気になる!大人のマウスピース型矯正ー知っておきたい6つのポイントー

 “なるべく目立たずに矯正治療をしたいという願いを叶えてくれるのが、「マウスビース型矯正治療」です。でも、まだ新しい治療法のため、他の歯科治療に比べて患者さんの協力が必要なことや、どのように治していくのかなどをご存じない方も多いでしょう。

 そこで今回は、マウスピース型矯正をお考えの方に、治療を受ける前に知ってほしいことをまとめました。

手軽・気軽に受けられる矯正治療はありません

 大人の方の歯の矯正治療というと以前はワイヤー矯正が一般的でしたが、患者さん自身で取り外しが可能で、目立ちにくいマウスピース型矯正治療が数年前から普及してきました。院でも、マウスピースによる治療をされる患者さんは増加傾向にあります。どんな患者さんでも精密検査は必須で、かつ適切な診断のもと治療が施されればメリットの大きい治療といえます。一方で、トラブルの話を聞くこともあります。

 歯の矯正治療は、低コストとはいえず、また短期間で手軽に受けられるものでもありません。無理に短期間で終えようとすれば、目標とする歯並びや噛み合わせが得られないだけでなく、お口や体に悪影響を及ぼしかねません。

マウスピース型矯正治療前に知ってほしい6つのポイント

ポイント①患者さんの協力度が治療結果に影響する

ポイント②治療は、精密な検査があって こそ

ポイント③ マウスピース装置は数ある矯正装置のうちの1つ

ポイント④ 歯科医師の定期的なチェック が不可欠

ポイント⑤途中でワイヤーを併用するこ ともある

ポイント⑥「装置がまったく見えない」わ けではない

 マウスピース型矯正治療はまだ新しい治療法ですが、患者さんと歯科医院が協力して治療を進めていけば、お口を良好な状態に導くことができる治療です。そして目立ちにくく、歯みがきがしやすい矯正治療です。また、口腔内スキャナーを用いた光学印象や、コーンビームCTのデジタルデータによる歯の移動のシミュレーションを行うことで、治療結果の見通しや治療の予測ができる利点もあります。

 ぜひ、その特性を知ったうえで治療を受けてくださいね。

 

引用参考文献:nico2023年11月

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「マウスピースで歯並びを治す。深堀り!アライナー矯正」

 

 アライナー矯正とは、マウスピースを使って歯を動かしていく矯正治療です。現在はさまざまなシステムがあり、それぞれに違いがあるのですが、ここでは私が使用している「インビザライン」のシステムを例にご説明します。

 アライナー矯正では、ピタリと歯を覆うマウスピースが、歯を周囲からグリップしてその弾力で歯を動かします。このマウスピースは患者さんの歯型に合わせてオーダーメイドで作られ、歯が理想の位置に動いていくよう、段階的に形を変化させてあります。治療終了までに30個程度を順次使うことで、歯が適正に動いていくのです。

どんなメリットがある?

 アライナー矯正というと、「透明の装置で目立たない」「取り外せる」など見た目や手軽さに注目が集まりがちです。しかし、さらに重要な特長があります。それは奥歯を奥に動かすのが得意だということ。奥歯を奥に動かすと、歯を並べるスペースが増えるので、結果として、抜歯が必要なケースを減らすことができます。

ただし、デメリットもあります

 アライナー矯正は上から被せて力をかけていくので、歯列の拡大は得意ですが、歯を回転させたり引っ張り上げるのは苦手です。こうした動きが必要な場合は、歯にレジンのアタッチメントをつけてグリップを利かせて回転させたり、歯にボタンをくっつけてゴムで引っ張ったりして、正しい位置へと動かしていきます(これらは「補助装置」とよばれます)。

 また、装着しないと何年たっても治療が終わらない、抜歯が必要なケースには向いていないといったデメリットもあります。

ワイヤー矯正にも精通した歯科に相談を

 アライナー矯正は「マウスピースでできるから歯科医師の腕は関係ない」と思われがちです。しかし、よい歯並びと噛み合わせへと導くマウスピースをつくるには、歯科師が精密検査の結果を解析し、その情報を反映させた質の高い設計図布仕上げる必要があります。

 また難症例では、補助装置を適切に使って歯の動きをコントロールする必要もあります。アライナー矯正に向かない禁忌症例を見わける力も必須です。

 矯正治療は、治療開始からの期間が長いです。安心して治療を続け、満足のいく結果を得るには、アライナー矯正はもちろん、ワイヤー矯正の経験も豊富な歯科で治療を受けることをおすすめします。よく説明を受け納得して治療を受け、すばらしい笑顔と噛み合わせを手に入れてください。

 

引用参考文献:nico2022年7月

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