もしもに備えて!歯のけがの対処法

◆7月号の特集では、「歯をぶつけたとき、どうすればいいか」についてまとめています。ここでは、その一部を抜粋してお届けします。

歯のけがの治療後は経過観察を欠かさずに!

ぶつけて抜けたり、位置がズレてしまった歯は、歯科で元の位置に戻してから、ワイヤーや樹脂で固定します。しかしその後、歯が安定しても、それで「おしまい」ではありません。というのも、治療した歯には下記のような変化が起こることがあるのです。こうした変化にいち早く対応できるよう、治療終了後も経過観察のために定期的に(3~4ヶ月に1回など)ご来院ください。

経過観察ではおもにここを✅チェックします

✅歯が変色していないか

✅歯がグラグラしていないか

✅生え変わった永久歯に異常はないか

✅歯の根が骨の中でなくなっていないか

 

引用参考文献:nico2024年7月

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歯が痛いと錯覚してしまう「歯科恐怖症」とは?

 

あけましておめでとうございます。院長の葉です。

 

新年を迎え、気持ちも新たに
さまざまなチャレンジを始める方も
いらっしゃるのではないでしょうか。

 

そんな時こそ、「体が資本」というように、
心身の健康維持は欠かせません。
「歯が痛む」など、
お口の状態にお悩みがあれば、
早めの受診が肝心です。

しかし、このような歯の痛みは
必ずしも歯が原因で
引き起こされているわけではないのを
ご存じでしょうか?

 

今回は、歯が原因ではないのに
歯の痛みを引き起こし、治療が困難となる
「歯科恐怖症」についてご紹介します。

 

 

 

 

◆歯科恐怖症とは?

 

歯科恐怖症とは、過去の歯科治療が
トラウマ(精神的外傷)となって
心身に不調をきたす症状です。

 

 

 

その名の通り、
歯科への恐怖感が原因となって、
口腔内に異常がなくても
歯や歯ぐきに痛みを覚えることがあります。

 

さらに、
「治療前や治療中に動悸やめまいが生じる」
「大量の発汗」「過呼吸」
「吐き気」「意識の喪失」など
人によってその症状はさまざまです。

 

たとえば、
むし歯など、歯のトラブルが生じた際、
多くの方が
「歯科医院で診てもらおう」
するはずです。

 

しかし歯科恐怖症の方は、
「歯科医院を受診しよう」と考えただけで、
体がこわばったり動悸がしたり、
歯や歯ぐきの痛みを錯覚するなど、
他の問題が生じて歯科医院に
行けなくなってしまうのです。

 

「多少の不安を感じるのはわかるけれど、
受診が困難になるほどなんて…」
と驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、一説によると
「日本国内の500万人前後
この歯科恐怖症によって受診を避けている」
と言われており、テレビやネットニュースで
取り上げられたこともあります。

 

歯科恐怖症に悩んでいる方や、
そうとは気づかずに過ごしている方が
それだけ多いということですね。

 

 

歯科恐怖症が悪化してしまうと、
むし歯や歯周病になっても治療を受けられず、
お口の健康を大きく損なう結果になるのは
想像に難しくありません。

 

 

では、
歯科恐怖症の予防をするには、
どのようなことに気をつければよい
のでしょうか?

 

ここからは、歯科恐怖症への
具体的な対策方法を3つご紹介します。

 

 

 

 

◆歯科恐怖症対策1:まずは相談する

 

1つ目は、
『歯科治療に不安があることを、
歯科医師に正直に話してみる方法』です。

 

治療や麻酔を受ける際、
「治療を我慢して受けるべき
「麻酔の注射は怖がらずに受けるべき
などの思い込みはありませんか?

 

 

たとえば、本当は怖いのに
「怖がらずに治療を受けるべき
自分に高いハードルを課すと、
かえって歯科恐怖症を
引き起こしやすくなる可能性もあります。

 

大人であっても歯の治療が怖いと感じたら、
自分の感情を押さえつけなくてもいいのです。

 

素直に打ち明けることで、
私たちも別の対策・方法を考えることができます。

 

歯科治療が怖くて悩んでいる方は、
お気兼ねなくご相談ください。

 

 

 

 

◆歯科恐怖症対策2:痛みを我慢しない

 

2つ目は、『痛みを我慢しすぎないこと』。

 

1つ目と一緒ですが
「大人は痛みを我慢するべきという
考え方にとらわれる必要はありません。

 

 

 

正直に話していただくことで、
患者さまと一緒に対策・対応を考えながら、
さまざまなアプローチで
治療を進めていくことができます。

 

 

 

 

◆歯科恐怖症対策3:
 リラックスできる関係性を構築する

 

3つ目は、
『自分がリラックスできて、
コミュニケーションを取りやすい
歯科医院を選ぶこと』です。

 

 

 

院内の環境や歯科医師との相性により、
「同じ治療」でも受ける印象は大きく異なります。

 

少し時間をかけてでも、
自分が穏やかな気持ちで
治療を受けられる環境を探してみましょう。

 

 

歯科恐怖症は一度かかってしまうと、
治療にある程度の時間が必要になります。

 

そのため、
歯科医師とコミュニケーションを取りながら
治療を受けられるようにするのが大切です。

 

 

 

「むし歯の治療をしたいけど、
医者が怖くて治療できていない…」
と悩んでいる方や、
この記事を読んで
「自分は歯科恐怖症かもしれない…」
と思った方は、
お気兼ねなく当院までご相談ください。

 

 

 

医療法人社団 ハートデンタルクリニック
〒885-0031
宮崎県都城市天神町19街区21号
TEL:0986-58-7700
URL:https://heartdental.net/
Googleマップ:https://goo.gl/maps/yw2nLxy4g5DYhZus7

「歯医者さんと一緒に治す!顎関節症」

 

 顎関節症は、症状により重症度も違えば、患者さんにしてもらいたいことや歯科医院で行う治療も異なります。

「音がする」タイプ

 口を開けたときに「音がする」というのは顎関節症の典型的な症状。ですが、いちばん軽度なので、過度に心配される必要はありません。また、特に治療の必要はありません(治療の必要がないかは、歯科で診てもらうのが安心です。自己判断は危険です)。

 ただし、「痛みがある」「口が開かない」といった症状が出はじめたら重症化しています。こうした症状が出てきたら、できるだけ早く歯科を受診してください。

 重症化させないためには、生活習慣の改善を心がけましょう。長時間のスマホや TCH(歯列接触癖)など、「顎関節症に影響する習慣」はありませんか?

「痛みがある」タイプ

 「口を開けたり噛みしめると痛みがある」、または「今まで音がするだけだったのが、痛むようになった」場合は、できるだけ早く歯科を受診してください。

 歯科では、痛みの原因が顎関節の内部にあるのか、顎関節を覆う筋肉にあるのかを判断してから指導や治療を行います。

 どちらが原因にしろ、まず患者さんにしていただくことは1つ。それは、「痛みが出るような顎の動きはしない」「痛いなら口を開けない」。筋肉を傷めたら安静にしますよね。それと同じです。

 安静にしていても痛みが引かなければ、鎮痛剤を処方したり、顎の負担を減らすマウスピースを作ったりします。

「口が開かない」タイプ

 「大きく口を開けられない」、または「今まで音がするだけだったのが、口が開かなくなった」場合は、できるだけ早く歯科を受診してください。

 このタイプでは、ほぼ顎関節の内部に問題が起きています。顎関節では、上顎骨と下顎骨の間に「関節円板」という平たい組織があります。この組織がクッションのようにはたらくおかげで、私たちはスムーズに顎の開閉ができます。しかしこれが何かの拍子にズレて顎の動きを阻害するようになると、口が開かなくなります。

 歯科では、ズレた関節円板による動きの阻害を解消する治療(マニピュレーション) を行います。マニピュレーションが難しかったり、その後も開けにくさが残ったりする場合は、開口訓練を行います。

 顎関節症は患者さん自身が治していく側面もあるとはいえ、歯医者さんと相談して治療を進めていくのが安心ですよ。

 

引用参考文献:nico2023年10月

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早めが肝心!事故などで抜けた歯を戻すための注意点

 

こんにちは。院長の葉です。

海や山にプールなど、
お出かけする機会が増える楽しい季節ですが、
そうした場所では
思わぬ事故や怪我に
遭遇してしまうこともあります。

 

いざというときに、
慌てず迅速に対応することが
皆さんの健康を守ることに繋がりますので、
しっかりと準備を行い、
楽しい夏を過ごしましょう!

 

そこで今回は、
「もし事故や怪我で歯が抜けてしまったら
どのようにすれば歯の生存率を上げられるか」
ご紹介したいと思います。

 

 

 

 

◆抜けた歯を守るカギは
『歯根膜(しこんまく)』

 

事故や怪我などで抜けた歯
元に戻せるかどうかは、
「歯根膜を守れるかどうか」
大きく左右されます。

 

そもそも歯根膜とは、歯の根っこを覆う
0.3mmほどのとても薄い膜のことです。

 

歯を支える『歯槽骨(しそうこつ)』と、
歯の根を結びつけているほか、
食べものを噛んだり、
歯に強い力が加わったりしたときに
その衝撃を吸収する
クッションの役割も果たしています。

 

 

 

もし、事故や怪我などで
不意に歯が抜けたとしても、
この『歯根膜』が無事なら、
元の位置に戻せる可能性が高くなります。

 

 

しかし、
歯根膜は非常にデリケートなため、
扱い方を間違えると
あっという間に失われてしまうのです。

 

 

 

 

◆歯根膜が危ない!NG行動

 

歯が抜けたときに
絶対にやってはいけないこと、それは

・歯の根を持つ
・汚れを取ろうとする

この2つです。

 

 

まず、抜けた歯を持つときは必ず
歯の頭(歯冠部分)を持つようにしましょう。

 

歯の根には歯根膜がついており、
そこを素手で触ってしまうと、
歯根膜が傷ついてしまう可能性があります。

 

また、抜けた歯を
地面などに落としてしまった場合には、
汚れを取りたくなるかもしれませんが、
その際には細心の注意が必要です。

 

ゴシゴシとこすったり、
石鹸や消毒液で念入りに洗ったりすると、
歯根膜まで取れてしまいます。

 

 

抜けた歯を洗うときには、
・歯の頭を持つ
・流水で10~20秒以内にサッと洗い流す

この2つのポイントを必ず守りましょう!

 

 

 

 

 

◆「早めの受診」は絶対条件!

 

歯根膜は乾燥に弱く、
たったの20分弱で
歯根膜の生存率は大きく低下する
といわれています。

 

そのため、抜けた歯を元に戻すには
1秒でも早い受診が必要不可欠なのです。

 

 

しかし、状況によっては
そんなすぐに歯医者へ行けない…
という方もいらっしゃるかと思います。

 

そのような場合におすすめなのが、
『牛乳』や『生理食塩水』に浸けておくことです。

 

 

一番おすすめなのは、
『専用の保存液』に浸けておくことですが、
近くのお店では手に入らない場合もあります。

 

その点、牛乳や生理食塩水は
ご家庭でも用意しやすいため、
保存液が手に入らないときには
この2つで代用しましょう。

 

専用の保存液であれば約24時間、
牛乳なら約6時間、
生理食塩水1時間程度まで
歯根膜の生存率を延ばせる可能性があります。

 

 

 

 

 

歯根膜がきれいな状態で、
なおかつ早めに受診できれば、
歯を元に戻せる確率は
それだけ高くなります。

 

歯が抜けてしまった際には、
適切な方法で歯を保存して、
可能な限り早く
歯科を受診することを心がけましょう!

 

 

 

医療法人社団 ハートデンタルクリニック
〒885-0031
宮崎県都城市天神町19街区21号
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歯医者さんで目指せ!におわないお口

口臭の大部分(80%以上)は、お口の中の気体に由来します。その主要な原因物質は「揮発性硫黄化合物」である硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドです。なかでも硫化水素とメチルメルカプタンが約 90%を占めるといわれます。

においのもとはどこにある?

 溜まったプラーク:プラークはお口に長くあるほど硬くなっていき、歯ブラシで落ちにくくなります。長く残って熱成したプラークは、においのもととなります。


 穴の開いたむし歯:むし歯になって穴の開いたところは、食べかすやプラークが溜まりゃすい場所です。そのままにしていると、むし歯が進行しやすいだけでなく、においのもとにもなります。


 歯周病:歯周病菌の中でも病原性の強いPg菌が出す口臭物質が、メチルメルカプタンです。歯周病になっている認識がないために、気づかぬうちに不快な口臭が発生していることも多いです。いわば歯周ポケットの中にガス工場があるようなものです。また、深い歯周ポケットの中には、どうやっても歯ブラシは届きません。プラークや歯石がだんだんと蓄積されていき、強いにおいを発します。


 舌苔:舌には細かな突起(舌乳頭)が無数にあり、そのすき間にはがれ落ちたお口の粘膜や唾液の成分、食べかすなどが堆積します。これが舌苔で、だれしもうっすらとあるものですが、厚く堆積すると細菌の温床となり、不快な口臭を生じます。


 汚れた入れ歯:入れ歯にもプラークや歯石は付きます。ですから、しっかりみがけていない入れ歯もにおいを生じます。


 つけっぱなしの仮歯:仮歯は本来、本番の彼せ物ができあがるまで、仮の歯として使っていただくものです。しかし、仮歯を入れたら噛めるようになったからと、そのままつけっぱなしの方がときどきいます。
長くお口にあるうちに、仮歯の表面のプラスチックが傷ついたり、夜せた歯との間にすき間が空いたりすると、においのもとであるプラークが溜まってしまいます。

こうした歯科的なにおいのもとを治療してもらったり、清掃のしかたを教えてもらうことで、口臭が改善されるケースは珍しくありません。口臭対策は1人で悩むより、歯科医院でお口を診てもらうのが近道ですよ!
 なお、糖尿病や内臓疾患など、全身の病気が口臭のもとになっていることあります。まずは歯科医院でお口由来の要因を取り除いてもらい、もし身体の病気が原因と疑われるなら、内科を受診しましょう。

 

引用参考文献:nico2023年7月

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『なぜしみる?どうしてすぐに治らない?知覚過敏の疑問にお答え!』

 

知覚過敏はなぜしみる?

 歯を断面で見ると、中心に歯髄(歯の神経)があり、それを覆うように象牙質とエナメル質があります。歯髄からは微細な管が無数に伸び、その管を通って栄養が象牙質に送られていきます。この管を「象牙細管」といい、内部は空洞ではなく、組織液(歯髄液)で満たされています。

 歯ぎしりでエナメル質の表面がすり減ったり、歯周病や過度の歯みがきなどで歯ぐきが下がると、いままで隠れていた象牙質がむき出しになり、象牙細管も露出します。

 このとき、冷たい・熱いという刺激や、歯ブラシなどの物理的刺激、細菌などの異物による刺激が加わると、象牙細管内の歯髄液の流れに変化が生じます。これが歯髄に伝わることで、痛みとして知覚される=知覚過敏となります。つまり、露出した象牙細管が刺激の通り道となるわけです。

どうして治療に時間がかかる?

 知覚過敏の治療は、経過を診つつ段階を追って進むため、「歯医者さんで診てもらえばすぐに治る」とはならないことが多いです。むし歯や歯周病、歯のヒビ割れなどがしみる原因のこともありますので、それらの可能性も考慮しながら治療を進めます。

 問診や検査ではっきりとした疾患やトラブルは見つからないけれど、象牙質が露出しているのが確かな場合、まずは生活習慣の改善から取り組んでいただきます。

 食生活の改善や、過度の力での歯みがきの改善にくわえ、知覚過敏を抑える成分を含んだ歯みがき剤を使ってもらいます。

 歯みがきを続けても症状が改善しないなら、刺激に対する歯髄の反応を抑える薬剤を、象牙質が露出している場所に塗布します。それからまた様子をみて症状が改善しないなら、コーティング剤を塗布して、露出した象牙細管を封鎖します。このように、効果が出るのか見定めながら治療を進めるために時間がかかるのです。

歯みがきも立派な「治療」です

 知覚過敏の治療で食生活の改善と並び第一選択肢となるのが「歯みがき」。なかでも重要なのが「歯みがき剤の成分」です。

 1つめはおなじみの「フッ素(フッ化物)」。 再石灰化を促進するフッ素の作用が、露出した象牙細管を少しずつ封鎖します。 1450ppmの高濃度フッ素がおすすめです。

 2つめは「硝酸カリウム」。これは神経の反応を抑える成分として、知覚過敏治療の塗布剤としても使われています。

 明日、明後日には治らないかもしれませんが、1週間、2週間と使い続けるうちにだんだんと変化が出てくるはずです。知覚過敏の治療には根気が大切です。

 

引用参考文献:nico2022年10月

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「被せ物が欠けた、外れた、壊れた?それもしかして歯ぎしりのせいかも」

 詰め物や被せ物がよく壊れる、歯が割れたり欠けたりしやすいとお悩みの方。そのトラブル、もしかしたら歯ぎしりや歯の接触癖(TCH)が原因かもしれません。

過剰な力が歯や被せ物を壊します

 歯を傷める過剰な力には、大きく分けて 2種類あります。ひとつは「歯ぎしり」。眠っているとき無意識に行う歯ぎしりは、起きているときと違い力の加減がきかず、たいへん強い力が歯にかかります。

 もうひとつは、TCHとよばれる「上下の歯を無意識に接触させる癖」。上下の歯は、食事をしたり重いものを持つときに一時的に噛む以外は、本来は離れているものです。 しかし、患者さんのなかには歯を接触させる癖のある方がいて、ごく弱い力が長時間加わることで、顎関節症になったり、歯や入れ歯を傷めてしまうことがあります。

歯根が割れたり、あごの骨が減ることも

 歯ぎしりが引き起こす歯への害の中でも、患者さんにとってもっともつらいもの が「歯根破折」です。

 歯根破折とは、噛む力に耐えきれなくなった歯根が縦に裂けるように割れることで、いわば歯の「疲労骨折」です。細菌だらけの口の中で、割れて汚染された歯を再利用することはたいへん困難で、ほとんどの場合、抜歯になります。

 歯根破折を起こすリスクがもっとも高いのは、神経を取って治療してある歯。歯に栄養を送っていた神経が失われたせいで、枯木のようにパキッと割れやすくなってしまうのです。

 また、歯周病の炎症によって、歯を支える骨(歯槽骨)が減っているときに強い力が加わると、骨の破壊がさらに進んで歯周病の悪化が加速します。

被害を減らすための歯科の対策とは?

 歯ぎしりから歯と被せ物を守る方法としてもっとも有効なのが、夜間のマウスピースの装着です。

 マウスピースをして眠ると、約9割の方は歯ぎしりがいったん止みます。3週間ほどして装着に慣れるとまた始まりますが、マウスピースが歯にかかる力を分散し、代わりに削れてくれます。保険で作れて、削れても補修ができますので、ぜひ毎晩使ってください。

 これから被せ物の治療を受ける方におすすめなのが、耐久性のある材料や治療法を選ぶことです。セラミックの歯なら、硬度の高いジルコニアを。神経を取った歯なら、歯根破折のリスクを低減できる接着性レジンとファイバーポストを使った治療がおすすめです。ただしその場合も、マウスピースの使用は続けていきましょう。

 

引用参考文献:nico2022年1月

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患者さんもご家族も快適、幸せ。広がってます!歯科の訪問診療

 「うちのおじいちゃん・おばあちゃんの入れ歯が壊れてしまった」「飲み込みにくくて食べるのに苦労している」「お口が臭う」ーでも、歯医者さんに連れて行くのはとてもたいへん。そうしたお悩みをおもちの方、いらっしゃいませんか。
 どうにかしなきゃと思いつつも、食事や着替え、風呂、トイレなど身体のお世話で忙しく、お口の中まで手が回らないことも多いでしょう。そんなときはぜひ歯科に頼ってください。歯科への通院が困難な方のために、一部の歯科では「訪問診療」を行っているのです。

受けられる治療はほぼ変わりません


 訪問診療でも、歯科医院と同じ種類の治療が受けられます。いちばんニーズが多いのは入れ歯関連のお困りごとで、「入れ歯が割れた」「人工歯が抜けた」「入れ歯が合わなくなって食べられない」といった相談をよく受けます。
 家族や介護士さんの歯みがきではお口をきれいにするのは難しく、プラーク(歯垢)
や歯石が溜まり、そこから歯周病になっている方も多いです。歯周病は万病の元。動脈硬化や心筋梗塞、糖尿病など全身の病気に関連するといわれます。
 訪問診療では歯科衛生士による「専門的口腔ケア」(お口のクリーニング)も受けられます。残っている歯とともに、お口の粘膜や舌、入れ歯を清掃させていただきます。
 介護を受けている方にとって、お口のクリーニングはたんにむし歯や歯周病を予防するだけのものではありません。お口が清潔になると、命を奪いかねない誤嚥性肺炎のリスクの減少にもつながります。口臭も減りますので、患者さんは快適ですし、介護をされるご家族にもうれしいですね。

訪問診療ミニ Q&A


 最後に、訪問診療でよく聞かれる疑問に簡単にお答えしましょう。
Q:訪問診療はどんなふうに進みますか?
A:患者さんの持病、服薬の影響、体調によっては難しい治療もありますので、主治医やケアマネジャーと情報を共有しつつ、無理のない範囲で進めていきます。
Q:保険は使えますか?
A: 訪問診療は保険適用です。医療保険のほか、介護保険を使う場合もあります。
Q:家から遠い歯科にもお願いできますか?
A:保険診療としてお伺いできるのは、訪問診療を行う歯科医院から半径 16km以内と決められています。

引用参考文献:nico2021年8月

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ヒリヒリ、ピリピリ、つらいです。原因不明の痛み 舌痛症!

舌痛症ってこんな病気です

 「舌痛症」って聞いたことありますか?舌に起きる原因不明の慢性的なヒリヒリ、ピリピリ感。それが舌痛症です。

 舌が痛む場合、原因には、舌を噛んだときにできるキズや口内炎にはじまり、カンジダ症やドライマウス、舌がんに至るまでさまざまありますが、それらの可能性をすべて調べても特定の病気が見つからない場合に診断されます。

 中高年の女性の患者さんに圧倒的に多く、痛む場所は通常、舌の先や横っぺた。つまりちょうど歯に触れるあたりです。 

 朝よりも夕方から夜にかけて痛みが強くなる傾向があり、就寝中には痛みはなく、食事中や、何かに集中しているときには悪化せず、痛みが消えてしまうこともあります。そのため食事や睡眠の障害になることはまれです。

 

「心の痛み」が原因のことも

 舌痛症の原因は、現在の研究では残念ながら「不明」とされていますが、脳が「心の痛み(ストレス)」をキャッチしたときに、その情報をうまく処理しきれず「からだが痛い!」という誤った翻訳をしてシグナルを発してしまうことが一因ではないかと考えられています。

 治療法も不明な点が多いものの、少なくとも心身両面からの対応が必要な病気であることが明らかになっています。

 もしかしたら舌痛症は、患者さんの心が「そろそろ少しのんびりしませんか」と発しているシグナルなのかもしれません。

 

痛みの改善に向けたアドバイス

 「心の痛み」に着目して、舌痛症の痛みを減らすためのヒントをお教えします。専門外来の受診と合わせて、お試しください。

  • 痛む場所の繰り返しの確認は避けよう

 痛む場所が気になって、舌に変化がないか鏡で見たり、指で触ったり、歯に舌を触れさせるのを繰り返すと、痛みの記憶が定着し、症状が悪化することがあります。

  • どんなときに痛みが減るか観察しよう

舌痛症の痛みは、日や時間帯によって増減します。何をしているときに痛み

が増すのか、減るのかを意識してみてください。痛みを客観的にとらえて、痛みの不安から距離を置くきっかけになります。

  • お薬にくわえ生活の改善をしよう

お薬は舌痛症の抑制に効果的ですが、服薬をやめると痛みが元どおりになっ

てしまうのでは困ります。そこで、問診とカウンセリングで受けた生活指導を毎日に活かしましょう。食事では刺激物を避け、睡眠時間を確保します。できるところから、日常生活のストレスを減らしていきましょう。

引用参考文献:nico 2020年3月号

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歯並びのためのお口のトレーニング

歯並びに舌とくちびるが影響?!

 歯はきれいな馬蹄形に生えるのが当たり前だと思われがちですが、この馬蹄形は、歯と接しているくちびるや舌の筋肉から加わる力の支え合いによって生まれています。なぜなら、歯は力を与えられると、その方向にジワジワと動いていくからです。

 言いかえれば、歯は舌の力とくちびるの力のバランスが釣り合うところへと動き、並んでいます。とくに歯の生え替わり時期のお子さんの場合、

・乳歯が抜けた部分など、気になるところをつねに舌で触っている。

・飲み込むときに舌で歯を押している。

・お口をいつもポカンと開けている。

というように、お口の癖が、歯にかかる舌やくちびるの力のバランスを崩していると、その影響で歯は前へと動き、噛み合わせも崩れていってしまいます。

 

舌には理想的なポジションがある。

 歯に加わる力のバランス、ひいては歯並びを乱す原因となりやすいのが「舌」です。いまこれを読んでいるあなた、舌の先はお口の中のどこに触れていますか。上あごの天井付近ですか。それとも前歯ですか。

 じつは舌には、収まるべき正しい位置があります。リラックス時に舌が上あごの天井につきつつ、舌先は前歯に触れないか、触れたとしてもほんの軽く触れるくらいの位置が理想です。

 対して、舌が上あごにつかず、低い位置にあり歯にもたれかかっていると、常に歯に力が加わってしまいます。

 また、舌の癖は矯正治療の妨げにもなります。舌からかかる力のせいで、矯正装置を入れても想定したほど歯が動かなかったり、治療が済んで装置を外した後に後戻りを起こしてしまうことがあるのです。

 

トレーニングで矯正治療がスムーズに。

 こうした癖を改善し、矯正治療をスムーズに進めるために役立つのが「お口のトレーニング」です。舌を上あごの天井に当てる、舌を上に持ち上げる力を鍛える、奥歯を噛みしめて噛む力を強くするなどの練習を、矯正装置の装着と並行して(または単独で)繰り返していただきます。これは専門的には「MFT:口腔筋機能療法」といい、舌をはじめとしたお口まわりの筋肉のバランスを整える効果があります。

 ただし、トレーニングはすぐに効果が出るものではありません。長時間、毎日繰り返していただくことで、徐々に効果が表れてくるものです。慣れるまで舌が疲れたり痛くなりますし、時間も根気も必要となります。ですが、素敵な歯並びのために大切なことですので、歯医者さんといっしょに根気よくがんばっていきましょう!

引用参考文献:nico 2020年2月号

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