お子さんの永久歯の生え代わりは、うまくいくのが当たり前だと思いがちですが、じつは、外から見ているだけではわからない問題が起きてくることがあるんです。
なかでも特に多いのが「過剰歯」と「先天性欠如歯」。ですが、これらは早期発見で歯並びや噛み合わせを守ることのできる場合も多々あります。お子さんが7歳くらいになったら、一度歯科医院でパノラマレントゲン(お口の中全体のレントゲン写真)を撮ってみませんか?
30人に1人!の「過剰歯」
「過剰歯」とは「余分な歯」のこと。親知らずを除いて本来必要な28本の永久歯のほかに、余分な歯の芽ができ、育ってしまったものをいいます。
過剰歯の問題点は、その余分な歯が、スクスクと生えてきてほしい永久歯の道筋をさえぎったり、それだけでなく、押して傷めてしまうことです。過剰歯が見つかる場所はたいていが上あごの前歯の周りで、「前歯がなかなか生えない」「前歯の生え方が変だ」と相談に来院した際、レントゲンで発見されることが多いです。
周りの歯の被害を防ぐには、早期発見が肝心。7歳を過ぎたら一度パノラマレントゲンを撮って、診てもらっておくと安心です。
10人に1人!?の「先天性欠如歯」
必要な本数があごの中で育たず、歯が足りない「先天性欠如歯」は10人に1人程度に見られ、けっして特殊ではありません。あわてずに、まずは治療が必要か、経過観察でよいかを、お子さんの治療に慣れた歯科医師に診てもらいましょう。
矯正治療で対応できたり、乳歯がよい状態で残っているのなら、むし歯を予防して乳歯を大事にもたせ、経過観察をして、大人になって乳歯がダメになってからブリッジやインプラントを入れるという方法をとります。成人になっても乳歯を続けて使えるケースもめずらしくありません。
欠如歯の治療は、将来を見越しながら進めていくことが大事。ぜひ気長にお付き合いください。
「お子さんにレントゲンを」というと、放射線量が気になるかと思いますが、歯科では患者さんが最小の被ばく量で最大の利益を得られるよう適切に撮影しています。
過剰歯や先天性欠如歯をはじめ、お子さんのお口の中は、レントゲンで診ないとわからないことがたくさんあります。お子さんのお口の健康を守るために、パノラマレントゲンをお役立てください。
引用参考文献:nico 2017年8月号