先日、あった
鹿児島大学歯学部の宮崎在住のOBの北辰会
の講演会で、2期卒業で岐阜市開業の 稲葉 幸二 先生のお話しがあり、
先生ご自身の子育ての経験もふまえながらの講演で、
『 むし歯ゼロの子育て法~感染の窓をいかに開けないか 』
という題目でした。
この題目だけでも、予防を中心に考えている自分としては、とても興味があり、土曜日午後の診療を少し早めに切り上げて行ってきたのですが、とても身になるお話しでした。
まとめてみると、
『感染の窓』 といわれる時期である
赤ちゃんが誕生して19ヶ月~31ヶ月の間
にその子の口腔常在細菌叢(こうくうじょうざいさいきんそう・・・お口の中に常にいる細菌の種類の割合)が決定すると言われているので、この時期にむし歯の原因菌である
S.mutans(ミュータンス菌)やS.sobrinus(ソブリヌス菌)
に感染してお口の中に定着してしまうとむし歯の危険性がとても高くなる、というものです。
(この時期の前までは母乳などが守ってくれるのですが…)
逆に、この時期をクリアー(つまり、3歳くらいまでにお菓子やジュースなどの砂糖を与えなければ)すれば、
“ むし歯予防は簡単にできる ”
というものです。3歳までに甘いものを与えなければ、その後の味覚形成や食習慣(甘いものを欲しがらない、偏食しないetc.)にも影響するので、食育でもここが1番大事な時期なのかなあ。。。と強く感じました。
この『 感染の窓 』の時期の予防法としては
(1)「感染を防ぐ」ためには
・・・母親のミュータンス菌のレベルを低くするために母親のブラッシングが重要
(2)「定着を防ぐ」ためには
・・・感染が起こってもミュータンス菌の住みにくい環境を作るために食生活指導(甘味制限)が重要
ただ、『 むし歯になる4つの条件 』というものがあり、これはあくまでも糖質に対するアプローチにすぎません。
4つの条件とは
①むし歯菌(口の中には約3億の細菌が住んでいます。その中でミュータンス菌がプラークの原因となります)
⇒ 正しいブラッシングによるむし歯菌の減少
②糖質(食べ物の中の糖分をミュータンス菌が分解して、ネバネバしたデキストランを作り、これが歯にこびりつきます)
⇒ 砂糖の制限(代替甘味料の摂取・・・キシリトールなど)
③歯の質(歯の形や歯ならび、そして歯が作られる期間の栄養や病気などが、むし歯に強い歯や弱い歯を作ります)
⇒ フッ素塗布、フッ素洗口、ミネラルパックetc.
④時間(歯に糖質が接触する回数、時間が増えるとむし歯になります)
⇒ おやつを与える回数や時間を決める
(種類についてもおやつ=お菓子ではなく、おにぎり・季節の野菜・果物なども不足がちな栄養の補給という点ではいいと思います)
上記の4つの条件が重なってむし歯になると言われていますので、1つだけを実行しても充分な予防にはならないということも考えていくといいと思います。
他にも面白いデータなどもあったのですが、長くなったのでまた次回以降で。。。
P.S. 稲葉先生が書いた絵本
『 どーしてわたしにはムシバがないの 』
もキッズルームの歯に関するたくさんの絵本の中にありますので、興味ある方は見てみてください^^
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