応用を組み合わせて実施した場合での安全性についてです。

フッ化物においては、急性毒性と慢性毒性が懸念されていますが、慢性毒性は過剰量のフッ化物を長期間摂取した場合に発症します。

日本では全身的応用(水道水へのフッ化物添加など)が行われていため、発症する可能性は極めて低いと考えられますので、フッ化物の局所応用を組み合わせた場合でも、それぞれの用法・用量を守って使用する限り問題ありません。

急性毒性においても同様に問題ありません。

それよりも、局所応用を上手に組み合わせて実施することにより、さらにむし歯予防の効果が期待できます。

当クリニックでも多くの予防関連商品を取り扱っていて、ホームページの予防のページにカタログと説明、価格も記載していますが、購入の際には、こちらからさらに説明させていただいています。

いろいろご相談下さい!^^

最近のママ患者さん事情

最近というか、今までブログでも妊娠中の方などの来院が多いことについて書いてきましたが、開業して1年3ヶ月くらいになったので、その方たちが出産されて、また来院されています。

それで、まだ赤ちゃんが小さいので。。。という理由でなかなか預ける場所がなかったり、ご主人の休みに合わせてご予約とられたりとなかなか大変なようでした。

それで、ここの医院内の建物は玄関以外はバリアフリーの設計なので、半個室ということもあり、最近では

お子様が心配なママにはユニット(診療台のチェア)横までベビーカーを持ってきていただいて診療しています。

お子様がおっぱいの時間で少し泣く場合などは、

その場で授乳していただいたり、

眠くて泣く場合にはスタッフが寝かしつけたり、

またまた器用なお母様は診療されながらも、足でベビーカーを揺らしながら寝かしつけたり

など身近にいる分、安心できるようです。

それで、お預けになって1人で来院されるママ患者さまには、こちらの方からも、

“ 試しにベビーカーで連れてきてみてはどうですか? ”

などと提案しています。

お子様が小さいという理由で歯医者に行くのはちょっと。。。
などとためらっているママさんも、ご自分の時間を作ってみるのはどうですか?

小さいお子様も、下は8ヶ月くらい(下の乳歯の前歯がでてきた頃)から、歯磨きの仕方や指しゃぶりなどのご相談に来られる方もいらっしゃいますので、お子様も歯科医院の雰囲気になれるという点ではいいと思いますので是非ご相談下さい。^^

フッ化物洗口

いよいよフッ素の各論第2弾!

フッ化物洗口は、短時間で簡単にできるため、ブクブクうがいのできる幼児・小中学生はもちろん成人や老人まで幅広い年齢層に適用できるむし歯予防の手段です。

その中でも、特に永久歯エナメル質の成熟が進んでいない幼児・小学生に実施すると予防対策としては大きな成果あり!!

また、矯正治療中の場合などは口腔清掃状態が悪化しやすいので有効な予防法の1つです。

フッ化物洗口の種類としては、大きな差はあまりないと言われていますが、

Ⅰ 週1回法・・・0.2%フッ化ナトリウム溶液を使って1週間に1度行います。

Ⅱ 毎日法・・・0.1%もしくは0.05%フッ化ナトリウム溶液を使って1日1回で毎日行います。
※学校などで実施する場合には、1週間のうち5日間が実施日になるので“週5日法”や“週5回法”と呼ぶこともあります

で、洗口剤の種類としては簡単にいうと、製品化されるものとNaF試薬から作成するものとがあり、製品化されているものでも原液で使用できるタイプは、普通薬として取り扱われますが、顆粒タイプは劇薬扱いとなり保管に十分な注意が必要なのです。顆粒も水に溶解させた状態では、劇薬扱いからは外れますので、この状態でお子様などに渡すのには問題ありません。

洗口の方法としては、洗口液を適量(5~10ml)口に含み、顔をやや下向きにしてブクブクうがいを30秒~1分間程度してから吐き出します。このときは口腔内すべての歯にまんべんなく洗口液がゆきわたるようにして下さい。

※この吐き出した洗口液は、そのまま排水口に流しても問題ありません。

※洗口後は30分程度、お口をゆすいだり、飲食しない方が効果が持続されるので、ご家庭で行う時には寝る前に実施すると1番いいのでは?と思います。

※ブクブクうがいがしっかりできない幼児などには、事前に水などで練習させてからフッ化物洗口を開始した方がいいです。
で、まだ出来ないお子様には、濃度は少し低い(100ppm)ですが、フッ素スプレーなどを使えばいいと思います。
(2枚目画像・・・レノビーゴはフッ素の再石灰化力で初期のむし歯も修復します)

洗口剤は当クリニックでは

ミラノール

という洗口剤(顆粒タイプ)を販売していて、

・未就学児用(黄色1g入り)・・・250ppm
・学童児用(ピンク1.8g入り)・・・450ppm

があります。(1枚目画像)

※ホームページにも記載しています。(予防歯科の関連商品の詳しいパンフレットから開いてみてください。)

洗口液の作り方もセットで溶解ビンをお渡ししていますので、このビンに洗口剤1包を入れ、200の線まで水を加えれば洗口液となり分かりやすいと思います。

また洗口する時にも、このビンの容器のふたが軽量カップになっていますので、これを使用するといいいですよ!

フッ素塗布

今月最初ですが、昨日がむし歯予防デーだったということもあり、フッ素塗布について以前の続きで書きますね!

フッ化物歯面塗布についてですが、これは世界的には1942年に初めて実施が報告されて、日本では1949年から普及が図られたという結構最近のことらしいです。

もちろん、専門家によるう蝕予防法としてプロフェッショナルケアの中心的な方法ですが、薬剤として多いのは2%フッ化ナトリウム(フッ化ナトリウム2gを100mlの蒸留水に溶解して調整したものでフッ化濃度は9000ppmで無味・無臭・無色)です。

このフッ素塗布の方法にはいろいろあり、

Ⅰ.一般法(綿球塗布法)・・・部分塗布をしやすい

Ⅱ.トレー法・・・上下もしくは全顎同時に塗布できる。

Ⅲ.イオン導入法

の大きく分けて3つあります。

いずれも歯面清掃して、歯面乾燥後に綿球で塗布したり、フッ化物の入ったトレーを装着したり、2~3分通電させたりした後は30分くらい飲食や洗口をさせないで作用させます。

またこの歯面塗布剤も液状やフォーム(泡)状、ゲル(ジェル)状のものなどありますので、お子様の年齢や部位、目的に合わせて使い分けていきます。

以前も書き込みましたが、通常乳歯の前歯にはむし歯の進行抑制としてサホライトという黒くなる薬を塗るところが多いのですが、うちのクリニックでは、綿球でフルオルゼリーというジェル状のフッ化物を塗布していきます。

溶液の方が塗布はしやすいのですが、何回も塗布しないと効果なく、塗布した部位の確認がしにくいために歯への滞留性がよく、塗布状況が分かりやすいゲル状のものを使用しています。

また、保険外の自費(2500円)で全歯にフッ素塗布を行う場合は前述のトレー法で、歯間部や歯と歯の間に入り込みやすいようにするのと、使用量も少なく誤飲の心配が少ないフォーム(泡)状のものを使用して行っています。

さらに、当クリニックではこれに500円プラスして3000円で、フッ素塗布直後にミネラルパックというリカルデントの入ったMIペーストを塗布してより強固な歯質強化も行っています。

フッ素は主に歯の原料となるカルシウムやリンの運び屋さんとして再石灰化を促進して歯を強くしていきますが、CCP-ACP(リカルデント)は歯の原料となるカルシウムやリンそのものなので、直接歯にカルシウムやリンを補給して歯を強くします。

似たようなものとしてキシリトールはむし歯菌(ミュータンス菌)にむし歯の原因となる酸をつくらせないということによりむし歯予防をします。

お母様方も人からいろいろフッ素塗布のお話など聞くことが多いと思いますが、いろいろな方法や塗布剤などがありますので、誤解のないように各歯科医院で納得するまでご相談した方がいいと思います。また、自費なので料金体系もいろいろあると思いますので。。。

フッ素についていろいろと。。。

フッ素とは、自然環境に広く分布している自然元素で、土壌や空気、水、食物などに存在しているものらしいですが、あまりなじみないですよね?
また、毎日の食事を通じて体に摂取されている歯や骨を健康に保つためには必要な栄養素(必須栄養素)の1つだそうです。

で、う蝕予防剤に用いられてるものはフッ化物で、歯質を強化する効果が高いため、世界各国で用いられていますが、

Ⅰ.フッ素が多く含まれている食品としては

イワシ(8~19.2ppm)
海草 (2.3~14.3ppm)
牛肉 (2ppm)
りんご(0.2~0.8ppm)
じゃがいも(0.8~2.8ppm)
みそ (0.9~11.7ppm)
塩  (25.9ppm)
紅茶 (0.5~1ppm)
緑茶 (0.1~0.7ppm)

などがあります。こんな食べものにフッ素が入っているなんて意外だな~っと思うもの多いですね!

※ppm=100万分の1の割合を示す単位で、例えば“フッ素濃度1ppm”とは、物質1kg中にフッ素が1mg含まれていることを示します。

①う蝕予防のフッ化物と食品に含まれるフッ化物は性質としてはフッ化物イオンとして存在し全く同じものです。

②フッ化物の局所応用は、用法・用量を守って施行すれば安全で有効な方法です。

一時期、フッ素の安全性について問題視されたこともあったみたいですが、それにはやはり濃度についてや、不特定多数の方が摂取する水道水に希望しないのにフッ素を添加するのは?などという問題みたいです。
また、昔はフッ素の利用を各行政や歯科医師が反対した時期もあったみたいですが。。。

フッ素がなぜむし歯予防に有効なのか?というのは

Ⅱ.フッ化物の歯への作用

①・・・耐酸性の向上→フッ素はエナメル質の結晶表層でフルオロアパタイトを生成してむし歯になりにくい歯面を形成します。

②・・・再石灰化の促進→フッ素はだ液中のカルシウムイオンやリン酸イオンとともに歯の表面に沈着し、エナメル質の生成を助けます。

③・・・抗酵素作用・プラークの最近に対する抗菌作用→プラーク中に潜むむし歯の原因菌が産生する酵素の働きを阻害したり、酸を産生する能力を抑制したりしてむし歯を予防します。

こういう作用によるものなのです。

いろいろなフッ素の商品については、ホームページにも多く掲載していますが、詳しくは院内でもご相談下さい。

次回から

1.フッ化物歯面塗布について 
2.フッ化物洗口について 
3.フッ化物配合歯磨剤について

の3回に分けて詳しく書いていく予定です^^

歯周病って??

最近はむし歯と同様に結構マスコミなどからも聞かれるようになった“ 歯周病 ”ですが、歯科関係者はよく知っているものの一般の患者さまなどは???って方も多いと思います。

問診でも“ 歯石除去 ”希望の方は多いのですが、多くの方は歯の着色除去と混同していて歯石除去をする前の歯周病の検査の結果をいろいろ工夫してお話するのですが、最後に

“ で、自分は歯周病じゃないんですよね? ”

といわれる方もいらっしゃいます。

この歯周病は

①.病気が歯肉にとどまっている歯肉炎

②.歯根のセメント質や歯根が埋まっている顎の歯槽骨、またこの2つを結ぶ歯根膜まで広がった歯周炎

に分類できます。(※ホームページ参照)

このように歯を支える歯周組織(歯槽骨、歯肉など)に起こる歯周病も最近急増している生活習慣病の一種です。

この生活習慣病というのは、多くの種類があり、最近特に問題視されている

      メタボリックシンドローム

もその1つですが、生活習慣病の特徴としては1つの病気を持っていると他の病気も併発しやすいということです。

また、病気がかなり進行しないと自覚症状も出てこないのですが、長期にわたって放置していると、生死にかかわる深刻な合併症を招く可能性もあるということです。
もちろん生活習慣病といわれるように生活習慣の乱れが関与しますが、例えば喫煙習慣があると歯周病のリスクは2~8倍に高まるといわれています。

つまり歯周病の1番の原因は、

ポルフィロモナス・ジンジバーリス菌などの歯周病菌と呼ばれる嫌気性菌が、歯と歯のすき間・歯と歯肉の間の溝(歯肉溝、ポケット)に無数にたまるプラーク(歯垢)

なのですが、そこに生活習慣の乱れ、さらに体質的要因なども加わって発症・進行するのです。この歯周病は成人の約8割がかかっていると推測されているので、その意味では、患者数がもっとも多い慢性感染症であり生活習慣病といえます。

たとえば

糖尿病になると

→①.だ液の分泌量が減って歯周病菌が増殖したり、
→②.免疫機能や組織修復力が低下して歯周病が発症・進行しやすくなります。

逆に歯周病が進行すると
 
→大量のTNFーαが分泌され、インスリンの効きを悪くして糖尿病を発症・進行させる恐れがでてきます。

他にも肥満が進むほど発症しやすいとか、心臓病、肺炎、またまた早産や低体重児出産との関係も指摘されてきています。

そこで最も大切なのはむし歯だけでなく、歯周病でも予防!

その基本はブラッシングなどによるバイオフィルムコントロールです。

まず歯をきちんと磨いて口の中を清潔に保ち、狭い歯間を掃除する歯間ブラシやデンタルフロス、洗口液を併用するのも効果的です。

→パーソナル・プラークコントロール

また、歯科医院を定期的(3ヶ月~6ヶ月)に受診し、自分では取りきれないプラークなどのバイオフィルムを除去してもらうと効果はさらに高まります。

→プロフェッショナル・プラークコントロール

このように歯科医院で

“ 定期的に検診を受けましょう ”

というのは患者さまのためになる重要なことなのです。

痛くなってからでは治療に費やす期間も費用もそれなりにかかりますが、定期的にチェックすることによって問題なければ、2~3回の通院で終了する場合が殆どです。

当医院では患者さまの最後の検査結果により、ある程度の次回の定期検診の目安はお話ししますが、皆さんそれぞれの生活環境が違うので、最後は患者さまが1ヶ月に1回の来院を希望される方もいらっしゃいますし、理想は3ヵ月後くらいだけど今は仕事が忙しいので、と6ヵ月後を希望される方もいらっしゃいます。

それでいいと思います。

この定期検診が患者さまにプレッシャーになっては意味ないと考えています。積極的に来院していただくことが重要なので、各々のライフスタイルに合わせてでいいと思います。

で最後に

“ 定期健診を受けましょう!!! ”

霧島会

またまたずいぶん間隔があいてしまいすいません!

この前の土曜日は、夕方の診療を終えてから昨年の開業前に受講した霧島会の10周年の講演・懇親会があり宮崎に行ってきました。

この霧島会というのは都城の永井先生を中心として歯科診療を全顎的に考えて診療するというスタイルです。(本来の歯科診療からは当たり前のことなのですが・・・)
とにかく、噛み合わせも考えた上でのむし歯、歯周病などを段階、段階で検証して次のステップへ進んでいくので治療期間はかかりますが、人生を考えたら本当に患者さまのことを考えた治療方針です。

また、患者さまやスタッフへの接し方などから始まり、安易に一部分だけ診て治療することの危険なども受講時にじっくりお話を聞きました。
もちろんインストラクターの先生方の治療技術なども素晴らしいのですが、その診療に対しての考え方などが共感できる所が多いというのが受講したきっかけでした。

そのときのすべてを実践することは今でも十分には出来ていないかもしれませんが、診療の考え方のコアになっていることは確かです。

今の自分の診療でいうと、まず通常の被せ物を作るときに仮歯をすることがあると思いますが、ただ次回はめるまでと言う考えではなく、その方にとってかみ合わせ・形態・色などが問題ないかを確認するための仮歯という考え方で、じっくりその期間を設けるということです。もちろんこの期間はいろいろ試行錯誤できますので、最終的な被せ物にはそこでの不満がすべて改善された仮歯の状態が反映されて、満足いく状態の被せ物が出来上がります。

また、奥歯を失った方などで目に見える前歯だけを作っては壊れて、というのを繰り返している患者さまなどは、義歯(入れ歯)はどうしてもはめられない(違和感が大きくて・・・)場合が多いです。
ただ、この場合も通常の仮歯の考え方と同じで、まずこの方に合った噛み合わせの位置の模索などのために仮の入れ歯などを作って、何とか使用していただける形態なども考えていきながら前歯にも負担がこないようにする、という考え方です。

こういう症例の写真もいつか掲載できるように準備していこうと考えています。

本当は次の日の朝(日曜日)からインストラクターの先生方の症例発表などがありとても聞きたかったのですが、日曜当番医だったので仕方なくその日はJRで帰りましたが・・・

開業から1年経ち、久しぶりにいろいろな先生方とお話する機会をもてて、言葉で表せないくらい充実した気持ちになり、またあらたにヤル気をもてた感じです。

いつか自分も症例発表できるように日々この気持ちを忘れずに診療にあたっていきますので、これからもよろしくお願いいたします。

保険診療と自費診療の違い  

最初に、健康保険とは日本独自の制度で一定レベルの治療が多
くの方へ安価で受診できるという大きなメリットがあります。

しかし、世界的に当たり前の治療が健康保険では認められてい
ないものもあります。

現実問題として予算に限度のある健康保険では、

    “ 最良の理想の治療が受診できない! ”

のは事実です。

概念的な違いとしては健康保険には予算と言う制限があり、その中で 予防的治療・審美的治療・健康な歯を将来的に維持する治療 などは除外されています。

自費ではそのような制限がありませんので、理想的な最良の治療というものをできると言う事です。

もちろんドクターの考え方としては 

    “すべての方にできる限り最良の治療をしたい”

というのが本当の気持ちです。

しかし、患者様にはそれぞれの事情がありますので、自分の考え方としては、まず治療方法の選択肢としては考えられるものをできるだけ多く提示したいと考えています。

また初診時の問診でも、できるだけ患者さまの希望をうかがうために“健康保険のみでの治療希望”や、“一部は自費でも構わない”などを選択する項目も設けてあります。

やはり、その場になってチェアサイド(診療イス)ですわったままの状態で 
        
        “これが1番良いですよ” 

といわれればなかなか断れないのが現実ですよね?
また、実際には治療の選択肢が少ないことも問題あり???
(実際は保険診療でできる範囲でも自費をすすめるなど)。

そのため当クリニックでは、自費の詰め物やかぶせ物も保険のものとの比較を分かりやすく一覧表で提示(ホームページにも記載)して、それから次回以降までに患者様が決定していくようにしています。

話は少し変わりますが、皆様が考えていらっしゃるのは、

 治療すればよくなった(もうむし歯にはならないはずだ)    
 という方が多いですが、

実際は削れば、そこからは抜歯への道をまっすぐに進み始めた  
といっても過言ではありません。 

なので、大事なのは以下の点になります。

①できるだけ削らないようにする
・・・ 予防などで健康な歯の状態の維持

②削った場合は、できるだけ再度むし歯になりにくいように 
する・・・ 最良の材料での処置(材料の特徴などは前述の一欄表を参照)

ただ、保険と自費の差が無いもしくは少ない治療としては

・・・小さなむし歯・軽度の歯周炎・抜歯 etc.があり

保険と自費の差が大きい治療としては

・・・大きなむし歯・重度の歯周炎・PMTC(専門的クリーニング) etc.

さらに自費でしか認められていない治療としては

・・・インプラント治療・矯正治療・審美治療・ホワイトニング etc.

があります。

※以上は大まかな目安で、細かい点において異なる場合もございます

もちろん保険の診療が悪いという訳ではありませんので、それぞれのメリット、デメリットを各人で判断していただいて、部位によってはここは保険診療で他の目立つ部位は自費で、というのももちろん可能です。

要は、保険診療でどういう治療までできて、それに満足できるか?の判断になってくると思います。

そこに関しては、いつも記載しますが納得いくまで十分質問などをしたほうがいいと思います。

また、以外と知られていないのが、保険診療は全国どこで受けても治療費(自己負担分)はかわりませんが、自費の治療費は各歯科医院によってまったく料金が変わりますので、そこも聞きにくいところだとは思いますが、判断材料の大きく占めるところですので。。。

今はこの前保険改正がありましたが、それの主な治療別に保険診療の説明パンフレットも製作途中です。一番心がけているのが、“ 明確な治療費を!”ということなので!