「プラスaの支えでよく噛める!人生100年時代の快適入れ歯計画」

 

 部分入れ歯は上手に使いこなしている方も多いとはいえ、じつは噛む力をバランスよく受け止めるのが難しい治療です。

 部分入れ歯のバネをかけている支えの歯は、噛むたびに揺さぶられるので傷みやすいです。その歯が抜けてしまったら、別の歯を支えにするしかなく、歯を失うたびに部分入れ歯が大きくなっていきます。

 残った歯を守りつつ、入れ歯の違和感を軽減するにはどうしたらよいでしょうか。 そのヒントとなるのが、「プラスaの小さな支え」を新たに入れる治療です。

残っている歯根を支えにする

 プラスαの支えにはいろいろ種類がありますが、まずご紹介するのが、2021年から保険適用された磁石を使う固定装置(磁性アタッチメント)です。残っている歯根に「キーパー」とよばれる金属を設置し、入れ歯には強力な磁石を埋め込んで、磁力で固定します。着脱が楽で、垂直にかかる噛む力への安定性が高いだけでなく、横から強い力がかかったときは磁石が外れて、キーパーを設置した歯根に余分な負担をかけにくいのが利点です。

 もう1つが、ホックタイプの固定装置。 残っている歯根に金属のホックを取り付け、入れ歯にはホックをはめる穴を作ります。穴にパチンとはめるだけなので、着脱や扱いがとても楽です。

 両タイプともバネがなく、入れ歯を付けると装置が完全に見えなくなります。ただ、キーパーやホックを設置するには、「健康な歯根が必要な本数残っていること」が条件になります。歯根がグラグラでは設置できません。また、磁性アタッチメントの入れ歯は、MRI検査の画像に悪影響を与えてしまうデメリットもあります。

インプラントを数本入れて支えにする

 支えに使える歯や歯根がなかったり、残った歯を削りたくない場合は、インプラントを数本入れて、それを入れ歯の支えにする方法もあります。

  あごの骨と結合して噛む力をガッチリ支え、力学的にもっとも入れ歯が安定しやすい場所に設置できるのがインプラントの強みです。インプラントを支えとした入れ歯は、違和感を軽減し、治療の繰り返しを止めることにつながります。自費治療ではありますが、少ない本数でできるので一考していただく価値はあると思います。

 人生100年時代、長くなった老後をすこやかに過ごしたいもの。人生の終わりまで食事を楽しめるよう、プラスαの支えで入れ歯を安定させ、定期的にメインテナンスに通って具合の良い状態をずっと維持していきましょう!

 

引用参考文献:nico2022年5月

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忘れてませんか?インプラントのメインテナンス

 インプラント治療を受けたあなた。その後も歯科への定期受診を続けていらっしゃいますか。歯科ではインプラント治療を行う際に、治療後もメインテナンス(定期受診)に欠かさず通っていただくようご説明しています。ですが、何年か経つうちに、「痛みがないから」「違和感がないから」とだんだんと足が向かなくなってしまう方も少なくないのです。

インプラントも“歯周病”になる!

 インプラントは、噛むところから歯の根に当たる部分まで、完全なる人工物。ですのでインプラント自体は細菌に強いです。しかし、インプラントが埋まっているまわりの歯ぐきは別で、天然歯と同じように、歯周病になるおそれがあります。

 歯周病は、歯の根元まわりに付着した細菌が、まず歯ぐきを炎症させて腫れや出血を起こします。いわゆる「歯肉炎」です。これが悪化すると、あごの骨が溶けてなくなっていく「歯周炎」=歯周病となります。

 インプラントの歯周病も、進行のしかたは似ています。インプラントに付着したプラークがまわりの歯ぐきを炎症させて、腫れや出血を起こします。(「インプラント周囲粘膜炎」といいます)。これが悪化すると、あごの骨にも炎症が及ぶインプラントの歯周病=「インプラント歯周炎」となります。周囲炎が進むと骨が失われていき、やがてはインプラントが抜けてしまいます。

メインテナンスに来ていただきたいわけ。

 メインテナンスでは、インプラントと、そのまわりの歯ぐきやあごの骨の状態を複数の検査で調べます。周囲炎や、その前段階の周囲粘膜炎になっていることがわかったら、まずは患者さんにセルフケアを見直ししていただきます。ケアのしかたがそのままでは、治療をしても細菌は減らず、炎症も引きません。改善されたら、歯ブラシなどでは届かない、歯ぐきの中のプラークや歯石を専用の器具で除去します。

 周囲粘膜炎の段階で発見できれば元に戻せますし、周囲炎になっていても、あごの骨のダメージが少ない状態ほどインプラントを失わずにすむ可能性が高まります。歯周病と同じで、痛みや違和感を覚えてからでは進行していることが多いです。

 また、歯ぎしりや食いしばりといった、無意識に生じる継続的な強い力により、あごの骨がダメージを受けていることもあります。歯科では、噛み合わせや、上下の歯やインプラントの状態を調べることで、絶えずそうした兆候に目を光らせています。ですから、欠かさずメインテナンスに来院していただきたいんですね。

 

引用参考文献:nico2020年12月

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保険と自費はどう違う?部分入れ歯を初めて選ぶあなたに。

部分入れ歯をつくるときって、保険の入れ歯にするか、保険外の自費治療の入れ歯にするか、悩みどころですよね。

 機能の面からいえば、部分入れ歯を固定するための前処置が施され、留め金が適合していれば、保険の入れ歯でも動かない・噛める入れ歯となります。しかし、もっと「快適に噛みたい」「見た目をよくしたい」というときに、保険と自費の違いがグッと出てきます。保険の入れ歯では使用する材料や全体の設計に制限があるのですが、自費の場合は制限がないため、患者さんのお口により緻密にフィットするものがつくれるのです。

保険→自費。使い心地にこだわるなら?

 保険の部分入れ歯の義歯床(歯ぐきを覆う部分)には、主にアクリルレジンという歯科用プラスチックが使われています。プラスチックでは、割れるのを防ぐためにどうしてもある程度の厚みが必要となり、これが違和感のもととなります。

 自費の入れ歯では、義歯床のなかで金属にできる部分が格段に多くなります。金属にすると、入れ歯の強度や耐久性を増しながら「薄く」できます。お口の中のスペースが広がり、舌が快適に動くスペースが確保されるので、使い心地が向上します。

保険→自費。審美性にこだわるなら?

 部分入れ歯の留め金のひとつであるクラスプ(バネ)。歯を表と裏からパチンと挟み込むのですが、保険の入れ歯では、金属なので目立ってしまうのが困りもの。自費の入れ歯の場合、このクラスプの形や材質を変えたり、クラスプを使わない固定法を選べるようになります。

 形や材質を変えるパターンでは、歯の裏側からのみ固定するIバーや、目立たない白いプラスチックであるホワイトクラスプを用います。

 クラスプを使わないパターンでは、磁石や特殊な金具などを利用します。残った歯の根に磁石を埋め込み、それと重なる位置にある入れ歯に磁石をつけて固定したり、残った歯に金属のバーがついた被せ物をかぶせ、そこに入れ歯をはめ込んだりします。こうしたタイプは、比較的目立たず、残った歯への影響を軽減できます。

 なお、保険の入れ歯でも自費の入れ歯でも、快適に使い続けるには、できあがったあとの調整が欠かせません。調整を繰り返すことで、より使い心地の良い入れ歯になるのです。「入れ歯をお口に入れてもらって終わり」ではなく、調整とメインテナンスのために定期受診をお願いいたします。

引用参考文献:nico2020年8月

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よーく考え、納得して選択を。40代からのインプラント入門

 

インプラントは「オンリーワン」の治療

 歯を失ったとき「ブリッジか、入れ歯か、それともインプラントか」と、多くの方が迷うことでしょう。

 インプラント治療は、金属の一部をからだに埋め込み、上部に人口歯を取りつけて使うという特殊な治療法で、いちばんの特長は、金属が埋入した骨にガッチリと結合し自立すること

 

です。それはつまり、部分入れ歯などのようにほかの歯に負担をかけず、傷めずに済むということ。こうした治療は現状ではインプラント治療以外になく、そういう意味で、替えの利かない治療になっています。

 ただし欠点もあります。手術が必要、治療期間が長い、予備治療に時間がかかることもある、そして自費治療である点です。ただ、信頼性の高い材料と機器・器具を使い、検査と治療計画を精密に行い、感染対策を万全にして、専門的に訓練されたスタッフが治療するとなると、ある程度の費用が生じざるを得ない、といえるでしょう。

 

治療に時間がかかるのはなぜ?

 インプラント治療のおおまかな流れは、①相談と検査、②診断と説明、③埋入前の予備治療、④インプラント体(人口歯根)の埋入、⑤アバットメントの頭出し(接続部分の取り付け)手術、⑥上部構造づくり(人口歯の取り付け)となります。

 インプラント治療は、インプラント体を埋入してからあごの骨に結合するまでに1〜4か月ほどかかります。この結合は接着材でつけたり部品をはめ込むのではなく、骨の生体反応によるもの。つまり、インプラント治療を成功させるためには、骨の自然治癒力を見守りじっくりと待つことが不可欠。治療に時間がかかるのはそのためです。

 また、人によっては、埋入の下準備として「お口の環境整備」が必須となります。お口のクリーニングと歯みがきのスキルアップでお口の清潔を保つほか、虫歯や歯周病があるならまず治療し、あごの骨が足りなくなっているなら再生療法で増やします。

 

治療後のメインテナンスも重要です。

 インプラント治療は入れたら終わりではありません。快適に使い続けるには、むしろ入れてからのお手入れが重要です。放っておいてインプラントの周りがプラークや歯石だらけになると、今度はインプラントの周りに炎症が起き、あごの骨との結合が失われて、せっかくの治療が機能しなくなってしまいます。治療を長持ちさせるために、かならず定期的に歯科医院へメインテナンスにおいでくださいね。

引用参考文献:nico 2018年1月号

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歯を失いはじめたかたにアドバイス。治療の選択肢 どんなのがある?

 いざ歯を失って治療が必要になったときどんな治療を選ぶべきかは、患者さんのお口の状態はもちろん、どの歯を失ったのかや、患者さんのご希望によって大きく異なります。それだけに、選択に迷うかたも多いと思います。そこで、主な治療法について基本的な特徴を整理してみました。

 

ブリッジ

 「ブリッジ」は、失った歯の両脇の歯を支えにして、歯のない部分に連結型のダミーの歯を入れる治療です。

 3連結のブリッジなら、3本分の仕事を両脇の2本の歯にさせることになります。つまり支えの歯には、本来の1.5倍の仕事がふりかかるわけです。ですから、失った歯の代わりに噛む力を肩代わりできる支えの歯があるかどうか。これが良いブリッジをつくるための最大のハードルです。

 片側の支えだけでもつくれないわけではないのですが、支える歯の負担が増えるので耐久性が低くなってしまいます。

 

部分入れ歯

 「部分入れ歯」は、クラスプを歯に引っかけて固定するタイプから、マグネットやホック、インプラントなどの維持装置を設置して、より動きにくくした自費治療のもの、ソフトタイプで目立たないもの(やはり自費治療)まで、その種類はさまざまです。

 基本的にはほとんど歯を削らずにすみ、外科手術ももちろん必要ないため、ブリッジやインプラントと比べれば、もっとも選択しやすい治療でしょう。

 場合によっては試したあと、ほかの選択肢に変えることもできるので、迷うなら「ひとまず部分入れ歯で」という判断はありうると思います。

 

インプラント 

 「インプラント」の最大の特徴は、人口歯でありながら、天然歯のように「自立する」ということ。ブリッジや部分入れ歯は残った歯に支えられないと機能しませんが、インプラントの場合は、インプラント体を埋めて半年ほどそっとしておくと、あごの骨とガッチリ結合するのです。そのため周囲の歯に負担をかけずに使えます。

 ただし弱点もあります。人口歯なのでむし歯にはなりませんが、炎症に弱いのです。インプラントの周りにプラーク(細菌のかたまり)がたまると、歯周病そっくりの炎症が起きます。天然歯よりも進行が速いので、油断するとあごの骨との結合が壊れて噛めなくなってしまいます。

 特に、歯を失った原因が歯周病だというかたはもともと歯周病のリスクが高いので、ていねいなお手入れが必須です。

引用参考文献:nico 2017年7月号

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将来寝たきりにならないための歯と入れ歯のお話

 いま高齢者の暮らしを支えるうえで大きなテーマになっているのが、平均寿命と健康寿命の差をいかにして小さくするのか、ということです。どうすれば多くの高齢者を歯科がサポートできるのか。この命題を探るために、9月号では、「歯がある人は丈夫で長生き」など昔からの言い伝えに着目し、さまざまな研究による科学的な裏付けをみていきます。

 

「歯がある人は丈夫で長生き」って本当?

 これについては、1,000人以上の高齢者を対象に行った追跡調査の結果があります。この調査では、①噛み合わせが安定している、②噛み合わせが不安定、③噛み合わせがまったくない——-の3グループに高齢者を分け、8年間にわたり生存率を調べました。その結果、噛み合わせが良い人ほど生存率が高く、噛み合わせがない人ほど生存率が低くなっていました。

 入れ歯を使っている人と入れ歯を使っていない人でも、生存率に大きな差がありました。もし歯を失っていても、入れ歯を使って良く噛める状態を維持できていれば、より長生きできる、ということなんです。

 

「歯が丈夫な人は転びにくい」って本当?

 これも本当です。「歯が20本以上残っている人」と、「19本以下で入れ歯を使っていない人」の転倒リスクを比べたところ、なんと2.5倍も転倒リスクが高いことがわかりました。

 では、すでに歯を失っている方は歯科の力で転倒を防げないのかというと、そうではありません。認知症の高齢者に入れ歯を入れていただき、その後1年間の転倒回数を調べたところ、回数が減っていました。

 また、1年間に2回以上転倒した人と、1回以下の人の統計を取ったところ、2回以上転んだ人は、歯がなく入れ歯も使っていない割合が非常に多かったのです。

 

「良く噛める人はボケにくい」って本当?

 認知症との関係については、①20本以上歯が残っている人、②19本以下の人、③歯がほとんどなく入れ歯を使っている人、④歯がほとんどなく入れ歯を使っていない人——-に分け、割合を調べました。

 結果は、歯が多く残っている人ほど認知症の割合が低いのに加え、③の「入れ歯を使っている人」の割合は、自分の歯で食べている人、それほど離れていませんでした。入れ歯の力を借りることで、認知症の割合が低く抑えられているのです。

 このように、歯と入れ歯は、健やかな老後を送るための、ひとつの鍵になります。

引用参考文献:nico 2016年9月号

「どんなのがある?どう選ぶ?部分入れ歯を知りたい!」

 

この世に1つのオーダーメイド!

 歯を1本だけ失ったお口から、1本だけ歯が残っているお口まで、さまざまな患者さんのお役に立つ部分入れ歯。ブリッジのように歯を大きく削る必要がなく、外科処置の必要もなく、またほかの修復方法にくらベて治療の費用もかからないため、患者さんにとって身近で選択しやすい治療法になっています。

 現在はさまざまなバリエーションがあって選択の幅が広がっています。部分入れ歯を作ることになったら、長く快適に付き合える「お気に入り」と出会えるように、種類やその利点・欠点についての説明を受け、歯科医師とよく相談しましょう。

 

ピタッと合うレジン床?金属床?

 部分入れ歯を作るときに、患者さんがまず迷うのが「保険の部分入れ歯にするか」「それとも自費にするか」だと思います。歯科医師から、「金属床のほうがピッタリ合っていいですよ」と薦められても、なぜ金属床を選択するとそんなに適合性がアップするのかがわからないままでは、いまひとつスッキリしないでしょう。

 金属床の場合、クラスプから連結部、床までを、同素材で1ピースのメタルフレームとして一体成型することができます。あとからクラスプを付けたり、右側と左側の入れ歯を連結させたりする必要がなく、設計通りの精巧な入れ歯ができ上がりやすいのです。

 レジン床の場合は、クラスプはクラスプ、連結部は連結部で別々に作っておき、それを後で組み立てるので、微妙な誤差が出がちです。出来上がってすぐにはピタッとこないことがふつうで、調整を重ねながら仕上げていくことになります。

 同じようなクラスプの付いたタイプであっても、製作工程がまったく異なります。このことができ上がり精度に関わってくるのです。

調整&定期検診が肝心です!

 患者さんは入れ歯が入ると、「これでひと段落」とホッとすることでしょう。でも入れ歯の完成はじつはこれから。部分入れ歯をお口にピタリと合わせるための、最終調整が始まります。

 口が動き、食べるときに、入れ歯がどう機能するのかは、実際に使ってみていただき確認するよりほかに方法がありません。使い心地を試し、必要な調整を終えてはじめて、入れ歯は完成するのです。

 調整をしっかりと受け、その後も定期的にメインテナンスを受けて、部分入れ歯の快適な状態を長く維持していきましょう。

引用参考文献:nico2015年5月号

「ここがポイント。インプラント・ケア!」

長持ちさせるコツって?

 インプラントとは、人口の歯根をあごの骨に埋め、その上に金属、セラミックスなどのパーツを組み立てて人口歯を作る治療法です。

 歯槽骨に埋まって自立してくれるため、隣の歯を支えにする必要がなく、入れ歯やブリッジに比べ、その機能も形も天然歯とよく似ています。しかし、食事のたびに強い力が加わるのに、なぜ持続的に自立が可能なのでしょうか?

 これを可能にしているのが、チタン製のインプラント体と歯槽骨との結合です。インプラント体は、ただ歯槽骨に埋まっているのではありません。数か月から半年程度そっとしておくあいだに、歯槽骨とガッチリ結合します。私たちの歯槽骨がインプラント体を異物とみなさずに結合してくれるおかげで、噛む力が繰り返しかかっても耐えられる耐久性が生まれているのです。

 インプラントを長く快適に使い続けられるかは、この「結合」をいかに維持するかにかかっています。

 

天然歯との違いって?

 ところが困ったことに、インプラントはプラークのなかの細菌が起こす炎症で歯槽骨が溶けてしまう怖い病気=歯周病が大の苦手。いったん歯周病になると、天然歯に比べて細菌への防御機構が手薄で、病状の悪化が速いのです。炎症の防御機構の役割を果たす歯肉繊維がある天然歯ほど、丈夫でありがたいものはありません。

 力に対しても同じことが言えます。「天然歯の被せ物よりもインプラント体につけた上部構造のほうが力の衝撃に弱く、欠けやすい」のです。チタン製の人工歯根が支えているので、一見丈夫そうに見えるかもしれません。しかし、むしろ逆です。

 

歯科医院と力を合わせ長持ちさせよう!

 残念なことに、この重要な歯肉繊維は、歯が抜けると失われてしまいます。つまり、インプラントが入った時点では、歯槽骨を細菌や力のダメージから守る防御機能が、グッと弱くなっている、ということになります。

 それでは、インプラントを快適に使い続けるためのコツとはなんでしょうか?もうお分かりですね。強い歯肉繊維がない分、私たち自身が手と知恵を使って、すみやかにプラークを取り除き、余分な力が加わっていないか定期的に歯科医師のチェックを受けて守っていく必要があります。

引用参考文献:nico 2013年6月号

「インプラントを可能にする 骨造成術を知りたい!」

歯槽骨が足りない?!

 インプラント治療を希望なさっているのに、「歯槽骨の骨量が足りない」という患者さんはじつにめずらしくありません。

というのも、歯を失うに至る過程で、歯槽骨にすでになんらかのダメージを受けているかたがほとんどだからです。

なかでも多いのは、歯周病や歯根部に生じた病巣のために歯槽骨を失っているケースです。

病気が軽度の頃に治療をしておけばこんなことにならなかったでしょうが、

痛まないからと限界まで放置してしまうと、炎症のために歯槽骨が広範囲に溶け

てしまう場合があります。

また、歯槽骨は強い噛む力でも溶ける場合があり、外傷のために歯槽骨を失ってしまうこともあります。

 もうひとつの理由としては、もともと歯槽骨が少ない部位があることが上げられます。

たとえば上あごの奥歯のすぐ上方には、上顎洞という空洞があります。

上顎洞の大きさには個人差があり、大きく発達しているかたでは、抜歯後の歯槽骨の高さがほんの数ミリしかないことがあります。

奥歯は力のかかる場所ですから、本来ならば長いフィクスチャーを埋めたいところですが、数ミリの骨ではとても足りません。

 また、上あご、下あごともに、前歯のところは歯槽骨が幅が薄いため、歯を失うとますます骨幅が薄くなります。歯槽骨が薄すぎるとフィクスチャーが骨から露出し、インプラント治療が不可能になります。

 ただ、歯槽骨が足りないためにインプラント治療ができないとなると、残される道は入れ歯かブリッジになります。

入れ歯は装着した際の違和感が気になったり、入れ歯に対する抵抗感のあるかたもいるでしょう。

ブリッジは、失った歯が多いときには適用できない場合もあります。

 

インプラントを実現する最後の手段!

「インプラントにしたいのに歯槽骨が足りないと診断された」という患者さんのために、現在はご自身の骨や人工骨を用いて歯槽骨を増やす手術が行われています。

生きた骨を増やすのですから、治療には相応の時間がかかり、効果にも個人差があります。

しかし、歯槽骨が増えてはじめてフィクスチャーの骨結合が可能になるわけですから、骨造成術はインプラント治療を可能にする画期的な手術なのです。

 患者さんご自身の生体反応を利用して歯槽骨を増やすというデリケートな治療だけに、「先生におまかせ」というのでは治療はうまくいきません。

インプラント治療を成功させるためには、患者さんご自身も治療内容を理解し、歯科医師とともに骨造成術にじっくりと取り組んでいきましょう。

引用参考文献:nico 2011年7月号

審美的な部分入れ歯

1本でも歯がなくなると、噛みにくい・しゃべりにくい・見た目が悪いなどのいろいろな不都合だけでなく、他の残っている歯が気が付かないうちに動いてたおれてきたり、伸びてきたりしてさらに機能的にも困ってしまいます。

なので、何らかの方法で修復(補う)しなめればならないのですが、方法としては

1. 部分床義歯(部分入れ歯)

2. ブリッジ

3. インプラント

などによるものがあります。各方法でそれぞれ長所・短所はあります。

(ホームページの“ 歯を失ってお困りの方へ ”参照)

ここで一番削ったり、外科をしたりの侵襲(しんしゅう)が少ないのは “ 部分入れ歯 ” です。

一般的にブリッジは、抜けた(抜いた)歯の両隣りに歯が残っていない場合にはできないので、奥に歯が残っていない場合には保険内の処置では入れ歯で補うことになります。

また、たとえ奥歯が残っていても、失った歯の本数が多いとブリッジを支える歯の本数が多くなる(健全な歯を削る確率も高くなる)ので、入れ歯を選択したり・ブリッジと入れ歯を組み合わせたりする場合もあります。

部分入れ歯の構造としては

・人工歯 (硬いプラスティック陶材などの歯)
・クラスプ(部分入れ歯を維持する金属のバネ様の引っ掛け)
・義歯床 (歯のない粘膜部分と接する歯ぐき色の部分)

などですが、最近は主に

『 前歯などのみえる範囲にクラスプが見えるのがイヤ! 』

という方のために “ ノンクラスプデンチャー ”

というクラスプを使用しないものがでてきています。

以前は白いクラスプ(アセタルという材料)で金属を使用しないものもありましたが、金属より強度が弱いためクラスプが太くなるので見た目もさほどよくならなかったり、舌感も悪かったりであまり使用されなくなってきたように感じます。

当医院でも最近、ノンクラスプデンチャーを2症例しました。

(そのうち画像ホームページでもアップしていく予定です。)

1症例は、右上奥歯2本の入れ歯ですが、金属アレルギーで金属を使用しない方法希望(インプラントの外科もできればしたくない)とのことで製作し、

もう1症例は、左上前歯2本の入れ歯ですが、その両脇がそれぞれ5~7本ブリッジの支台になっているので、ブリッジにするにはすべて除去しなければならないため外さないでの処置希望とのことで製作したものです。

遠くからの見た目でも、クラスプがないため殆ど目立ちません。ただ、クラスプを使用しないために適合がピッタリなので慣れるまでは取り外しに通常の入れ歯よりは、多少時間がかかると思いますが、長くても1ヶ月程度で違和感も感じにくくなると思います。

もし気になる方がいらっしゃるようでしたら、ご相談下さい。

ブリッジ・インプラントについても順次記載していく予定です。