中学生でも矯正治療に抜歯が必要なの?

開業して初期のころの症例で、車で1時間以上?かかる地域からのご来院でした。

右上前歯が1本だけ大きく前に出ていて、口を閉じるのも大変な状態・・・

上下ともに前歯の重なりが強く、ならぶスペースがだいぶ足りない状態のため上下左右4本の抜歯をした症例になります。
どうしても1本だけ前に飛び出ているのが気になるとのことで、できるだけ永久歯を抜かないで矯正治療をする方針ですが、この場合でもし抜歯せずに矯正治療すると、上だけや下だけ見ると綺麗に歯が並んで見えることは可能です。

ただ、だいたい今の1本でている位置くらいで綺麗に並ぶため、プロフィール(側貌;横から見た感じ)では、上も下も両方とも前歯がさらに前にでてしまい、かなりの確率で完全に口を閉じるのが難しくなると予想されます。
そうすると、何のために矯正治療をするのか分からなくなってしまいます。。。

それで、中学生でも本人とご両親も交えて十分な時間をかけて(1時間程度) カウンセリング を行います。極端に言えば、この時点で矯正するのと成人してから矯正するのではあまり大差がありません。

【 ※ただし男子学生で18歳、女子学生で16歳程度(第2次成長期の終わり)までは、下顎骨は前下方に成長します。 】

この時期の抜歯をご希望されない場合は、例えば本人が成人してどうしても気になるようになったら、抜歯してでも矯正することを自分の意志でするのか?を確認するのも一方法と説明する場合もあります。

ここでは、本人・ご両親ともに抜歯に納得されたため、上下左右の前から4番目の歯を抜歯してから、 ワイヤー矯正(クリアブラケット使用) を約2年程度して歯の整列を行った症例です。

               【 前から4番目の歯を抜歯する理由 】

①.前から4番目と5番目の歯は形も似ているのと、前歯6本は形態的にもすべてあった方が見た目で分かりやすいので、4番目か5番目の歯のどちらか一方を抜歯する場合が多いです。

②.前歯の並ぶスペースがない場合に、できるだけ前歯に近い部位へスペースがあった方がよいので 4番目を抜歯する場合が多い です。

※ 4番目の歯が今まで削ったこともなく、隣の5番目の歯が神経を取って被せている場合などは、それから先の歯の寿命を考えて5番目を抜歯する場合もあります。

◎ ワイヤー矯正のデメリット  

1つ目に目立つことです。常に装着していますし、歯の表面に取り付けるため、歯と同じ色の装置を使用しても、ほかの矯正方法より目立ってしまいます。
 
2つ目に歯磨きがしづらい点があります。ワイヤーを意識して丁寧に毎日手入れをしないとプラークがたまりやすいです。
 
3つ目に痛みがある場合があります。装置を装着してから1~2日は強い痛みを感じることや口内炎ができることもありますが、痛みに関しては個人差があります。