保険と自費はどう違う?部分入れ歯を初めて選ぶあなたに。

部分入れ歯をつくるときって、保険の入れ歯にするか、保険外の自費治療の入れ歯にするか、悩みどころですよね。

 機能の面からいえば、部分入れ歯を固定するための前処置が施され、留め金が適合していれば、保険の入れ歯でも動かない・噛める入れ歯となります。しかし、もっと「快適に噛みたい」「見た目をよくしたい」というときに、保険と自費の違いがグッと出てきます。保険の入れ歯では使用する材料や全体の設計に制限があるのですが、自費の場合は制限がないため、患者さんのお口により緻密にフィットするものがつくれるのです。

保険→自費。使い心地にこだわるなら?

 保険の部分入れ歯の義歯床(歯ぐきを覆う部分)には、主にアクリルレジンという歯科用プラスチックが使われています。プラスチックでは、割れるのを防ぐためにどうしてもある程度の厚みが必要となり、これが違和感のもととなります。

 自費の入れ歯では、義歯床のなかで金属にできる部分が格段に多くなります。金属にすると、入れ歯の強度や耐久性を増しながら「薄く」できます。お口の中のスペースが広がり、舌が快適に動くスペースが確保されるので、使い心地が向上します。

保険→自費。審美性にこだわるなら?

 部分入れ歯の留め金のひとつであるクラスプ(バネ)。歯を表と裏からパチンと挟み込むのですが、保険の入れ歯では、金属なので目立ってしまうのが困りもの。自費の入れ歯の場合、このクラスプの形や材質を変えたり、クラスプを使わない固定法を選べるようになります。

 形や材質を変えるパターンでは、歯の裏側からのみ固定するIバーや、目立たない白いプラスチックであるホワイトクラスプを用います。

 クラスプを使わないパターンでは、磁石や特殊な金具などを利用します。残った歯の根に磁石を埋め込み、それと重なる位置にある入れ歯に磁石をつけて固定したり、残った歯に金属のバーがついた被せ物をかぶせ、そこに入れ歯をはめ込んだりします。こうしたタイプは、比較的目立たず、残った歯への影響を軽減できます。

 なお、保険の入れ歯でも自費の入れ歯でも、快適に使い続けるには、できあがったあとの調整が欠かせません。調整を繰り返すことで、より使い心地の良い入れ歯になるのです。「入れ歯をお口に入れてもらって終わり」ではなく、調整とメインテナンスのために定期受診をお願いいたします。

引用参考文献:nico2020年8月

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歯を失いはじめたかたにアドバイス。治療の選択肢 どんなのがある?

 いざ歯を失って治療が必要になったときどんな治療を選ぶべきかは、患者さんのお口の状態はもちろん、どの歯を失ったのかや、患者さんのご希望によって大きく異なります。それだけに、選択に迷うかたも多いと思います。そこで、主な治療法について基本的な特徴を整理してみました。

 

ブリッジ

 「ブリッジ」は、失った歯の両脇の歯を支えにして、歯のない部分に連結型のダミーの歯を入れる治療です。

 3連結のブリッジなら、3本分の仕事を両脇の2本の歯にさせることになります。つまり支えの歯には、本来の1.5倍の仕事がふりかかるわけです。ですから、失った歯の代わりに噛む力を肩代わりできる支えの歯があるかどうか。これが良いブリッジをつくるための最大のハードルです。

 片側の支えだけでもつくれないわけではないのですが、支える歯の負担が増えるので耐久性が低くなってしまいます。

 

部分入れ歯

 「部分入れ歯」は、クラスプを歯に引っかけて固定するタイプから、マグネットやホック、インプラントなどの維持装置を設置して、より動きにくくした自費治療のもの、ソフトタイプで目立たないもの(やはり自費治療)まで、その種類はさまざまです。

 基本的にはほとんど歯を削らずにすみ、外科手術ももちろん必要ないため、ブリッジやインプラントと比べれば、もっとも選択しやすい治療でしょう。

 場合によっては試したあと、ほかの選択肢に変えることもできるので、迷うなら「ひとまず部分入れ歯で」という判断はありうると思います。

 

インプラント 

 「インプラント」の最大の特徴は、人口歯でありながら、天然歯のように「自立する」ということ。ブリッジや部分入れ歯は残った歯に支えられないと機能しませんが、インプラントの場合は、インプラント体を埋めて半年ほどそっとしておくと、あごの骨とガッチリ結合するのです。そのため周囲の歯に負担をかけずに使えます。

 ただし弱点もあります。人口歯なのでむし歯にはなりませんが、炎症に弱いのです。インプラントの周りにプラーク(細菌のかたまり)がたまると、歯周病そっくりの炎症が起きます。天然歯よりも進行が速いので、油断するとあごの骨との結合が壊れて噛めなくなってしまいます。

 特に、歯を失った原因が歯周病だというかたはもともと歯周病のリスクが高いので、ていねいなお手入れが必須です。

引用参考文献:nico 2017年7月号

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将来寝たきりにならないための歯と入れ歯のお話

 いま高齢者の暮らしを支えるうえで大きなテーマになっているのが、平均寿命と健康寿命の差をいかにして小さくするのか、ということです。どうすれば多くの高齢者を歯科がサポートできるのか。この命題を探るために、9月号では、「歯がある人は丈夫で長生き」など昔からの言い伝えに着目し、さまざまな研究による科学的な裏付けをみていきます。

 

「歯がある人は丈夫で長生き」って本当?

 これについては、1,000人以上の高齢者を対象に行った追跡調査の結果があります。この調査では、①噛み合わせが安定している、②噛み合わせが不安定、③噛み合わせがまったくない——-の3グループに高齢者を分け、8年間にわたり生存率を調べました。その結果、噛み合わせが良い人ほど生存率が高く、噛み合わせがない人ほど生存率が低くなっていました。

 入れ歯を使っている人と入れ歯を使っていない人でも、生存率に大きな差がありました。もし歯を失っていても、入れ歯を使って良く噛める状態を維持できていれば、より長生きできる、ということなんです。

 

「歯が丈夫な人は転びにくい」って本当?

 これも本当です。「歯が20本以上残っている人」と、「19本以下で入れ歯を使っていない人」の転倒リスクを比べたところ、なんと2.5倍も転倒リスクが高いことがわかりました。

 では、すでに歯を失っている方は歯科の力で転倒を防げないのかというと、そうではありません。認知症の高齢者に入れ歯を入れていただき、その後1年間の転倒回数を調べたところ、回数が減っていました。

 また、1年間に2回以上転倒した人と、1回以下の人の統計を取ったところ、2回以上転んだ人は、歯がなく入れ歯も使っていない割合が非常に多かったのです。

 

「良く噛める人はボケにくい」って本当?

 認知症との関係については、①20本以上歯が残っている人、②19本以下の人、③歯がほとんどなく入れ歯を使っている人、④歯がほとんどなく入れ歯を使っていない人——-に分け、割合を調べました。

 結果は、歯が多く残っている人ほど認知症の割合が低いのに加え、③の「入れ歯を使っている人」の割合は、自分の歯で食べている人、それほど離れていませんでした。入れ歯の力を借りることで、認知症の割合が低く抑えられているのです。

 このように、歯と入れ歯は、健やかな老後を送るための、ひとつの鍵になります。

引用参考文献:nico 2016年9月号

「どんなのがある?どう選ぶ?部分入れ歯を知りたい!」

 

この世に1つのオーダーメイド!

 歯を1本だけ失ったお口から、1本だけ歯が残っているお口まで、さまざまな患者さんのお役に立つ部分入れ歯。ブリッジのように歯を大きく削る必要がなく、外科処置の必要もなく、またほかの修復方法にくらベて治療の費用もかからないため、患者さんにとって身近で選択しやすい治療法になっています。

 現在はさまざまなバリエーションがあって選択の幅が広がっています。部分入れ歯を作ることになったら、長く快適に付き合える「お気に入り」と出会えるように、種類やその利点・欠点についての説明を受け、歯科医師とよく相談しましょう。

 

ピタッと合うレジン床?金属床?

 部分入れ歯を作るときに、患者さんがまず迷うのが「保険の部分入れ歯にするか」「それとも自費にするか」だと思います。歯科医師から、「金属床のほうがピッタリ合っていいですよ」と薦められても、なぜ金属床を選択するとそんなに適合性がアップするのかがわからないままでは、いまひとつスッキリしないでしょう。

 金属床の場合、クラスプから連結部、床までを、同素材で1ピースのメタルフレームとして一体成型することができます。あとからクラスプを付けたり、右側と左側の入れ歯を連結させたりする必要がなく、設計通りの精巧な入れ歯ができ上がりやすいのです。

 レジン床の場合は、クラスプはクラスプ、連結部は連結部で別々に作っておき、それを後で組み立てるので、微妙な誤差が出がちです。出来上がってすぐにはピタッとこないことがふつうで、調整を重ねながら仕上げていくことになります。

 同じようなクラスプの付いたタイプであっても、製作工程がまったく異なります。このことができ上がり精度に関わってくるのです。

調整&定期検診が肝心です!

 患者さんは入れ歯が入ると、「これでひと段落」とホッとすることでしょう。でも入れ歯の完成はじつはこれから。部分入れ歯をお口にピタリと合わせるための、最終調整が始まります。

 口が動き、食べるときに、入れ歯がどう機能するのかは、実際に使ってみていただき確認するよりほかに方法がありません。使い心地を試し、必要な調整を終えてはじめて、入れ歯は完成するのです。

 調整をしっかりと受け、その後も定期的にメインテナンスを受けて、部分入れ歯の快適な状態を長く維持していきましょう。

引用参考文献:nico2015年5月号

審美的な部分入れ歯

1本でも歯がなくなると、噛みにくい・しゃべりにくい・見た目が悪いなどのいろいろな不都合だけでなく、他の残っている歯が気が付かないうちに動いてたおれてきたり、伸びてきたりしてさらに機能的にも困ってしまいます。

なので、何らかの方法で修復(補う)しなめればならないのですが、方法としては

1. 部分床義歯(部分入れ歯)

2. ブリッジ

3. インプラント

などによるものがあります。各方法でそれぞれ長所・短所はあります。

(ホームページの“ 歯を失ってお困りの方へ ”参照)

ここで一番削ったり、外科をしたりの侵襲(しんしゅう)が少ないのは “ 部分入れ歯 ” です。

一般的にブリッジは、抜けた(抜いた)歯の両隣りに歯が残っていない場合にはできないので、奥に歯が残っていない場合には保険内の処置では入れ歯で補うことになります。

また、たとえ奥歯が残っていても、失った歯の本数が多いとブリッジを支える歯の本数が多くなる(健全な歯を削る確率も高くなる)ので、入れ歯を選択したり・ブリッジと入れ歯を組み合わせたりする場合もあります。

部分入れ歯の構造としては

・人工歯 (硬いプラスティック陶材などの歯)
・クラスプ(部分入れ歯を維持する金属のバネ様の引っ掛け)
・義歯床 (歯のない粘膜部分と接する歯ぐき色の部分)

などですが、最近は主に

『 前歯などのみえる範囲にクラスプが見えるのがイヤ! 』

という方のために “ ノンクラスプデンチャー ”

というクラスプを使用しないものがでてきています。

以前は白いクラスプ(アセタルという材料)で金属を使用しないものもありましたが、金属より強度が弱いためクラスプが太くなるので見た目もさほどよくならなかったり、舌感も悪かったりであまり使用されなくなってきたように感じます。

当医院でも最近、ノンクラスプデンチャーを2症例しました。

(そのうち画像ホームページでもアップしていく予定です。)

1症例は、右上奥歯2本の入れ歯ですが、金属アレルギーで金属を使用しない方法希望(インプラントの外科もできればしたくない)とのことで製作し、

もう1症例は、左上前歯2本の入れ歯ですが、その両脇がそれぞれ5~7本ブリッジの支台になっているので、ブリッジにするにはすべて除去しなければならないため外さないでの処置希望とのことで製作したものです。

遠くからの見た目でも、クラスプがないため殆ど目立ちません。ただ、クラスプを使用しないために適合がピッタリなので慣れるまでは取り外しに通常の入れ歯よりは、多少時間がかかると思いますが、長くても1ヶ月程度で違和感も感じにくくなると思います。

もし気になる方がいらっしゃるようでしたら、ご相談下さい。

ブリッジ・インプラントについても順次記載していく予定です。