歯医者さんで目指せ!におわないお口

口臭の大部分(80%以上)は、お口の中の気体に由来します。その主要な原因物質は「揮発性硫黄化合物」である硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドです。なかでも硫化水素とメチルメルカプタンが約 90%を占めるといわれます。

においのもとはどこにある?

 溜まったプラーク:プラークはお口に長くあるほど硬くなっていき、歯ブラシで落ちにくくなります。長く残って熱成したプラークは、においのもととなります。


 穴の開いたむし歯:むし歯になって穴の開いたところは、食べかすやプラークが溜まりゃすい場所です。そのままにしていると、むし歯が進行しやすいだけでなく、においのもとにもなります。


 歯周病:歯周病菌の中でも病原性の強いPg菌が出す口臭物質が、メチルメルカプタンです。歯周病になっている認識がないために、気づかぬうちに不快な口臭が発生していることも多いです。いわば歯周ポケットの中にガス工場があるようなものです。また、深い歯周ポケットの中には、どうやっても歯ブラシは届きません。プラークや歯石がだんだんと蓄積されていき、強いにおいを発します。


 舌苔:舌には細かな突起(舌乳頭)が無数にあり、そのすき間にはがれ落ちたお口の粘膜や唾液の成分、食べかすなどが堆積します。これが舌苔で、だれしもうっすらとあるものですが、厚く堆積すると細菌の温床となり、不快な口臭を生じます。


 汚れた入れ歯:入れ歯にもプラークや歯石は付きます。ですから、しっかりみがけていない入れ歯もにおいを生じます。


 つけっぱなしの仮歯:仮歯は本来、本番の彼せ物ができあがるまで、仮の歯として使っていただくものです。しかし、仮歯を入れたら噛めるようになったからと、そのままつけっぱなしの方がときどきいます。
長くお口にあるうちに、仮歯の表面のプラスチックが傷ついたり、夜せた歯との間にすき間が空いたりすると、においのもとであるプラークが溜まってしまいます。

こうした歯科的なにおいのもとを治療してもらったり、清掃のしかたを教えてもらうことで、口臭が改善されるケースは珍しくありません。口臭対策は1人で悩むより、歯科医院でお口を診てもらうのが近道ですよ!
 なお、糖尿病や内臓疾患など、全身の病気が口臭のもとになっていることあります。まずは歯科医院でお口由来の要因を取り除いてもらい、もし身体の病気が原因と疑われるなら、内科を受診しましょう。

 

引用参考文献:nico2023年7月

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ご協力ください。歯医者さんの予約・キャンセルのしくみ

 内科などの病院と違って、ほとんどの歯科医院が予約制。患者さんごとにまとまった時間を確保して診療を行っています。そのため、患者さんが突然キャンセルされたり、時間になってもおみえになられなかったりすると、歯医者さんは困ってしまいます。予約制は、患者さんそれぞれにあった
歯科医療を提供するためのものでもあります。そこで今回は、患者さんにご協力いただきたい歯医者さんとの“お約束ごどをまとめました。

そもそもなんで予約制なの?


 予約制に変わった背景には、実は歯科疾患の特徴が関係しています。代表的な歯科疾患というとむし歯と歯周病ですが、以前は予防手段がわかっていませんでした。しかし医学の発展にともない、そのノウハウが蓄積され、「痛みや不具合が出ないように予防する」「質の高い治療で長くもたせる」という考え方・対応に変わっていったのです。そうなると、歯科衛生士による指導やお口の環境を整える治療が中心になります。歯医者さんはそのための必要な時間を確保し、計画的に治療を進められます。また、予約制であれば、患者さんをお待たせすることも少ないうえに、患者さんも予定が立てやすくなったり、そのときどきの処置に対する心の準備もできますね。
 人生100年時代。歯医者さんの予約制は、長期的な視点で見た「お口の健康を守るためのシステム」なのです。

遅刻&キャンセルはなるべくお控えを

 

 遅刻やキャンセルがあると、予定していた処置が十分にできなかったり、予約の取り直しが必要になるため、治療がうまく進まなくなることがあります。また、受診の間隔をあまり空けたくない治療もあります。たとえば「歯の根の治療」は、歯の根の中を洗浄したあとに消毒薬を詰めて、仮の蓋をします。もし長いことそのままでいると、蓋が劣化して細菌が根の内部に入り込むなんてこともありえます。むし歯も歯周病も細菌が関係する病気ですので、治療の中断は避けたほうが良いでしょう。
 とはいえ、うっかり忘れてしまうことや交通機関の遅延などもあるでしょう。もし遅れてしまう場合はご一報いただけると助かります。なお、無断キャンセルは、他の患者さんのご迷惑になりますので、お控えくださいね。

歯科治療は、患者さんとの信頼関係のもとに成り立っています。何かわからないことがある場合は、かかりつけの歯医者さんに気兼ねなくお尋ねください。

 

引用参考文献:nico2023年6月

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最新!&効果バッチリ!フッ素配合歯みがき剤の使い方ガイド

 フッ素配合歯みがき剤は、むし歯予防が期待できる重要なアイテムです。せっかく使うなら、しっかり効果をきかせてむし歯を予防したいですよね。今回は、最新情報に即した、より効果を発揮させるための使い方をご紹介します。

フッ素配合歯みがき剤がおすすめな理由


むし歯になりやすい場所は、「奥歯の満」「歯と歯のあいだ」「歯と歯ぐきの境目」など、みがきにくく、毛先が届きにくいところです。しかも、多くのむし歯は歯ブラシの毛の太さよりも、狭い際間から発生します。
 そのため、単に歯ブラシで歯をみがくだけではむし歯予防は困難であり、歯質の強化と再石灰化の促進というむし歯予防の効果が認められているフッ素配合歯みがき剤を用いることが重要です。

むし歯予防効果を高める3大原則


 1つ目は、むし歯になりやすいところへ歯みがき剤を届けること。2つ目は、推奨されている濃度のものを使用すること。3つ目は、適正な使用量を用いること。
 フッ素配合歯みがき剤は、「歯が生えてから2歳」「3〜5歳」「6歳〜成人・高齢者」別に推奨される濃度と使用量が異なりまず。これらは有効性が確認されており、かつ安全性に配慮されたものです。

効果を出したいなら、こう使う!


・1日2回は歯みがきを(そのうち1回は就寝前に)
歯の表面にとどまったフッ素は、徐々に少なくなるため、歯みがきは1回より2回のほうがフッ素量を維持できます。また、就寝中はフッ素が流れにくいため、フッ素を長時間お口の中にとどめておけます。

・歯ブランを軽く湿らせる
 適度な水分がないと、歯みがき剤が歯と歯のあいだなどへ届きにくくなってしまいます。反対に水分が多いと、歯みがき剤が薄まりフッ素濃度が低下するため、湿らせたあとは歯ブラシを軽く振って水を切ってください。


・むし歯リスクの高いところからみがく
 フッ素は、歯みがき中に唾液で徐々に薄まります。薄まる前の高い濃度のフッ素を届けるために、むし歯リスクが高い歯からみがきましょう。


・歯みがき時間は2分程度
 フッ素が歯に十分に反応するには2分ほどかかります。途中で吐き出さずに歯みがき剤を2分程度で歯面全体に届けましょう。また、せっかく歯面に届けられたフッ素が流れ落ちないように、すすぎは少量の水で1回にしましょう。

 

引用参考文献:nico2023年5月

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選ばれてます!歯医者さんのホワイトニング

 歯のホワイトニングといえば、歯科の領域。でも世の中には、セルフホワイトニングサロンや美白効果のある歯みがき剤をはじめ、「歯を白くする」サービスや製品がたくさんあります。それでも歯医者さんのホワイトニングが選ばれるのはなぜなのでしょうか。

歯科医師の介在と薬剤の種類が違う


 歯医者さんで行うホワイトニングとそうでないホワイトニング。まず違うのは、「歯科医師の診断や歯科衛生士の指導・サポートを受けられる」点です。最初に歯科医師がお口を診て、ホワイトニングが問題なくできるお口かを診断し、ホワイトニングを開始したら、しっかり効果が出ているか、適切に安全に使えているかを見守ります。
 また、「使用する薬剤」も違います。歯医者さんのホワイトニングでは、過酸化水素(または過酸化尿素)を配合した薬剤を使用します。この薬剤には、「歯を本来の色より白くする」漂白効果があるのですが、歯科以外では使用が認められていません。
 一方、歯医者さん以外のホワイトニングでは、歯科医師の介在はなく、歯の本来の色を取り戻す着色除去がメインとなります。

歯質強化のチャンスです!


 ホワイトニングは、薬剤に配合されている過酸化水素や過酸化尿素が、歯の表面を覆う透明な保護膜「ペリクル」を除去し、漂白成分を浸透させることで起こります。
 この「ペリクルがはがれる」というのが、じつは歯を強化するまたとないチャンス。ペリクルがはがれた状態は、唾液中のカルシウムやリン酸、歯みがき剤などのフッ素(フッ化物)が歯に吸収されやすい状態です。だから、ホワイトニング直後にフッ素やCPP-ACP(非結晶性リン酸カルシウム)を塗布すると、歯を強くする効果が非常に高いのです。

殺菌作用も期待できます!


 ホワイトニングの薬剤は、消毒薬にも使われるオキシドールの仲間。殺菌作用があるのでお口の中全体のむし歯菌や歯周病菌を減らす効果が期待できます。
特にホームホワイトニングでは毎日決められた時間、歯に薬剤を作用させるので、さらに効果は増加すると考えられます。

 歯医者さんのホワイトニングは、自費治療のため確かにお金がかかります。ですがこれらの違いを考慮すると、決して費用対効果、つまりコストパフォーマンスは悪くないといえるのではないでしょうか。

 

引用参考文献:nico2023年4月

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この親知らず、ホントに抜かなきゃいけないの?

 歯医者さんが親知らずの抜歯を勧める場合、患者さんに自覚はなくとも「その歯がいま見えないところで悪さをしている」または「将来的に悪さをする可能性が高い」と考えられます。どんな親知らずは抜いたほうがいいのか、代表的なケースをご紹介しましょう。

①隣の歯をむし歯にしている


・親知らずが傾いて生えていて、手前の歯(第二大臼歯)とぶつかったところをむし歯にしているケースです。親知らずがぶつかっているところは、食べかすが挟まりやすく歯ブラシも届かないため、むし歯になるリスクが非常に高いです。
・治療をしても、親知らずを抜かない限り、むし歯が再発します。

②歯並びに悪影響を与えている


・横に倒れて生えた親知らずが、第二大臼歯の側面にぶつかっているケースです。顎に親知らずが生えてくるスペースがないために起こります。
・押された第二大日歯が隣の歯を押して、その歯がまた隣の歯を押して・・・と、将来的に歯並びを乱しかねません。

③隣の歯の根を失わせている


・横に倒れて生えた親知らずが第二大臼歯根にぶつかり、根の部分的な喪失(吸収)を起こすこともあります。根の吸収が少ないうちなら、親知らずを抜けば第二大臼歯を残せます。
・患者さんには自覚症状がないことがほとんどです。顎の骨の中で起きているので、レントゲンを撮って初めてわかります。

④歯ぐきに炎症を起こしている


・中途半端に歯ぐきから顔を出した親知らずの周りは、深い歯周ポケットができているのと同じ状態。そのため、内部にプラーク(細菌のかたまり)が溜まり、炎症が起きて腫れたり出血しやすいです。
・抗菌薬で炎症が治まっても、一時的です。親知らずを抜かない限り再発します。
・たかが炎症と思うかもしれませんが、親知らずは額の最奥に生えている歯。位置的に咀嚼筋や咽頭、頸部に近いため、炎症を繰り返すうちに顎の骨が骨髄災になったり、身体に炎症が広がって蜂窩織炎になってしまう危険もあります。

⑤親知らずが病変をつくっている


・顎の骨の中に埋もれた親知らずが、まわりに嚢胞(液体が入った袋状の病変)をつくることもあります。
・嚢胞は年月とともに大きくなりますが、患者さんには自覚症状がないことがほとんどです。骨の内部の異常を発見するには、定期的にパノラマレントゲンを撮ってもらう必要があります。

 

引用参考文献:nico2023年3月

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歯医者さんが治療に手間と時間をかけるわけ 被せ物編

 快適なお口で長く過ごしてもらうために、歯科医院では必要な手間と時間をかけて治療をします。お口の状態を調べるところからはじまり、患者さんに合わせたやり方で健康な状態を取り戻していきます。今回は「被せ物の治療」について、その工程と歯医者さんのこだわりをお教えします。

こだわり① 炎症のないお口に整える

 袚せ物治療を行う場合、当然ぴったり フィットする夜せ物が理想です。歯周病で歯ぐきがブヨブヨと腫れていたり出血がある状態では、型取りは不鮮明になり、フィットする夜せ物が作れません。

こだわり②割れにくい土台作り

 歯にとって神経はとても大切で、神経がある歯は、神経を残したまま夜せ物が装着できるように歯の形を整えます。一方で神経を失っている歯には、夜せ物を装着するための土台を作ります。土台には金属製、ファイバー+レジンのものがあります。

こだわり③ 仮歯で入念な形の調整

 最終的な被せ物が入るまで使用していただく「仮歯」にはさまざまな役割があり、その1つが「使い心地に合わせて形を調整する」です。入念に確認して、患者さんに合う形を模索していきます。調整は何度も行うことがあり、ときには仮歯を作り直すこともあります。

こだわり④ 型取りは.せ物治療の要

 土台づくりと仮歯の調整後は、歯型を取る工程です。型取りがうまくできれば、ぴったりフィットする被せ物ができます。より正確な型取りのために、糸で「歯ぐきの圧排」をすることもあります。

こだわり⑤ 噛み合わせの記録は慎重に

 型取りと並行して、上下の歯の噛み合わせを記録する「咬合採得」を行います。シリコンやワックスなどの材料を上下の歯で噛んでもらい、記録します。噛み合わせに影響するとても大事な工程です。

こだわり⑥ 模型でお口を再現&被せ物製作

 集めた資料や情報をもとに、歯科医院と歯科技工所内で被せ物の製作を進めていきます。まず、歯型に石こうを流して、上顎と下顎の歯列の模型を作り、患者さんのお口を再現します。そして、噛み合わせの記録に合わせて模型を咬合器(噛み合わせを再現する器械)に取り付けます。この状態で、彼せ物を製作していきます。

こだわり⑦ 夜せ物の完成=定期管理の開始

 被せ物が完成した後は、患者さんによる適切なケアと定期的なメインテナンス受診が大切です。むし歯を防ぐ、夜せ物自体を守る、お口全体を健康に維持するためにも定期受診が大事なのです。夜せ物が入った後も、ぜひ定期受診にお越しください!

引用参考文献:nico2023年1月

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「もっと早く知っていれば」とならないために早期発見!注意したい永久歯の生え方

 

 口・顎の発達が著しい学童期。この成長の変化にともなってしばしばみられるのが「永久歯の生え方の異常」。以下に、歯の生えかわり時期に特に注意したい5つのポイントをご紹介します。

乳切歯の残存と下顎の切歯の舌側転位

 乳歯が残ったまま永久歯が生えてきて、一時的に2枚歯になっている状態のことです。永久歯が内側から生えてくること自体は異常ではありませんが、乳歯が長くとどまる場合は注意が必要です。

永久歯の萌出遅延

 何らかの原因で永久歯がなかなか生えてこない状況を朝出遅延といいます。永久歯の萌出の大幅な遅れにより、隣にある永久歯や歯並び、噛み合わせ全体にまで影響が及ぶことがあります。

第一大臼歯の異所萌出

 歯が本来生えるべき位置から離れて出てきたり、大きく傾いたまま生えてくることを指します。「八重歯」はまさに異所前出ですし、八重歯よりも多く、早い時期に起こるのが、第一大臼歯(6歳臼歯)の異所萌出です。異所萌出によって、第一大臼歯が遅れて生えてきたり、完全に生えない状態のままで対の歯と噛み合ってしまうこともあります。

永久歯の過剰歯

 過剰歯とは、正常な歯の数より多く存在する歯のことです。上の前歯にもっともよくみられ、乳歯の時期に発見されることが多く、その後の永久歯列に大きな影響を及ぼします。永久歯が生えるべき場所に過剰歯が生えてくるため、スペースがなくなり、歯並びが乱れたり、前歯が離れてしまうといったことがあります。

永久歯の先天欠如

 先天欠如とは、何らかの原因で顎の中に歯が形成されないことをいいます。上の歯よりも下の歯に起こることが多く、約10人に1人の割合でみられることがわかっています。先天欠如がある場合は、乳歯を永久歯の代わりとして長く使うため、乳歯をむし歯にさせない徹底した歯みがきや定期
受診による管理が必要となります。

 じつは大人になったときの歯並びや噛み合わせの問題は、上記のような歯の生えかわり時期のトラブルが直結していることが多いといわれています。しかも永久歯列の完成とともに問題は大きくなっていきます。ですので、早期に発見することが重要になります。それには、3〜4か月に1度のかかりつけ歯科への受診がカギ。何十年と使うお口ですので、早い段階で悪い芽を摘み取り、しっかり噛めるよう機能させていきましょう。

 

引用参考文献:nico2023年2月

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