「またできた?なかなか治らない?たかが口内炎、されど口内炎!」

口内炎、じつは種類はさまざま!

 「口内炎」という言葉を聞いて、みなさんはどんな病変を浮かべますか?おそらく、ポツッと白いものができて痛い「アフタ」を思い浮かべるのではないでしょうか。「アフタ」は多くのかたが経験する口内炎で、そのため「口内炎」という言葉は、「アフタ」の代名詞のように使われることも多いですね。

 もともと「口内炎」とは、口の粘膜に起きる炎症の症状を、かなり大雑把にひとくくりにして表現する、とても便利な俗称なんです。「口内炎」と一般的に呼ばれる症状のなかには、アフタのほか、カンジダ、ウイルス感染によってできる水疱、誤って噛んでできたキズの炎症、それから全身疾患の症状がお口の中に出たもの、がんに変化する前の病変など、数多くの粘膜のトラブルが含まれます。

 

なぜ見た目が似るの?

 ふだんあまり意識してはいませんが、私たちのお口の中には、ばい菌がいっぱいいます。楊枝の先にチョコっとついた程度のプラークのなかに、数億もの細菌がいるというのですから、トータルすれば相当の数になります。まして、お掃除をていねいにしていないお口の中には、たいへんな数のばい菌がいるはずです。

 そのためお口の粘膜にできたキズ、水疱、前がん病変も、それ自体には炎症がなくても、二次的に感染を起こしやすいのです。お口に入ってきた硬い食べ物は粘膜をこすります。水疱はあっという間につぶれ、破れます。すると最終的にはどの病変も同じような炎症によって、同じような顔に見え、十把ひとからげに「

口内炎」と認識されやすい、というわけです。

 

粘膜チェックでお口もからだも健康に!

 みなさんのお口の中にできた炎症は、ほとんどの場合、放っておいても平気なアフタやキズでしょう。ただ、さまざまな患者さんを診察している私たちは、「もっと早くに受診してくれていたらなあ」という深刻な場面にも少なからず出会うのです。

 そこで口内炎ができたとき「これは大丈夫だな」とか、「何かヘンだぞ」と念のため疑ってみるポイントを覚えておいてください。粘膜の細胞は約2週間で入れ替わります。それを過ぎてもなかなか改善してこないというときには「なにかヘンかな?」と念のため疑ってみてください。

 粘膜の健康は、からだの健康にとって大切なバロメーター。お口の粘膜の健康にも日ごろから目を向けて、お口とからだの健康を維持していきましょう。

引用参考文献:nico 2013年9月号