先週の日曜は 横浜で開業されている 續先生 のセミナーが鹿児島の歯科医師会館でありましたので、行ってきました。
前日は姪っ子の1歳の誕生会を国分でして泊まっていたので、そこからJRで30分くらい。
この先生のスプリント(顎関節症に用いるマウスピース様のもの)の著書を勤務医時代に読んだことがあり、感動して開業前にそんなに分厚くないものですが、一冊をまとめ上げたこともあります。
噛み癖ってだいたいすべての人にあるのですが、極端に強い人や何かのきっかけで噛み癖側が変わってしまう人などもいます。
この噛み癖の影響が、お口だけにとどまらず、顔から全身へかけて影響し、そのバランスを保っているという考えです。
例えば、お口の中では
①、舌の容量の違い(左右差)・傾き
②、咬合平面(上の歯の先端を結んで出来る平面)の傾き
③、歯軸(各歯の中心線)の傾き
などで、口以外では
①、眉の傾き
②、眼の開き具合の左右差
③、鼻中隔(鼻筋)の傾き
④、口唇の傾き
⑤、オトガイ(下顎の先端)の傾き
⑥、下顎角(えら)の張り具合の左右差
↓
⑦、肩の傾き(高さの左右差)
⑧、腰の傾き(高さの左右差)
⑨、足の開き具合
などが、すべて関連しているというものです。
テレビに映るタレントの方の中にも、この方は少しこういう状態だから、噛み癖はこっちだろうな?などという見方もしますし、必要があれば、患者さまに顔面や全身の写真も撮影して説明したりしています。
例えば、
1本の歯の被せ物(もしくは部分的な詰め物)でも、噛み合わせが変化して、うつ状態から精神的に落ち込んだり
患者さまが高いという部位を、原因もハッキリしていない状態で、噛み合わせを削って調整したりして噛み合わせが低くなることにより精神不調和や不定愁訴(頭痛や肩こり、腰痛など)がでてきたり
などの可能性があるということです。
それくらい、噛み合わせは全身(心と体)の健康などにとっても重要なのです。
この考え方は霧島会(都城市の永井先生主宰)の考えでもあり、口腔内全体の健康から全身的な健康をという一口腔単位での包括的な治療をすすめる方針につながっています。
自分の診療方針には、
できるだけ侵襲の少ない診療を!
というのがあるのですが、これは後戻りの出来る処置を優先して処置するという考えからです。
歯を削ったり、神経を取り除いたり、歯を抜歯したりというのは後戻りできない処置です。
以前は顎関節症の治療というと、理想的な噛み合わせにするために全部の歯を削ったり、被せたりして自費治療でしていた時代もあったみたいですが、最近はスプリントなどで顎の位置を噛む筋肉の無理しない位置に誘導して筋肉の緊張を取り除いたり、レーザーで噛む筋肉の緊張を取り除いたりする方法が優先されます。(当医院でもこの方針です。)
ただ、患者さまの中には痛みがあるのに何も削ったりしてくれないの?などと言われる方もいらっしゃると思います。
しかし、歯の痛みには関連痛(歯以外が原因の場合)もありますし、歯周病によるものもありますし、歯自体でも体調、天候、気圧なども厳密には関連する場合もあるのです。
それで、“ 最近、ココの歯が痛い ”
と言われた場合でもレントゲンや他の診断ではっきりむし歯などがない場合には、噛み合わせの影響(歯ぎしりなども含めて)も考えられますので。。。とお話しした上で、噛み合わせを診るために歯型だけ採る場合もあります。
すると次回は何ともない場合も結構あるのです。
特に歯周病や歯ぐきの腫れ、親知らずの影響などの場合は、疲れたり、風邪を引いたりなどで抵抗力が落ちることにより、細菌の数は同じでも相対的に細菌の力が強くなったようになるのです。
ですから、抵抗力が戻ると、以前の状態に戻ったりするのです。
あくまでも侵襲の少ない治療を!というのは大事なのです。
これからもこの方針は変わりませんので、何か治療方針などで分からないことなどはご質問下さい。