自覚のないブラキシズムにご用心!
「治療した歯がよく壊れる」と悩んで来院した患者さんのお口の中に、ブラキシズムの明らかな痕跡を見つけて「歯ぎしりしていませんか?」と尋ねると、「してませんけど」と答える方は、じつはめずらしくありません。
ブラキシズムには日中する
ものと睡眠中にするものがありますが、歯やあごの健康への悪影響が問題になりやすいのは、睡眠中の歯ぎしり・食いしばりです。睡眠中の無意識で行われる歯ぎしり・食いしばりは、そのたびに自分で気づいて止めるということができません。しかも日中の歯ぎしり・食いしばりに比べると、睡眠中は歯やあごを守ろうとする防御機構が働きにくく、自分の歯を自分で痛めてしまうほどの強い力が加わります。
また、歯周炎で炎症が起き歯槽骨が減っている方の場合は、歯ぎしり・食いしばりの力が毎晩のようにかかっていると、力のために歯を支えている歯槽骨が圧迫されて失われやすく、歯周炎の病状が悪化しやすかったり、治療しても治りにくいなどの問題が起きやすくなります。
そもそも原因はなんなの?
歯ぎしり・食いしばりの原因として、現在最も有力視されているのがストレスです。それならば、原因であるストレスを減らすのがもっとも効果的な対処法のはず。しかし生活をガラリと変えてしまうわけにはなかなかいきません。それに、ストレスのほかに睡眠の質や服用中の薬の影響、飲酒、喫煙なども関わっているとされていますし、こうした原因だけではうまく説明がつかない領域も、いまだ残されています。
引用参考文献:nico 2015年8月号