子どもの「食べる機能」は、おっぱいに吸いつく力(原始反射)のように生まれつき備わっているわけではありません。毎日の食事のなかで発達し、獲得していく能力なのです。食べることがちょっと苦手なお子さんのお口の成長に役立つ「歯科ならではのアドバイス」をお教えしましょう。
離乳初期(5、6か月~)
それまでおっぱいを原始反射で飲んでいた赤ちゃんにとって、離乳食の開始はおとなが想像する以上に大きなハードル。反射がまだ少し残っていると、いくらおいしい離乳食をあげても「ベエー」と舌で出します。スプーンでちょんちょんと下唇をつついたとき、舌で押し出したり、口をとがらせてスプーンを入れさせないのは「離乳食はまだ早い」というサイン。お口を開けてくれる時期を待ちましょう。
離乳中期(7、8か月~)
下あごの前歯2本が生えてくる頃から、上唇と舌の動きが活発になってきます。舌をあごの天井まで持ち上げられるようになり、お豆腐のような少し形のあるものを上手につぶせるようになります。唇が左右にキュッキュッと引っ張られていたら、食べ物を舌で押しつぶしているサインです。
離乳後期(9か月~)
ついに下あごをモグモグ動かす「噛む」 動きが始まります。ただ、奥歯は生えていないので、本格的なカミカミはまだ先。あまり頑張らせないようにお願いします。
この時期は「手づかみ食べ」が始まり掃除がたいへん。口に詰め込めるだけ詰め込み、「ゲッ」と出しては適切なひと口量を学びます。のどに詰まらせないようご注意を。
離乳完了期(1歳、1歳半~)
奥歯が生えはじめ、カミカミがぐっと上手に。「かじり取り」も始まる時期です。 離乳後期に詰め込み過ぎの失敗を重ねたおかげで、適切なひと口量がわかるようになり、「自食」がさまになってきます。
機能の発達とともに食べる意欲も育ち、「自分で!」という自己主張が始まります。 散らかるので面倒ですが、食べる意欲ものびのびと育てていきたいものです。
乳歯が生え終わった3歳くらいからは、食べる機能の発達のほか、歯並びや噛み合わせも「食べること」に影響するようになってきます。前歯が噛み合わない(開)、むし歯が多い、舌小帯が短く舌が動きづらい、おロポカンのクセがある(口呼吸)などは、適切な時期に歯科でしっかりと対応してもらうことをお勧めします。
引用参考文献:nico2020年9月