歯がしみて困ったという経験はありませんか?
歯の歯髄には知覚繊維がりそれには痛覚繊維しか存在しないため、通常冷たいもので
「 歯がしみる 」
と感じているのは、実際は
“ 冷たさ ”
ではなく
“ 痛み ”
を感じた結果なのです。
この知覚過敏は専門的には
「 象牙質知覚過敏症 」
と呼ばれているもので、露出した象牙質の表面に冷たいものが接したときやブラッシングでこすたときなどに生じる一過性の痛みのことを指し、むし歯によって歯が侵蝕(しんしょく)されて生じる痛みとは明確に区別されています。
また意外に思われる方も多いと思いますが、この知覚過敏と歯周病には深い関連があります。
一般的に、歯周病になると歯肉や歯槽骨などの歯の周りの組織が破壊された結果、歯ぐき全体が下がってきます。
この状態を
『 歯肉退縮(しにくたいしゅく) 』
と呼びます。
この歯肉退縮が起こると、隠れていた歯根部が表面に見えてきて相対的に歯が長くなったような外観になります。
歯肉退縮により歯根面が露出すると、冷たい刺激や歯ブラシの擦過刺激により知覚過敏を起こしやすくなってしまいます。
海外の文献では、歯周病の患者さまの60~98%に知覚過敏が認められる、という報告があります。
歯肉退縮が著しくなるにしたがって、知覚過敏の歯の割合も徐々に増加する傾向もあるようです。
次に知覚過敏症の対処法としては、予防としてプラーク(歯垢)をしっかり除去することが原則です。
冷水などの外部からの刺激は、象牙質表面に露出した象牙細管というわずかな空間を経由して歯髄内の知覚繊維に伝達されます。
そこでプラーク(歯垢)が歯根面に付着すると酸性度が高くなり、歯の表層が溶解され象牙細管が広くなった結果刺激が伝わりやすくなるので、プラークの存在が知覚過敏を助長するのです。
ただプラークを除去するために力まかせに歯磨きするのもよくありません。
過度のブラッシングは歯根部をすり減らしてしまい、結果として象牙細管を広げますので知覚過敏が起こりやすくなります。
したがって日々の歯磨きでは、歯面をすり減らさないように
適度の力
で上手にプラーク除去することが大切になります。
また市販されている知覚過敏用の歯磨き剤の使用も有効です。
これらの歯磨き剤には、象牙細管を目詰まりさせる成分や知覚繊維の痛みの閾値(いきち・・・痛みとして感じる最初の限界)を挙げる成分が含まれていて一定の効果があることも証明されています。
それでも知覚過敏の症状が改善されない場合は、一度かかりつけ歯科で相談された方がいいと思います。 ^^
( 今回の記事は
『 月刊 糖尿病ライフ さかん 2月号 』
を参考に記載しています。 )