「むし歯予防の実力派!フッ素が歯を丈夫にするわけ」

そもそもフッ素ってなに?

 フッ素とは、土の中や海水、食べ物やお茶、そして私たちのからだにも含まれている天然のミネラル成分です。海水には約1.3ppm、川の水には約0.1ppmのフッ素が含まれており、じつは私たちにとって、とても身近な成分なんです。

 現在国内で販売されているほとんどの歯磨き剤には、むし歯予防を目的に、薬事法で定められた1,000ppm以下のフッ素が配合されています。フッ素は、微量でも口の中に長くとどまることによって効き目を発揮します。どれくらいで効果があるかというと、およそ0.05ppm〜1ppm。ppmとは、百万分の1という意味ですので、つまり0.000005〜0.0001%という低濃度。これくらいのわずかなフッ素が口の中にあると、むし歯予防に働いてくれるのです。

 

どうやってむし歯を予防するの?

 歯の結晶は、カルシウムイオンと水酸化イオン、リン酸イオンという3つのイオンが結合してできています。この結晶は、むし歯菌の出す酸に触れるとバラけてイオンに戻り、だ液の中に溶け出します。一方、だ液の中に溶け込んだ歯のイオンは、再び結合して結晶になり歯に戻ります。この出たり入ったりのバランスによって、歯の健康は保たれています。フッ素はだ液の中のイオンが結晶になるのを促進し、スピードを上げてくれます。すると歯がよく修復されるので、むし歯ができにくく、進行もしにくくなるというわけです。

 さらに特筆すべきは、こうして歯に沈着した結晶がふたたび脱灰しだ液の中に溶けるときには、フッ素がイオン化し放出されるということです。つまり歯自体がフッ素の貯蔵庫でもあるのです。

歯のプロと一緒に効果的な予防を!

 フッ素の効果を最大限に引き出すには、フッ素配合製品の適切な用量や使用法などコツが必要です。またむし歯のリスクにはさまざまな要因がかかわり、その実態は一人一人違います。歯科医院でだ液検査を受け、定期的に口の中をチェックしてもらうと同時に、フッ素の利用法、歯みがき、食事についての指導やプロフェッショナルクリーニング、フッ素塗布を受けて、リスク管理とトータルケアをお願いするのがいちばんでしょう。

 むし歯のリスク管理は、子どもにとってはもちろん、大人にとっても重要です。中高年に多発する根面う蝕など、年齢とともにむし歯のリスクが高くなって、自分だけでは予防が難しいケースも出てきます。歯医者さんと一緒に大切な歯を守っていきましょう。

引用参考文献:nico 2015年6月号