治療にやさしいお食事を
「よく噛むとからだにいいんだよ。しっかり噛んで食べなさい」
みなさん、子どもの頃にこう教えられたことと思います。たしかに、よく噛んで食べると消化吸収によいだけでなく、むし歯予防になる、脳の働きが活発になる、満腹中枢が働き肥満防止にもなるetc……とてもよい効果があるといわれています。
でも、残念ですが、場合によってはしっかりと噛まないほうがよいとき(噛めないとき)もあります。それは、たとえば歯の治療中です。歯ぐきを切開して治療をした、仮歯が入っているなどのほか、インプラントや再生療法のように、治療がひと段落するまで、なるべく強く噛まないほうが治療が順調に進み、よりよい結果が得られやすい場合もあります。
治療の長期化傾向のなかで
「できればふだんどおりの食事を」と願う気持ちは、治療やケアにあたらせていただいている私たち歯科のスタッフも患者さんと同じです。ただ、治療内容や処置の大きさによっては、治療結果をよりよいものにするため、ご協力をいただかざる得ない場合もあるのです。ことに現在の歯科治療は、その内容も高度化、複雑化しています。それにつれて治療期間も長期化傾向にあります。こうしたなか、患者さんから治療中の食事についてのご質問をいただく場面も増えてきました。
治療期間中の食事は、もちろん、ただやわらかければよい、というものではありません。患者さんがバランスよく栄養をとり体調よく過ごされることは、歯科の治療経過にとっても、とても重要なことです。毎日のことですので、献立を考えるのが気が重かったり、ご心配なさっている患者さんもおられるのではないでしょうか?
市販品の利用や簡単料理で!
なかでも患者さんにとっていちばん気になるのが、手術当日から1〜2週間くらいまでのお食事のようです。
手術の大小にかかわらず、術後は傷口がふさがるまではしみたり腫れたりして食べにくいもの。そこで、さまざまな患者さんのサポートをさせていただくなかから生まれてきた、身近な市販品や食材を使って手軽にできる工夫についてご紹介をしていきたいと思います。
いざ治療というとき、知っているときっとお気持ちも楽になると思います。ぜひ参考になさってみてください。
引用参考文献:nico 2012年6月号