そのむし歯、MIHが要因かも!
エナメル質形成不全症(MIH)とは、エナメル質が先天的にもろい状態を言います。永久歯の前歯と6歳臼歯にみられることが多く、見た目の特徴としては、初期むし歯の白濁とは少し違ったマット感のある色、そして黄色っぽい変色があげられます。
こうなる原因は不明なのですが、歯があごの骨の中で育っているとき、エナメル質が十分に成熟しないことによって起きると考えられています。
エナメル質がもろいと、どうなるの?
エナメル質は、本来体の中でいちばん硬い組織です。
エナメル質の内側にはエナメル質よりいちだんと軟らかい象牙質があり、さらに内側には神経が通っています。象牙質や神経が健康でいられるのは、エナメル質に守られているおかげで、噛んだときに強い力がかかっても歯が壊れないように、そして象牙質や神経にばい菌が入らないように守ってくれています。
エナメル質形成不全症(MIH)の歯は、エナメル質の密度が粗く、防御機能が先天的に弱くなっています。症状が軽度か重度かによってもエナメル質の強度に違いはありますが、健康なエナメル質の歯にくらべると欠けたり崩れたりしやすく、むし歯にも弱いのです。
傷んだエナメル質を放置していると、そこにプラークが溜まってむし歯がはじまり、歯の内部に細菌が入り込み炎症が起きやすくなります。そこでふだんから歯が崩れてきていないかを観察し、必要に応じてレジンで歯を補修しながら、むし歯のリスクをコントロールしていく必要があります。
歯科医院の定期検診で早期発見を!
痛いときだけ治療を受けていると、それ以前の患者さんの状態を歯科医師が知らないだけに、ただのむし歯だと判断され、本当の原因が明らかにならないこともあるかもしれません。まして、神経が太くて大きい子どもの歯の場合、むし歯は激痛になりやすく、それに加えて治療への恐怖心が加わると、落ち着いて詳細に診察をし、必要なむし歯予防の指導を行い、写真を撮って記録し経過観察に生かすといった通常の診療が難しくなることもしばしばです。そこで、歯科医院には、お子さんが痛くつらい思いをする前から、少なくとも永久歯が生えてきたらぜひおいでください。
エナメル質形成不全症(MIH)を早期に発見するために、学校の歯科検診に加えて、歯科医院でも検診を受け、その後も定期的なメインテナンスを続けていきましょう。
引用参考文献:nico 2015年7月号