その気がかり、歯科がお役に立てるかも。
高齢の方、持病や障害などがある方の場合、ご自分で歯科医院に通うのは難しく、かといって、ご家族の方が医院に毎回付き添われるというのもたいへんです。
では、我慢してもらうしかないのでしょうか。いえいえ、医科の先生が定期的におうちに来てくださるように、歯科でも在宅の方への「訪問診療」を行なっているところがあるんです。歯科医師や歯科衛生士が定期的に訪れ、入れ歯の調整・修理・製作、口腔ケアなどを行い、その方のお口の健康を継続的に管理していきます。
お口を清潔に保ち、栄養を摂るためのコンディションを整えることは、ご家族のお力だけでは難しいこともあります。そんなときに、お口のプロフェッショナルである歯科の訪問診療をご利用いただければと思います。
口腔ケアはシゲキが肝心。
介護を受けられている方にとってとくに怖いのが誤嚥性肺炎。その予防に大切なのが、皆さんもご存知の「口腔ケア」です。
しかしこの口腔ケア、たんにお口の中をきれいにしているだけでなく、じつはお口の粘膜や舌を刺激する効果もあるんです。
お口や舌は、刺激を繰り返し受けるうちに神経がつながって、完全とはいえないまでも、衰える前の動きを取り戻せる可能性があります。そうやって、低下した「飲みこむ力」を目覚めさせるというのも、口腔ケアの目的のひとつなのです。
ですから、ご家族の方のお口をみがいてあげるときは、食べかすやプラークを落とすことだけでなく、歯ぐきや舌、お口の粘膜などに刺激を与えることも意識してあげてください。
訪問診療では、その際の正しい姿勢やみがき方、手順について、ケアを受けられる方にあったやり方を歯科衛生士がお教えいたします。
歯科の訪問診療を利用するには…?
訪問診療を受ける方にかかりつけの歯科の先生がいらっしゃるようなら、まずはそちらにご相談を。先生が訪問診療をしていなくても、お知り合いの先生を紹介してもらえることがあります。かかりつけの歯科の先生がいない場合は、ケアマネジャーや地域包括支援センター、地域の歯科医師会などにご相談ください。
歯科医師や歯科衛生士に定期的にお口の中を診てもらうことは、全身の健康維持にもつながります。大切な人、または将来のあなた自身の“快適在宅ライフ”のために、歯科の訪問治療をお役立てください。
引用参考文献:nico 2016年12月号