睡眠不足は歯にも悪い?知っておきたい眠りとお口の関係

 

こんにちは。院長の葉です。
7月に入り、夏の暑さが
本格的になってきました。

 

昼だけでなく夜も暑さが続くと
寝苦しさを感じることで、
なかなか寝付けずに睡眠不足に陥ることも。

 

この睡眠不足
心身の健康にとっての大敵ですが、
実はお口にも悪影響を及ぼすことを
ご存じでしょうか?

 

今回は睡眠とお口の健康の関係性について
お話ししていきます。

 

 

 

 

◆睡眠不足で歯が危険にさらされる!?

 

不十分な睡眠によるリスクのひとつが
むし歯の進行です。

 

「しっかりと歯みがきをしていれば大丈夫」
と思われるかもしれませんが、
これだけでは
むし歯を防げない恐れがあるのです。

 

では、どのようにして睡眠不足が
むし歯の進行を招くのでしょうか?

 

その要因は、だ液の減少です。

 

だ液はお口の中の汚れを洗浄したり、
歯の修復を促したりすることで、
むし歯の進行を防ぐ役割を果たしています。

 

しかし、睡眠不足によって
自律神経が乱れると、
だ液の分泌量が減少します。

 

この結果、だ液によって
歯を守る働きが不十分になり、
むし歯が進行しやすくなります。

 

 

 

 

 

◆むし歯だけじゃない!?
 睡眠不足によるもうひとつのリスク

 

睡眠不足によって引き起こされる
もうひとつのリスクが歯周病の悪化です。

 

歯周病は歯を支える骨が
溶けてしまう病気で、
最悪の場合は
歯が抜けてしまう恐れもあります。

 

では、睡眠不足と歯周病は
どのように関係しているのでしょうか?

 

これらを結びつける
キーワードが「糖尿病」です。

 

糖尿病は血液中の血糖の増加により、
やがてさまざまな合併症を引き起こす病気で、
数ある発症要因のひとつに
睡眠不足が挙げられています。

 

そして、糖尿病は
先に述べた歯周病と深い関係があり、
相互に症状を悪化させることが
明らかになっているのです。

 

 

 

いずれも自覚症状に乏しいため、
「気づいたら糖尿病も歯周病も悪化していた…」
といった事態にもなりうる、
まさに恐ろしい病気です。

 

 

 

 

◆良質な睡眠のカギは「歯の本数」にあり

 

先にご紹介したケースとは逆に、
歯の状態が睡眠時間に影響を及ぼすことも
あると言われています。

 

ある研究では、
歯の本数が少ないと睡眠時の呼吸を妨げ、
睡眠時間に影響する恐れがある、
との指摘をもとに、
調査が実施されました。

 

その結果、歯の本数が少ない人は
20本以上歯がある人に比べて、
睡眠不足、または長時間眠りすぎるリスクが
高くなることが明らかになりました。

 

このように、お口と睡眠は
お互いに深い関係性があり、
ときに健康そのものを左右するといっても
過言ではありません。

 

 

 

 

◆お口のケアと良好な睡眠で
 健やかな毎日を!

 

健やかな生活を送るためには
良質な睡眠とお口の健康維持、
どちらも欠かすことができません。

 

 

 

 

毎日の生活習慣を整えつつ、
お口の状態に不安がある方は
早めに歯科を受診することをおすすめします。

日々のセルフケアで
万全の対策を心がけて、
暑い夏も元気に乗り切りましょう!

 

 

 

医療法人社団 ハートデンタルクリニック
〒885-0031
宮崎県都城市天神町19街区21号
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高血圧とお口の意外な関係!知られざるリスクとは?

 

こんにちは。院長の葉です。
初夏の日差しがさわやかな季節となりました。

 

さて、毎年5月17日は世界高血圧デーです。
高血圧と聞くと「食生活」や「運動不足」が
真っ先に思い浮かびますが、
実はお口の健康とも密接に関わっています。

 

今回は、高血圧と歯科の
意外な関係についてご紹介しましょう。

 

 

 

 

◆血圧の薬がもたらすお口の変化

 

高血圧はそれ自体がお口の環境に
影響を及ぼすことは少ないものの、
血圧を下げる薬(降圧剤)の副作用
次のような変化をもたらします。

 

・歯ぐきが腫れて歯が磨きにくくなる

アダラート、ノルバスクなどをはじめとした
高血圧治療でよく処方されるカルシウム拮抗薬は、
副作用で歯ぐきの腫れを引き起こすことがあります。

 

腫れが大きくなると歯ブラシを当てても
プラークが除去しづらいほか、
見た目の問題や発音のしづらさなど、
生活の質にも影響を及ぼします。

 

 

 

・お口が渇いて汚れがたまりやすくなる

降圧剤の副作用では
「お口の渇き」も代表的な症状です。
先にご紹介したカルシウム拮抗薬のほか、
フルイトランやラシックスなどの利尿薬も
副作用としてお口の渇きを
招くことがあります。

 

これらの服用でお口が渇きやすくなると、
だ液が持つお口のクリーニング作用や、
歯の表面を修復する作用が働きにくくなり、
結果としてむし歯や歯周病、
口臭のリスクが高まってしまいます。

 

 

 

 

◆歯が少ないと高血圧に?
 お口の健康と血圧の関係

 

最新の研究では、
歯の本数が少ない、あるいは噛む力が弱いと
高血圧になりやすくなることも明らかになっています。

 

あるデータでは、
奥歯で噛めない人は高血圧のリスクが約1.7倍
高くなることが示されています。

 

なぜ、噛めなくなると
高血圧のリスクが高くなるのでしょうか。
その理由の1つに
「食べものの選り好み」が考えられています。

 

例えば、奥歯で噛めなくなると、
多くの人は繊維質の多い果物や
緑黄色野菜を避けがちです。
しかし、これらの食品には
血圧の安定に必要なカリウムが豊富に含まれており、
不足すると血圧の上昇を招いてしまいます。

 

 

 

このような現象は
とくに高齢者に多くみられることから、
将来的な病気のリスクを減らすためにも、
若いうちからお口の健康を保つことが重要です。

 

 

 

 

◆高血圧の予防・管理のカギは
 歯科での定期検診

 

以上のことからもわかるように、
健康的な毎日を送るうえでは
食生活や生活習慣の改善にくわえ、
お口の健康維持も重要な役割を担っています。

 

なかでも、歯科での定期検診
高血圧の予防・管理において、
次の2つの効果があります。

 

・高血圧の薬の副作用によって生じるお口トラブルを防ぐ
・お口の健康を保ち、歯を多く残すことで高血圧を予防する

 

 

 

 

自宅での正しい歯みがきや
食生活の改善に加え、
歯科での専門的なチェックも含めた
全身の健康を守る習慣づくりを
心がけましょう!

 

 

 

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無症状でも油断禁物!? レントゲンで発見される隠れた病気

 

こんにちは。院長の葉です。

 

2月16日は日本で初めて
天気図が作成された「天気図記念日」だそうです。

天気や気圧、風速などを
地図上に描いたものが天気図。
これによって初めて天候の流れを可視化できるように
なったといわれています。

 

ちなみに歯科診療における
可視化(見える化)といえば
「レントゲン検査」を欠かすことはできません。

 

歯科の病気の中には自覚症状がほとんどなく、
レントゲン検査で偶然発見される病気が
いくつか存在しています。

 

今回は、そうした病気の中から
代表的なものを3つ、ご紹介していきましょう。

 

 

 

 

◆レントゲンで見つかる病気や症状1
 歯根吸収

 

歯根吸収
主に歯のケガや矯正治療が原因で、
歯の根っこ(歯根)が少しずつ
溶けて短くなる現象です。

 

しかも、一度溶けてしまった歯根は元に戻らず、
短くなりすぎると歯がグラグラしたり、
抜け落ちたりすることがあります。

 

初期の段階では症状がないため、
レントゲンを撮らなければ
なかなか発見に至りません。

 

 

 

 

 

◆レントゲンで見つかる病気や症状2
 顎骨嚢胞(がっこつのうほう)

 

嚢胞(のうほう)とは
体の中に作られる袋状の病変で、
中でも「あごの骨」の中にできたものが
顎骨嚢胞(がっこつのうほう)です。

 

 

 

最初のうちは
痛みや腫れといった自覚症状がなく、
知らないまま放置されてしまうことも
珍しくありません。

 

放置された嚢胞は次第に大きくなり、
歯の位置がズレたり、
顔の形が変わったりする原因になります。

 

 

レントゲンでは、こうした
自覚症状の乏しいお口の異常にも、
いち早く気づくことができます。

 

 

 

 

◆レントゲンで見つかる病気や症状3
 歯の位置や生え方などの異常

 

本来あるべき位置や向きに
歯が生えていない、あるいは
「歯の数が足りない」「多い」といった異常も、
レントゲンで偶然発見されることがあります。

 

 

中でも代表的なのが、
横向き・斜め向きに生えている「親知らず」です。

 

 

 

このような親知らずを放置すると、
歯ぐきの腫れ
痛みを繰り返すことも少なくありません。

 

また、「歯の数の異常」なども
レントゲンを撮らないと
なかなか気づくことができません。

 

放置すると、
大人になっても永久歯が生えてこなかったり、
「歯並び」や「かみ合わせ」が
悪くなったりすることがあります。

 

 

 

 

◆レントゲン検査で
 むし歯・歯周病以外の病気もチェック!

 

歯科のレントゲン検査には
むし歯や歯周病の有無、
進行状況を知るだけではなく、
自覚症状のないお口の異常を
早期に発見できる
メリットがあります。

 

病気に早く気づくことで
将来的なリスクに対応できるほか、
病状が悪化する前に
適切な治療を受けることが可能です。

 

 

このようにレントゲンは
お口の状態を正確に調べる手段として
非常に効果的です。

 

また、患者の皆さまもご自身の状態を
より深く理解することができます。

 

皆さまに安心して治療を受けていただけるよう
スタッフ一同取り組んでまいりますので、
ご不安なことがあれば
いつでもお気兼ねなくお声がけください。

 

 

 

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新型ウイルスへの防御力、上げましょう!お口からはじめる感染症対策!

新型コロナウイルスという新たな脅威の詳細は、まだ明らかではありません。しかし、インフルエンザウイルスと同じエンベロープ(被膜)をもつウイルス族だけに、感染の仕組みは共通していると考えられます。ですから、新型コロナウイルスから身を守るためにもっとも参考になるのは、インフルエンザの予防法でしょう。そこで、インフルエンザウイルスを例に、ウイルスがどのように私たちの体内に入り込むのかをみていきましょう。

 

ウイルスはどうやって体内に入り込む?

 ウイルスはみな、生きた細胞に入り込まないと生きられず、細胞の中でしか仲間を増やせないパラサイトです。

 ノドなどの粘膜細胞のレセプター(細胞の膜にある受容体/入口)に吸着すると、自分を包む膜と細胞の膜を一体化させてスルリと内部に侵入し、細胞の中に自分の遺伝子を放り込みます。そして乗っ取った細胞のタンパク質やエネルギーを利用して、自分の遺伝子を増殖させていくのです。

 とはいえ、粘膜細胞はそうやすやすと乗っ取られるわけではありません。ふつうは豊富な粘液で覆われているので、ウイルスがレセプターに吸着しようとしても、粘液が邪魔してなかなか吸着できないのです。

 

歯周病菌がウイルスの侵入を手引きする?!

 ただ、この粘膜による防御作用が弱くなってしまうことがあります。それにかかわっているのが、思わぬ伏兵、「歯周病菌」なのです。お口にプラークがたっぷりあり、歯周病菌が跋扈していると、歯周病菌の出す毒素が粘膜の層を溶かして壊します。するとウイルスの標的である粘膜細胞のレセプターが丸見えになり、吸着が容易になってしまう。つまり歯周病菌が、ウイルスがすばやく体内へ侵入できるよう手引きするのです。

 歯周病菌とウイルス感染のかかわりは、これだけではありません。歯周病菌の出す毒素が、ウイルスのもつ「細胞の入口を開ける鍵」をパワーアップさせてしまうこともわかっています。

 お口の中で歯周病菌が増える原因は、お手入れ不足です。歯みがきを怠ってプラーク(細菌のかたまり)が溜まったり、歯周病菌の巣になった歯石を放置していたりすると、歯周病が起きてしまいます。

 感染症から身を守るには、マスクに手洗い、うがい、体調管理と3密を避けること。これに加え、「ふだんからお口の中を清潔にして歯周病を予防すること」とおぼえてください。そのためには、歯科医院への定期受診もお忘れなく!

引用参考文献:nico 2020年7月

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奥歯がないと糖質過多に?!噛めるお口で減らす 糖と脂肪のおはなし。

奥歯を失ったままだと太りやすい?!

 奥歯を失って、不便に感じながらもいつの間にか慣れてしまい、治療を先延ばししている患者さんをときどきお見受けします。ですがこの「慣れ」こそ怖いのです。

 奥歯を失うと、咀嚼機能が低下します。すると、ラーメンやカレーライス、スナック菓子といった、軟らかくて食べやすく、簡単に満足感を得られやすいものに手が伸びやすくなります。こうした食事はカロリーオーバーを引き起こしやすい一方、筋肉量の維持に必要な動物性タンパク質や、老化を防ぎ体調を整える抗酸化物質、ビタミン、ミネラル、食物維持などに乏しく、深刻な栄養不足をまねきやすいのです。

 奥歯を失ってから、食の好みが変わってきていませんか?糖尿病や脳梗塞、心筋梗塞などの発症リスクを減らすために、歯科治療で噛めるお口を取り戻しましょう!

 

肉や野菜、不足していませんか?

 奥歯を失うと次第に食べにくくなるもの、その代表格が「肉と野菜」です。

 奥歯を失ってからよく噛めない状態は、本来とても強いストレスを生みます。その結果ストレスを感じずに食べられる軟らかい食事を自然と好むようになり、糖質過多、低タンパク質、低ビタミン、低ミネラルに陥ってしまう人がとても多いのです。

 タンパク質の摂取が不足すると、「サルコペニア」(骨格筋減少症)になる危険性が。これはつまずきや転倒の原因で、いま話題のフレイル(要介護状態への前段階)に直結します。くわえて、ビタミンやミネラルは、摂取したタンパク質を使って効率よく筋肉量を維持するために欠かせません。

 しっかりと栄養の摂れるお口を戻すにはどんな治療法があるのか、歯科医院でご相談いただきたいと思います。

 

噛めるようになってからもご注意を!

 奥歯にインプラントが入ると、以前のように「よく噛めるお口」が戻ってきます。ただ、私が非常に気になっているのが、急激な体重の増加です。入れ歯やインプラントの治療を終えた患者さんに、少なからず起きてくる変化だからです。

 噛まずに流し込める軟らかい食事は、歯が入っても食べやすいことに変わりはありません。そのため、放っておくと治療後も、奥歯がなかった頃の食の好みが継続してしまいます。定着した食習慣を改善するのは難しいものですが、改善をしないとますますメタボが加速し、動脈硬化や糖尿病などを発症、または重症化させかねません。

 治療が終わってよく噛めるようになったら、歯科医院や職場の栄養相談を利用して管理栄養士などの専門家の指導を受け、からだに良い食生活に戻していきましょう。

引用参考文献:nico 2019年10号

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お口に悪いだけじゃないんです。歯周病とからだの病気

 「お口の病気である歯周病がからだの病気に関係する」という話は、みなさんも耳にしたことがあるでしょう。今月は、特に関連性が高いと考えられている病気について、進行した歯周病がどのようにかかわっているかを、現在想定されているパターンをもとにご説明します。

 

歯周病菌が脳梗塞や心筋梗塞を起こす?!

 歯周病が進行すると、腫れて出血した歯ぐきから歯周病菌が体内に侵入します。血流に乗った歯周病菌は、血管の内壁に入り込み、死んだあとにおかゆのようなかたまりとなります。すると、コレステロールが血管に沈着して動脈硬化を起こすように、かたまりとなった歯周病菌が血管を狭くし、血流を阻害するのです。これが脳の血管で起これば脳梗塞、心臓の弁で起これば心筋梗塞を起こしかねません。

 

歯周病の炎症が糖尿病を悪化させる?

 糖尿病は、すい臓から分泌されるインスリンの働きが悪くなり、血糖の濃度(血糖値)が慢性的に高いままになってしまう病気です。歯周病に侵された歯ぐきでは、炎症が起こっていますが、進行した歯周病の場合、歯ぐきから「炎症性物質」がからだに入り込み、血糖値を低下させるインスリンの働きを邪魔します。その結果、糖尿病が悪化すると考えられています。

 

お口の細菌たちが誤嚥性肺炎の原因に!

 誤嚥性肺炎は、本来は胃に入る食物や唾液が、誤って気管から肺に入ってしまうことが原因です。肺の中で食物や唾液に含まれていた細菌やウイルスが増殖し、肺炎を起こします。歯周病になっていてお口の中に細菌が多い状態だと、肺に入り込む細菌の量も必然的に多くなります。

 

歯周病が早産や低体重児出産を招く?!

 歯周病による炎症性物質の増加は、妊娠中の母親のからだに作用し、子宮の収縮を引き起こす恐れがあります。子宮の筋肉が収縮した結果、赤ちゃんが押し出されて予定より早く生まれてしまうのです。また、歯周病菌が子宮内部に感染して早産を促す可能性も指摘されています。

 炎症が起きている歯ぐきは傷口と同じで、歯周病菌が体内に流れ込む入口になります。「歯ぐきから血が出る」という方はできるだけ早く歯科で治療を。炎症のもとであるプラークと、プラークがたまる足場となる歯石が除去されれば、炎症は徐々に治まります。

 

 今は異常はないと感じている方も油断は禁物。少なくとも半年に1回は、歯科でメインテナンスを受けてくださいね。

引用参考文献:nico 2019年8月号

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歯科の治療と予防がサポートします。よく噛めるお口で目指せアクティブシニア!

 

からだに良い食事をしようと、テレビやネットで評判の食材をいろいろと試している方、多いですよね。でも、そうした食べ物を摂るために不可欠な「歯の健康」や「歯科治療」についてはいかがでしょう?

 

噛めないとたんぱく質不足&糖質過多に!

 高齢になり歯が減って、失った歯の機能を補う歯科治療も十分に受けていないといった状態が続くと、食べられないものが徐々に増え、栄養摂取そのものに問題を抱えるようになります。

 たとえば、全体的に食が細くなったり、やわらかいものを好んで食べるようになり、食事全体に占めるご飯類や麺類の比重が増えがちに。また、手軽に満足感を得られるお菓子の間食も増える傾向があります。その結果、糖質過多になり、血糖値のコントロールが難しくなります。

 そしてさらに深刻なのが、たんぱく質不足。肉を噛み切ることが難しくなると、自然と箸が向かなくなり、知らず知らずのうちにたんぱく質不足に陥りやすいのです。たんぱく質の不足は、筋肉量の減少や、体力・免疫力の低下をまねき、ついには虚弱そして要介護状態に陥る一因となります。

 

アクティブシニアを歯科治療が応援!

 歯を失いはじめる働き盛りの年代は、日々の忙しさに、歯科治療をとりあえずの応急処置ですませがち。ふだん歯科に定期受診をしていない方も多いと思います。

 しかし、歯を失いはじめた頃に、歯を悪くした根本的な原因を突きとめて喪失を食い止めておかないと、60代、70代と同じようなトラブルがほかの歯にも起きて、ドミノ式に歯を失うことになりかねません。

 噛めるお口は、低栄養の予防はもちろん、認知症の予防にもたいへん重要です。歯科医院に相談し、入れ歯やインプラントなどご自分に合う治療の選択肢を検討して、噛めるお口を取り戻してください。

 

運動をプラスして筋肉量を維持しよう!

 よく噛んで食べられるお口を取り戻せたら、つぎに重要なのは「運動」です。噛めるお口を取り戻す治療は、アクティブシニアになるための土台づくりにすぎません。摂取した栄養を十二分に生かすには、からだを動かすことが大切です。必要な筋肉量を維持できるよう、ウォーキングやエクササイズを日常的に取り入れてみましょう。

 私たちの健康は、私たちが意識する以上に「噛めるか・噛めないか」の影響を受けています。アクティブシニアを目指して、働き盛りのころから歯科の治療と予防指導を受け、大切な歯を守っていきましょう。

引用参考文献:nico 2018年10月号

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だいじょうぶかな?ちょっと気がかり。妊婦さんの歯科治療!

 「妊娠すると歯が悪くなる」とよく言われますが、これは本当のことです。妊婦さんのお口の中はつわりで歯みがきが難しくなったり、歯周病菌の好む女性ホルモンがさかんに分泌されるので、むし歯菌や歯周病菌が増えやすくなります。そのため、歯痛に悩む妊婦さんや、歯ぐきを腫らす妊婦さんは少なくありません。

 さて、そういうときに気になるのが、歯科治療で使われる麻酔薬やレントゲン。今月は、そうした妊婦さんならではの歯科治療の気がかりにお答えします。

 

気がかり① 歯科の麻酔薬

 歯科の局所麻酔で使われているのは、お産に使われているものと同じ麻酔薬です。一般的な歯科治療でもっとも多く使われているものと麻酔薬「リドカイン」は、無痛分娩や帝王切開にも用いられ、妊婦全週で問題なく使用できるとされています。

 

気がかり② 歯科でもらうお薬

 お薬の安全性については、お腹の赤ちゃんに実際に試してみるわけにはいかないため、確認されているお薬はありません。歯科では、比較的安全性が高いとされるお薬を、その効果が赤ちゃんへの影響を上回ると判断した場合に限り、必要最小限の処方をしています。

 

気がかり③ レントゲンの被ばく量

 歯科のレントゲン撮影の放射線量は、歯科用デンタルレントゲン撮影1枚につき約0.008mSv(ミリシーベルト)。パノラマレントゲン撮影1枚につき約0.01mSvです。

 日本に住んでいる人が1年間に浴びる自然放射線量は約2.1mSv。デンタル1枚の放射線量はその1/262、パノラマ1枚も1/210にすぎません。

 「産婦人科診療ガイドライン産科編2014」によれば、「50mSv(=50mGy)未満の放射線量であれば、お腹の赤ちゃんへの影響と被ばく量との間に関連は認められない」とされています。ご不安な場合は、撮影時に防護エプロンを着ると、腹部の被ばく量をさらに減らせます。

 

 妊娠中でも、基本的には通常の歯科治療を受けられます。治療を躊躇すると思わぬ悪化をまねくこともあるので、症状が軽いうちに歯科医院で検査を受け、産科の主治医と相談しつつ、体調に合わせて治療を受けましょう。特に重度の歯周病の炎症は「低体重児出産(早産)」に関連するといわれています。早めに歯科に相談して、プロのサポートを得ながら大切な歯と赤ちゃんを守ってくださいね。

引用参考文献:nico 2018年5月号

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子どもの過剰歯・欠如歯 etc. をチェック!パノラマレントゲン 一度撮りましょう

 

 お子さんの永久歯の生え代わりは、うまくいくのが当たり前だと思いがちですが、じつは、外から見ているだけではわからない問題が起きてくることがあるんです。

 なかでも特に多いのが「過剰歯」と「先天性欠如歯」。ですが、これらは早期発見で歯並びや噛み合わせを守ることのできる場合も多々あります。お子さんが7歳くらいになったら、一度歯科医院でパノラマレントゲン(お口の中全体のレントゲン写真)を撮ってみませんか?

 

30人に1人!の「過剰歯」

 「過剰歯」とは「余分な歯」のこと。親知らずを除いて本来必要な28本の永久歯のほかに、余分な歯の芽ができ、育ってしまったものをいいます。

 過剰歯の問題点は、その余分な歯が、スクスクと生えてきてほしい永久歯の道筋をさえぎったり、それだけでなく、押して傷めてしまうことです。過剰歯が見つかる場所はたいていが上あごの前歯の周りで、「前歯がなかなか生えない」「前歯の生え方が変だ」と相談に来院した際、レントゲンで発見されることが多いです。

 周りの歯の被害を防ぐには、早期発見が肝心。7歳を過ぎたら一度パノラマレントゲンを撮って、診てもらっておくと安心です。

 

10人に1人!?の「先天性欠如歯」

 必要な本数があごの中で育たず、歯が足りない「先天性欠如歯」は10人に1人程度に見られ、けっして特殊ではありません。あわてずに、まずは治療が必要か、経過観察でよいかを、お子さんの治療に慣れた歯科医師に診てもらいましょう。

 矯正治療で対応できたり、乳歯がよい状態で残っているのなら、むし歯を予防して乳歯を大事にもたせ、経過観察をして、大人になって乳歯がダメになってからブリッジやインプラントを入れるという方法をとります。成人になっても乳歯を続けて使えるケースもめずらしくありません。

 欠如歯の治療は、将来を見越しながら進めていくことが大事。ぜひ気長にお付き合いください。

 

 「お子さんにレントゲンを」というと、放射線量が気になるかと思いますが、歯科では患者さんが最小の被ばく量で最大の利益を得られるよう適切に撮影しています。

 過剰歯や先天性欠如歯をはじめ、お子さんのお口の中は、レントゲンで診ないとわからないことがたくさんあります。お子さんのお口の健康を守るために、パノラマレントゲンをお役立てください。

引用参考文献:nico 2017年8月号

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糖尿病、高血圧 etc.持病のある方 歯科受診にもお薬手帳を忘れずに!

「お薬手帳」は歯科でも役に立ちます。

 「歯科の受診時に『お薬手帳』を」なんて聞くと不思議に思う方もおられるかもしれませんね。からだとお口の中のことは、ともすると別物と思われがちです。しかし実際には、持病やその治療薬や歯科治療に与える影響はたいへん大きいのです。

 たとえば、血液サラサラの薬を飲んでいる患者さんが、それを歯科に知らせず抜歯を受けたら血が止まらずたいへんなことに。歯科医師が適切な配慮をし安全な治療をするには、正確な情報が必須なのです。

 ただそうは言っても、正確に伝えることは容易ではありません。病院をかけもちし、いろいろな薬を飲んでいる方も珍しくないですし、受けている治療をご自分ですべて把握しておられるとも限りません。

 そういうときに頼りになるのが「お薬手帳」。少なくとも医科で治療中の方に関しては、受けている治療、飲んでいる薬が歯科医師に正確に伝わります。

 

歯科治療に影響する持病と薬って?

 とくに「糖尿病」と「高血圧」は歯科医療への影響大。このふたつの病気はかかっている人が多いだけでなく、血栓症、動脈硬化、腎不全などの合併症が起きるきっかけとなります。

 糖尿病の方は、歯周病の炎症が起きやすく、治りにくい傾向があります。また、手術後や抜歯後の傷が治りにくく感染しやすいです。

 糖尿病の合併症である心血管病の治療のために血液サラサラの薬(抗凝固薬、抗血小板薬)を飲んでいると、外科処置後になかなか血が止まりませんので、止血処置を念入りに行う必要があります。

 高血圧の方は、血圧のコントロールがされていないと、歯周ポケットの深いところをスケーリングしたり、歯ぐきの切開や抜歯などの外科処置をしたときに出血しやすい傾向があります。

 高血圧の合併症である心血管病の治療のために血液サラサラの薬を飲んでいると、外科処置後になかなか血が止まりません。また、血圧がコントロールできていないと、治療中に血圧が急上昇してめまいやふらつきが起きて危険なことも。

 ほかにも、骨粗しょう症の治療薬(BP剤)、リウマチやアレルギーの症状を抑えるステロイドなども治療に影響します。

 

 いまどんな持病の治療を受け、どんなお薬を飲んでいるのか、正確かつ簡単に伝えられる「お薬手帳」。皆さんの口やからだを守るために欠かせないものですので、ぜひ歯科受診の際にもお持ちください。

引用参考文献:nico 2017年3月号

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