お父さん、お母さんのお口は大丈夫?
私たちの歯科医院では、お子さんの付き添いで来院した親御さんにも、「お子さんといっしょに、むし歯のリスクを測る唾液検査を受けませんか?」とお勧めしています。じつは親御さんのお口は、お子さんのむし歯のリスクと切っても切れない、合わせ鏡のような存在だからです。
むし歯菌は、赤ちゃんの頃に主に親からうつり、これが一生定着します。親にむし歯菌が多いと子どもに感染しやすく、少ないと感染しにくいのです。子どものお口のむし歯菌を解析してみると、一般的にもっとも多いのが母親由来、つぎに父親由来、つぎに祖父母や保育者となります。とすると、お子さんの唾液検査で検出されるむし歯菌も、おそらくは親御さん由来。そこで、「お子さんのお口に影響を与えたご自身のお口も一度調べませんか?将来のご自身の歯の健康のためにも、ぜひどうぞ」というわけです。
忙しい子育て世代こそ。早期受診を!
親子で唾液検査を受けていただいた結果を見て驚いたのは、親御さんご自身のお口の中にあ
る問題の多さでした。むし歯でいえば、リスクが高いと判定が出る方が、4割ほどもいらっしゃったのです。
こうしたお口の中には、詰め物や被せ物がいくつもあり、それは、「悪くなったときだけ歯科医院に行き治療を受けてきた」というこれまでの歯科とのかかわりを物語っていました。
悪くなった歯をいくら上等な材料で詰めたり被せたりしても、人口のものはいつか壊れます。できるだけ歯の健康を保って大切に使っていくことが、一生自分の歯で食べるために、とても大切なことなのです。
親子受診で予防効果をアップさせよう!
親御さんが歯科医院のメインテナンスを受けて効果を実感してくださり、「悪くなってから治療に行く」から「悪くならないように予防する」へと考え方を変えてくださると、歯に対するご家庭の意識が変わります。すると、食習慣やフッ素の使い方、仕上げみがきの工夫などの相乗効果が生まれ、お子さんのむし歯予防にもよい影響があることでしょう。
せっかくのお子さんの付き添いで来院してくださっているのなら、この時間を最大限に有効活用し、試しに唾液検査を親子で受けてみてください。
そこからきっと、「これまでとはまったく違った歯科医院とのお付き合い」が、始まると思いますよ。
引用参考文献:nico 2016年6月号