ときどき、この前治療したばっかりの歯が痛くなることってありませんか?
その歯は治療する前も、冷たい物がしみたり、噛むと痛かったりはなかったでしょうか?
患者さまの立場だと、むし歯を治療してもらったのに痛くなるのはおかしい。。。ということになると思います。
ごもっともです。
ただ、これはどういうことかというと治療する前から自覚症状があるということは、むし歯が深かったということを現しています。
そこで、もちろんむし歯になっていたやわらかい歯の質(軟化象牙質・なんかぞうげしつ)を染め出しながら、慎重に取り除いていきます。
で、こういう場合は、神経などの入っている歯髄(しずい)の近くまで到達していることが多いのです。
ここからの処置では
Ⅰ.歯髄までむし歯が達している場合
これは、このまま詰めたりしても、すぐに痛みが出る可能性が高いので、抜髄(ばつずい)といって神経を除去する処置をして、何回か根管内を清掃して感染しない状態までになったら、詰めたり、被せたりしていきます。
Ⅱ.歯髄まではむし歯がだいぶ近いが、達していない場合
①.あとから痛みがでる可能性が高いので、ここで抜髄処置まで行う場合。
②.あとから痛みがでる可能性は高いが、できるだけ歯髄を残すように覆とう(ふくとう)・裏装(りそう)といって歯髄を保護する材料を二重に置いてから詰めたり、被せたりする場合。
の2つの方法です。
患者さまからすれば、痛みがでる可能性があるならば、歯髄(神経など)は抜いちゃえ!(もっと極端な場合は、痛い原因の歯を抜いちゃえ!)って考えると思います。
ただ、この歯髄には神経だけでなく血管などもあるので、この抜髄(ばつずい)という処置を行うと、死んだ組織として歯はそこにとどまり続けるのです。(体の中では死んだ組織として残るのは“ 歯 ”だけです。)
もちろん、歯の寿命は短くなりますし、前歯などでは歯の色も変わってきます。(のちのち後悔する場合が殆どです)
なので、歯医者としては、できるだけ歯の神経は残すようになんとか努力するのです。
そうすると、場合によっては詰め物などをしてしばらくは大丈夫でも1ヶ月くらいしてからしみたり、痛みがでたりすることもあります。
そうすると冒頭の
“ 治療した歯が痛~いのはなぜ? ”
となるのです。
もちろん、抜髄の処置自体はそんなに大変な処置ではないのですが、患者さまの長い一生のことを考えると、
「 できるだけ神経を抜かない、歯を抜かない 」
という当たり前のことが大事になってきます。
自分の考え方としては、
「 小さいむし歯は削らずに定期健診で経過観察していく 」
ということです。(自分の歯に勝るものなし!)
なので、よく聞くのが
“ 説明なく削られた、神経を抜かれた、歯を抜かれた ”
ということが今も往々にしてよくあるということです。
処置で少しでも
“ ん ? ”
っと疑問に思ったら、質問するのは患者さまの権利です。
そこは
百聞は一見にしかず
ではないですが、削った歯は元には戻らないので、早めにきくのは大事です。
ちなみに自分の1番の考えは
「 後戻りできる(可逆的な)処置を優先して行う 」
というものです。歯が痛いと患者さまが訴えても、そこに十分な原因を自分が診断できなければ、その日は噛み合わせの状態を確認するために歯型だけとってそれで終了の場合もあります。
患者さまとしては、痛いと言ってるのに何もしてくれない、と考えると思いますが、風邪の引きはじめや疲れていたりで、体の抵抗力が落ちている場合だけ症状がでたり、原因が歯ではなくて関連痛だったりすることも多いもので。。。
まずは、はっきりした原因を特定できなければ、積極的な処置(削ったりなど。。。)は決して行いません!
こういう考えのもとで治療を行っていますので、ご質問などはご遠慮なくどうぞ!^^