巷で噂される歯の話のウソ・ホント

 

こんにちは。院長の葉です。

 

春の訪れを感じ、
新たな始まりに心おどる季節となりました。

 

さて、4月1日は皆さんもご存じの
エイプリルフールです。
この日だけは
「罪のないウソならついてもいい」
ということで、
周囲を楽しませるユニークなウソに
考えをめぐらす方もいらっしゃるでしょう。

 

歯に関する話題や噂のなかには
ウソとは言えないまでも、誤解を招くものや、
不正確な情報が広まっているものが存在します。

 

そこで今回は、
世間で広く信じられている歯の話題を、
医学的な観点から検証していきたいと思います。

 

 

 

 

◆「甘いもの」を食べなければ
 むし歯にならない?

 

大人が小さな子どもに
「甘いものばかり食べていたらむし歯になるよ!」
注意するシーンは
昔からよく見られる日常の一コマです。

 

このような過去の経験から
「甘いもの=砂糖の入った食品を食べなければ
むし歯にはならない」と考える方も
少なくありません。

 

しかし、むし歯の原因になる糖は
ご飯やパン、うどん、果物など、
身の回りにある多くの食品に含まれています。

 

そして、そのどれもが
むし歯を起こす原因となりうるのです。

 

 

 

また、むし歯予防においては
糖分を摂りすぎないことも大切ですが、
それ以上に食後の歯みがきを
習慣づけることが効果的です。

 

 

 

 

◆乳歯は抜けるから
 むし歯になっても問題ない?

 

乳歯は12歳ごろまでに自然に抜け落ち、
永久歯に置き換わることから
「むし歯になっても大丈夫」と
思っている方も少なくないようです。

 

しかし、乳歯のむし歯は子どもの健康や
発育に悪影響を及ぼすため注意が必要です。

 

 

たとえば、乳歯がむし歯になって
食べものがうまく噛めないと、栄養が偏ったり、
あごの骨の正常な発達を妨げたりする恐れがあります。

 

さらに、乳歯は永久歯が正しい位置に生えるための
重要な目印であるため、
むし歯によってその形が変わると
永久歯の歯並びが悪くなることもあります。

 

子どもの健やかな発育のためにも、
幼い時期からむし歯予防に努めることは
非常に重要です。

 

 

 

 

◆歯みがきは強く磨くほど
 歯がキレイになる?

 

お口の中がネバついたとき、汚れを落とそうとして
ゴシゴシと強めに歯を磨いてしまったこと
ありませんか?
確かに、力強く磨いた後はネバつきも取れて、
一時的な爽快感を得られるかもしれません。

 

しかし、このように
力を入れた歯みがきを長く続けると、
歯の表面が削れたり、
歯ぐきが痩せて歯が長く見えたりするなど、
さまざまなトラブルを引き起こしてしまいます。

 

さらに、強く磨くと歯ブラシの毛先が
すぐに広がりやすく、
結果的に汚れの除去効率が落ちてしまうため
こちらも注意が必要です。

 

歯みがきの適切な力加減は150g~200g程度です。
強く力を入れるよりも、
軽い力で小刻みにブラシを動かすほうが
細かいすき間汚れまで
効果的に落とすことができます。

 

まずは歯医者さんで、
自分にあったブラッシング法を指導してもらいましょう。

 

 

 

 

◆定期的に通院して
 正しい情報をチェックしよう!

 

世間でまことしやかに語られる
歯科の情報のなかには不正確なものも多く、
昔は正しいと言われていた情報が
現在では否定されていることも
少なくありません。

 

 

 

そして、そのような誤った情報は
口内環境の悪化を招くリスクもあります。

 

お口の健康を守るためにも、
定期検診などで正しい情報を入手して、
適切な対処法を実践していきましょう!

 

 

 

医療法人社団 ハートデンタルクリニック
〒885-0031
宮崎県都城市天神町19街区21号
TEL:0986-58-7700
URL:https://heartdental.net/
Googleマップ:https://goo.gl/maps/yw2nLxy4g5DYhZus7

むし歯を放置するとどうなるの?

 

こんにちは。院長の葉です。
9月29日の十五夜には、
お団子を食べる方も
いらっしゃるかと思います。

 

十五夜にお供えするお団子は
月を見立てて作ったもの。

 

その年、
お米が無事に収穫できたことへの感謝
込められているそうです。

 

さて、秋には美味しい食べもの
たくさん出てきますが、
歯に痛みはありませんか?

 

「我慢できるから…」
「面倒だから…」

 

と、歯の痛みを放置すると、
想像以上に恐ろしい事態を
引き起こす可能性があります。

 

 

 

 

◆痛みを感じたら、ただちに歯科へ!

 

「歯がしみる」といった
症状が出ているとき、
むし歯菌は『象牙質』と呼ばれる
歯の内側にある組織まで
進行していることがほとんどです。

 

神経まで達していない状態であれば、
治療は比較的早く終わり、
金銭的な負担も
それほど大きくはありません。

 

しかし、
ここで放置すると、
いよいよむし歯菌は神経に到達します。

 

 

 

 

すると、
ズキズキするひどい痛み
襲われるようになり、
さらに、ここから治療を始めても
栄養素を運ぶ神経を取らなければ
ならないため、
歯の寿命が
確実に短くなってしまいます。

 

 

 

 

◆それでも我慢すると…

 

実は、ひどい痛みを感じているのに
我慢を続けると、
痛みがなくなることがあります。

 

しかし
「むし歯が治った!」
と思ったら大間違い。

 

 

痛みがなくなったということは、
神経が完全に死んでしまった可能性が高く、
むし歯が治ったわけではありません。

 

単に痛みを感じないだけで
むし歯菌は浸食を続け、
歯の中でどんどん細菌が繁殖しています。

 

すると、
歯の根っこの先(あごの骨の中)に
細菌の病巣ができ、
膿が溜まって、再び
ひどい痛みを引き起こしたり、
顔全体が腫れあがったりしてしまいます。

 

そして、ほとんどの場合、
この段階になると、
もう歯は残せません。

 

 

 

 

◆さらには命の危険も!

 

さらに炎症が進むと、
あごの骨が壊死しはじめます。

 

すると、
激しいあごの痛みが生じ、
骨の露出や、
皮膚に穴があくこともあります。

 

また、
炎症は骨だけでなく
目や脳、首や胸にまで広がることもあり、
ひどくなれば呼吸困難を引き起こし
命の危機に陥ることもあります。

 

 

 

 

 

◆むし歯の放置にメリットなし!

 

むし歯は
放っておいても治る病気ではありません。

 

むし歯の痛みを我慢しても、
その先に待っているのは
抜歯です。

 

違和感痛みといった
歯からのサインを感じたら
すぐに歯科医院へ行きましょう。

 

 

 

 

また、定期検診では、
歯をきれいにするだけでなく、
むし歯の有無に関する確認も行っています。

 

初期段階のむし歯を発見し
早期治療ができるので、
「一本でも多く歯を残すため」にも
ぜひ定期的に歯科にご来院ください。

 

 

 

医療法人社団 ハートデンタルクリニック
〒885-0031
宮崎県都城市天神町19街区21号
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被せ物は人口。だけど土台はむし歯になります。意外と知らない?被せ物長持ちナビ!

被せ物を支えるのは患者さんの天然歯

 被せ物の治療が終わり、きれいな人口の歯が入ると、「これでもう歯科医院にしばらく通わずにすむ」と思う方もいることでしょう。人口の被せ物により「歯が強くなった」と考える方もおられるようです。

 でもこれ、じつは大間違い。被せ物の治療というと、口を開いたときに見えるところにばかり目が行きがちですが、その耐久性を決めているのは、歯ぐきの下、歯を支えている骨の中に隠れている「患者さんご自身の歯の根(歯根)」なのです。もちろん被せ物自体は一定の耐久性を備えていますが、それを支える土台の歯は、ケアを怠るとむし歯や歯周病になってしまいます。

 

土台の歯のむし歯にご用心!

 被せ物の治療では、患者さんの歯を削ってつくった土台の上に、キャップ状の補綴物(セラミックや金属など)をかぶせます。建築物の耐久性がその土台にかかっているように、被せ物の治療の寿命は、土台の役目をする歯にかかっています。

 ただ、この土台の歯は、もともとそれほど強度に恵まれていません。被せ物がかぶさっている歯の多くは、むし歯のために神経を取ってあるなど、大きな負荷がかかる治療を経ているからです。大きな治療を経て残すことのできた歯は、健全歯だった頃にくらべると、むし歯に対しても噛む力に対してもだいぶ弱くなっています。

 

定期的なメインテナンスが長持ちの秘訣

 大切の土台の歯を守って、被せ物をなるべく長く使っていくにはどうすればよいのでしょう?そのカギを握るのが、歯科のプロフェッショナルによるお口の健康の維持管理=「メインテナンス」です。

 土台の歯は、被せ物に隠れて見えません。神経を取ってしまった歯であれば痛みも出ません。歯のことは、「痛くないから大丈夫」と判断しがちですが、被せ物の土台の状態を把握するには、痛みと見た目はあまり役に立ちません。油断していると、被せ物と土台の歯のすき間にむし歯が入り込んだり、噛む力に耐えられずに土台の歯が割れてしまうこともしばしばです。

 割れてしまった歯は、ほとんどの場合抜かざるを得ません。ですから被せ物を入れた後は、放っておかずに、土台の歯がむし歯や噛む力で傷んでしまわないようにプロの目で見守ってもらう必要があります。

 お口の中に被せ物がある方は、被せ物の治療の寿命を延ばすために、定期的なメインテナンス受診を始めましょう!

引用参考文献:nico 2020年1月号

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ただの当座の歯と思ったら大間違い。知ってる?仮歯のだいじな役割

 歯の根の治療中や被せ物の製作中など、治療している最中の歯にかぶせる「仮歯」。取れやすく割れやすいので、患者さんにとってはやっかいな歯かもしれません。

 でも仮歯には、治療のクオリティを上げ、患者さんの歯を守るだいじな働きがあります。仮の歯だからどうでもいい?いいえ、決してそんなことはないんです!

 

良質な治療のための“仮歯の3大役割”!

 なぜそんな仮歯がだいじなのか、その訳をご説明しましょう。仮歯は大きく分けて3つの役割を担っています。

  • 削った歯を細菌感染や刺激から守る。

仮歯をつけずに放っておくと、そこにプラーク(細菌のかたまり)がくっつき、被せ物をかぶせる土台の歯がむし歯になってしまいます。仮歯は細菌の感染や知覚過敏から、包帯のように歯を守るのです。

  • 歯が動かないように固定する。

歯を放っておくと自然と動きます。仮歯を入れておかないと、空いたスペースに隣の歯が倒れ込んできて、本番の被せ物がピッタリ入らなくなることがあります。

  • 歯根膜の感覚を維持する。

仮歯が入っていないとその部分で噛むことがないので、歯の根の周りにある、噛む力を感じるセンサー「歯根膜」が怠けます。すると、いざ被せ物を入れたとき「当たりすぎ!」と噛む力に過剰に反応してしまいます。そこで本番に備え、仮歯を使って、噛む感覚を忘れないようにします。

 

仮歯をだいじに使うコツって?
・硬いもの、くっつくものは我慢。

 仮歯が取れたり割れたりしないように、硬い食べ物は避けましょう。グミやガム、キャラメル、おもち、求肥の和菓子などのくっつきやすい食べ物はよくありません。しばらくのあいだ我慢を。

・取れたらすぐ連絡を!

 仮歯が取れて1週間もたつと、歯が動いて本番の被せ物が入りにくくなります。もし取れたら、すぐに歯科医院にご連絡を。

・お掃除はていねいに。

 仮歯は、本番の被せ物ほどピタリと調整されていません。歯ぐきとの境目に汚れが溜まりやすいため、ていねいな歯みがきを。ただし、フロスや楊枝は仮歯に引っかかってしまうおそれがあるので使わないで。

 

 せっかく被せ物を入れるなら、お口にピッタリ収まって噛み心地の良い方がいいですよね。そのためには、本番の被せ物ができあがるまで、仮歯を壊さないように上手に付き合ってください。治療をより良いものにするために、ご協力をお願いします。

引用参考文献:nico 2019年7月号

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穴の開いたむし歯とどう違う?徹底解剖!初期むし歯

「むし歯は黒い」とは限らない!

 むし歯というと、「黒い」とか「穴が開いている」イメージがありますが、「穴の開いていない」むし歯もあります。それがむし歯のできはじめの段階である「初期むし歯」です。

 初期むし歯になっている部分は、健全な歯がもつ透明感や光沢が失われ、「白く濁った」見かけになります。歯の表面にいつの間にか白く濁った斑点ができたというなら要注意。初期むし歯の可能性が大です。初期むし歯が進行すると、やがてみなさんおなじみの「穴の開いたむし歯」になります。

 患者さんご自身が初期むし歯に気づくのはとても難しいことですので、歯科での定期的な健診をおすすめします。

 

決め手はフッ素!初期むし歯の修復

 飲食のたびに、歯の表面に付着したプラーク(細菌のかたまり)がつくる酸の作用により、歯の結晶の内部から成分が溶け出していきます。溶け出した部分は、唾液がもつ歯の修復作用により補修されていくのですが、溶け出すスピードのほうが速い期間が長く続くと、歯の結晶がスカスカになり、初期むし歯になります。

 穴の開いたむし歯は、穴をふさぐには詰め物を詰めるしかありません。しかし初期むし歯は、“あるもの”を利用すれば、元の健全な状態に戻せる可能性があります。そのあるものとは、歯みがき剤でおなじみの「フッ素(フッ化物)」です。

 フッ素には、唾液による歯の修復を促進するはたらきがあります。フッ素により修復のスピードが上がると、初期むし歯で生じた結晶のスカスカが、時間をかけて埋まっていきます(個人差はあるものの、歯の表面の白濁が薄く小さくなっていきます)。

 

歯科医院に相談しよう!

 フッ素が効果があるとはいえ、フッ素配合歯みがき剤を使っていても、適切に使えていなければ効果が半減してしまいます。また、初期むし歯ができてしまったということは、日ごろの生活がむし歯になりやすい状況だったということでもあります。

 初期むし歯を穴の開いたむし歯にさせないためには、歯みがきのしかたや歯みがき剤の使い方、食生活を見直す必要があります。それには、歯科医院でプロのアドバイスを受けるのがいちばんです。

 フッ素配合歯みがき剤を使う際に大切なのは、「すすぎはおちょこ1杯程度の水で1回程度にする」ということ。すすぎが多いと、せっかくのフッ素がお口から洗い流されてしまいます。また、歯みがき剤の濃度は、高濃度(1,450ppm)

のものが良いですよ。

引用参考文献:nico 2019年6月号

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二次カリエス(むし歯)の原因【つめもの】

治療したからといって安心は禁物!
むし歯になってしまった場合、むし歯の部分を削って「 つめもの 」したり、型取りをして銀歯を製作したりなどして歯を元の形に修復します。
むし歯は治療したからと言って「 もう安心! 」というわけではありません。

実は、むし歯は治療した箇所こそ注意が必要!

なぜなら、「 つめもの 」をしたところは、さまざまな理由により再びむし歯になってしまうリスクが大変高いのです。

こうしてできてしまうむし歯を「 二次カリエス(むし歯) 」といいます。

➀.そもそもむし歯になりやすいところである

一度治療したということは、その部分がもともとむし歯になりやすいところであるともいえます。

例えば、むし歯の原因となる歯垢(プラーク)がたまりやすかったり、あるいは

ブラッシングしにくい部分であることが多く、再度むし歯になってしまう可能性が高くなります。



②.「 つめもの 」は形がとても複雑

歯はとても複雑な形をしています。

もちろん、つめものを製作する際には、できる限りぴったりと隙間が少なくなるように製作します。

しかし、つめものは複雑な形状になりやすいため、完全に隙間をなくすことは非常に困難。

さらに、長年の使用などによるすり減りねどによて、少しずつ段差や隙間ができてしまいます。

こうしたすき間にむし歯菌が入り込むことによって二次カリエスとなってしまうのです。

③.接着剤が少しずつ溶けていく

つめものは特殊な接着剤でしっかり接着されています。

この接着剤はそれ自体が隙間をるようになっていますが、お口の中で長年使用していると、どうしても接着剤が少しずつ溶けだしてしまいます。

そこにすき間ができ、歯垢(プラーク)がたまって二次むし歯になってしまいます。

※ 以上のように一回削って治療した部位は、むし歯になりやすいため処置する前以上にブラッシングは特に要注意です!

歯を失いはじめたかたにアドバイス。治療の選択肢 どんなのがある?

 いざ歯を失って治療が必要になったときどんな治療を選ぶべきかは、患者さんのお口の状態はもちろん、どの歯を失ったのかや、患者さんのご希望によって大きく異なります。それだけに、選択に迷うかたも多いと思います。そこで、主な治療法について基本的な特徴を整理してみました。

 

ブリッジ

 「ブリッジ」は、失った歯の両脇の歯を支えにして、歯のない部分に連結型のダミーの歯を入れる治療です。

 3連結のブリッジなら、3本分の仕事を両脇の2本の歯にさせることになります。つまり支えの歯には、本来の1.5倍の仕事がふりかかるわけです。ですから、失った歯の代わりに噛む力を肩代わりできる支えの歯があるかどうか。これが良いブリッジをつくるための最大のハードルです。

 片側の支えだけでもつくれないわけではないのですが、支える歯の負担が増えるので耐久性が低くなってしまいます。

 

部分入れ歯

 「部分入れ歯」は、クラスプを歯に引っかけて固定するタイプから、マグネットやホック、インプラントなどの維持装置を設置して、より動きにくくした自費治療のもの、ソフトタイプで目立たないもの(やはり自費治療)まで、その種類はさまざまです。

 基本的にはほとんど歯を削らずにすみ、外科手術ももちろん必要ないため、ブリッジやインプラントと比べれば、もっとも選択しやすい治療でしょう。

 場合によっては試したあと、ほかの選択肢に変えることもできるので、迷うなら「ひとまず部分入れ歯で」という判断はありうると思います。

 

インプラント 

 「インプラント」の最大の特徴は、人口歯でありながら、天然歯のように「自立する」ということ。ブリッジや部分入れ歯は残った歯に支えられないと機能しませんが、インプラントの場合は、インプラント体を埋めて半年ほどそっとしておくと、あごの骨とガッチリ結合するのです。そのため周囲の歯に負担をかけずに使えます。

 ただし弱点もあります。人口歯なのでむし歯にはなりませんが、炎症に弱いのです。インプラントの周りにプラーク(細菌のかたまり)がたまると、歯周病そっくりの炎症が起きます。天然歯よりも進行が速いので、油断するとあごの骨との結合が壊れて噛めなくなってしまいます。

 特に、歯を失った原因が歯周病だというかたはもともと歯周病のリスクが高いので、ていねいなお手入れが必須です。

引用参考文献:nico 2017年7月号

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究極の細密テク。根っこの治療を知りたい!

「根っこの治療」って何ですか?

 歯の根っこの治療とは、炎症を起こしている細菌を歯の中から徹底的に追い出し減らすことにより炎症を止め、治癒に導く治療です。針のような細い器具を用いて、歯の中にある極細の神経を取り除き、神経の通っていた細い管を掃除します。

 

ミクロの敵(細菌)との勝負です!

 しかしじつはこの治療、歯科医師にとってもとても難しい治療です。というのも、闘いの相手が細菌なので、退治できたかを目で見て確認することができないのです。

 しかも、患者さんによっては歯の中で神経が迷路のように枝わかれしていたり、ねじれていたり、大きくわん曲していたりしていて、一筋縄ではいかないケースもめずらしくありません。

 こんな不利な条件下で、私たち歯科医師にできることといえば、歯の中を徹底的に掃除し、消毒して細菌を減らすことに尽きます。細菌を減らし、残った細菌が身動きできないようピタリと歯にフタをして活動を封じ込めることに成功すると、患者さんの自然治癒によって治っていくというわけです。

 このように、根っこの治癒にはさまざまな困難がありますが、治療が成功したときのメリットはたいへん大きいです。なにしろ、抜くしかなかったはずの歯を、被せ物を被せて使い続けられるのですから。

 

治療の前に知っておいてほしいこと

 根っこの治療には、痛みや違和感はつきもの。強い痛みから違和感程度のものまで含めると、6〜7割の患者さんになんらかの症状が出ることがわかっています。痛みのピークは48時間〜72時間で、2〜3日過ぎるとだいぶ楽になり、1週間もすれば患者さんの95%は痛みが治まっていきます。 

 歯科で処方された痛み止めの薬は、「痛くなってきたな」と思ったら、我慢せずに早めに飲みましょう。強い痛みを我慢すると、痛みに対する感覚が敏感になって、薬が効きにくくなってしまいます。

 また、根っこの治療の間隔は、長く空いたとしても4週間以内にしましょう。根っこの治療では、掃除をした歯の管に細菌が入らないようにシャットアウトする封の役割が非常に重要ですが、治療途中の封は外して掃除することができる仮の封なのです。

 仮の封の耐久期間は4週間程度といわれており、治療の間隔が1か月以上も空くと、封の隙間から細菌が入り、それまでの治療が無駄になってしまうことがあります。ですから、治療は間隔を空けずに終わらせましょう。

引用参考文献:nico 2017年6月

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歯の詰め物イマドキいろいろ図鑑

 国内で使われている代表的な詰め物の材料には現在、いくつかの種類があり、患者さんのご希望や歯の状態に合ったものが選択されています。軟らかめのもの、硬く丈夫なものなど、それぞれ長所と短所があるので、見た目だけでなく、むし歯の大きさ、前歯か奥歯か、噛む力の強さなども考慮して、選択されています。

 

即日治療終了。コンポジットレジン

 「コンポジットレジン」のいちばんの強みは、詰めるために歯を削る量が少なくて済むこと。詰め物が取れにくいように、余分に削ってはめ込む必要がありません。

 ただし、着色しやすいこと、大きな治療や、強い力がかかる歯の治療が苦手という弱点も。軟らかいので、使っているうちに削れたり崩れたりすることもあります。とはいえ、軟らかいぶん周りの歯にも優しく、安心しておすすめできる材料です。

 

おなじみの金属。耐久性は太鼓判!

 「金銀パラジウム合金(金バラ)」は耐久性に定評あり。ただ、歯より格段に硬いので、この硬さが歯の負担となることも。歯が自然と咬耗していくのに対して、この金属は変わらないので、歯と詰め物のあいだに段差ができ、そこに汚れがたまると、新たなむし歯の火種となってしまいます。

 「金合金(ゴールド)」は、いわゆる「金歯」のこと。今でもなくてはならない貴重な歯科材料です。というのもゴールドは、金箔をつくれるほど粘りがありしなやかなので、ピタリと歯になじみ、歯といっしょに咬耗し、しなってくれます。そのため歯と段差ができにくく、周囲の歯質も傷みにくので、保険の金バラとくらべると、長期的にみて格段に歯によいのです。デメリットは、目立つことと高価なことですね。

 

人気のセラミック。さらに割れにくく!

 「セラミック」とはそもそも「陶材」のこと。透明感がありきれいで、プラークもつきにくく変色しないかわりに、お茶碗のように欠けやすいのが難点でした。しかし、最近は歯と同程度の曲げ強度のある新材料「e.max(イーマックス)」が登場し、この弱点は改善傾向にあります。

 以前は耐久性の点から、強い力がかかる奥歯にはおすすめできませんでしたが、この新素材が登場してからは、だいぶ適用範囲が広がりました。

 

 「nico」2017年5月号では、上記以外にもさまざまな詰め物を写真つきで解説しています。詰め物について疑問に思ったら、ぜひ手に取ってみてください。

引用参考文献:nico 2017年5月号

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「差し歯を支えるハイテク材料。ファイバーポストの治療を知りたい!」

歯にやさしい、縁の下の力持ち?!

 ファイバーポストは差し歯をつくる際の芯棒として、主に審美治療を中心に広く使われ普及してきた歯科のハイテク材料です。非常に細かいガラス繊維を固めてある細い棒状のもので、その安全性が大きな魅力となっています。

 差し歯の芯棒に、従来の金属のものに替えてファイバーポストを使うメリットとして、まず第一にあげておきたいのが「差し歯を支える天然歯にやさしい」ということです。

 ファイバーポストの弾性は象牙質に近く、そのためほぼ歯と一緒にたわみ、もとに戻ることができます。そのため、歯の破折を予防する効果があります。

 差し歯の治療というと、被せ物の色や形ばかりが注目されがちですが、じつはその治療の将来は、「被せ物の下に隠れている患者さんご自身の天然歯をいかに大切に保存するか」にかかっています。そのためには、天然歯を補強し保護する芯棒の役割がたいへん重要なのです。

保険治療でも使えるってホント?

 じつは歯科から皆さんへ、とても嬉しいお知らせがあります。去年まで自費治療でしか使えなかったファイバーポストが、今年から保険治療にも使用できることになりました。

 ただ、保険治療で使用するには、いくつかの制限があります。使用できるファイバーポストの種類も、現状ではごくシンプルなタイプに限られています。

 もうひとつ、せっかくの良い話に水を差して申し訳ないのですが、じつは土台の上にかぶせる被せ物が自費の場合、保険治療と同じ土台でも「自動的に自費になる」ということをお断りしておかねばなりません。

 現在の医療保険制度では、保険治療と自費治療を併用してはならないという決まりがあります。ファイバーポストを保険治療でお使いになりたい場合は、必然的に保険の被せ物をお選びいただくことになります。その点をご了承いただければさいわいです。

歯の延命に役立ちます!

 本来ならば、神経を失い、命のなくなった歯。しかし、ファイバーポストを使った歯にやさしい方法でしっかりと噛む力を支えることができれば、歯の延命に一段と有利になります。メタルフリーで歯にやさしい治療が保険に加えられたのを機に、このすぐれた治療法が、多くの患者さんのお役に立っていくよう願っています

引用参考文献:nico 2016年5月号