口から始めるアンチエイジング!

歯とアンチエイジングって意外な組み合わせに思えますが、全身の健康はもちろん、見た目の美しさを長く保つためにも口はとても重要な役割を果たしています。

自分が所属している

          『 アンチエイジング歯科医学研究会 』

          『 ドライマウス研究会 』

はリンクしていて、 “  ドライマウス  ”  とは口の中が乾く病気で高齢になるほど患者さまが多いのが特徴です。

単純に

     「 口が渇いたら水を飲めばいいのでは? 」

など軽く考えがちですが、重症になるとそんなレベルではありません。

     「 食べ物を飲み込めない、味わえない、しゃべれない 」
   
など、生活の基本が奪われ、体力も気力も表情も一気に衰えてしまいます。

そうなると、口の老化は必ず全身の老化に結びつくのです。

こうした経緯からも分かるように、口と全身の老化を早める主犯格となるのが、

          『  唾液の減少  』

です。まず、唾液が少なくなると、

・ 食べ物が食べにくい

・ 舌が痛い

・ 味覚がおかしい

・ 口の中がネバネバする

・ 口臭がする

・ 常に口が気になる。。。

などなど数えきれないトラブルが頻発し、これだけでも相当な苦労です。

ただ、問題なのは唾液が口を潤すただの水分ではないことです。

唾液は “ 消化作用 ” により、食べ物を消化しやすくして粘膜を保護するので、十分な唾液に包まれずに飲み込んだ食べ物は消化器官の負担となり、食道や胃腸の病気を招きやすくなるのです。

また、唾液は口に入った細菌やウイルスに対し “ 抗菌作用 ” を示すので風邪やインフルエンザなどの感染率も高まります。

加えて、唾液は口を清潔に保つ “ 浄化作用 ” もあり、口の中が乾いたままだとむし歯や歯周病も増加し、口の中全体の健康な状態を悪化させる引き金になってしまいます。

また、唾液成分の中には新しい細胞をつくったり、活力や気力を生み出すもとになったり、心身の若さと深く関わるホルモンが含まれることも分かってきたのです。

(続・・・)

基本は“ プラークコントロール ”

               “  プラーク  ”

          『 歯の表面に付着した細菌およびその産物の集塊 』

つまり

          『 お口の中の細菌と細菌が出す物質が集まったもの 』

これが  “ プラーク ” の正体です。

また、           “ コントロール ” は 
          
          『 制御すること、統制すること、管理 』

なので           “ プラークコントロール ”

とは、

          『 お口の中の細菌とその産物を何らかの方法で制御すること 』

といえます。

逆に言えば、歯磨きをしなかったり、上手に磨けていないと歯の表面にたくさんの細菌が付着します。

その中のミュータンス菌が増えると、砂糖を利用しながらネバネバした物質をだしてお口の中は酸性の状態になり、長時間酸にさらされた歯の表面は溶けてしまいます(脱灰;だっかい)。

これが  『 むしば 』  の始まりです。

また、歯と歯ぐきの隙間(歯周ポケット)に細菌が増殖すると歯周病菌が増えます。多くの歯周病菌は酸素が嫌いなので、酸素の少ない歯周ポケットが大好きなのです。そこにこれらの細菌の毒素や酵素といった産物が歯ぐきに炎症を起こして、歯を支える骨まで溶かしてしまいます。

これが  『 歯周病;ししゅうびょう 』  で、症状としては、歯ぐきからの出血をはじめ、歯ぐきから膿(うみ)が出たり、歯がグラグラしたりします。

『 むしば 』 も 『 歯周病 』 も感染症なのです。

ある調査では、日本人の歯の歯を失う原因で

・ 32%が むしば

・ 42%が 歯周病;ししゅうびょう

・ 11%が 歯の破折

* あとは矯正や親知らずなどの意識的な抜歯だそうです。

このようにむしばや歯周病になる前はもちろん、これらが原因で歯を失う前、治療後のメインテナンスとしても

               “ プラークコントロール ” 

はとても大事なのです。

お口の状態は全身の健康にも大きく影響することがわかってきていますが、最近では

・脳梗塞(のうこうそく)の人は健康な人よりも歯周病菌が多い

・歯石除去で脳梗塞や心筋梗塞など心血管系の病気のリスクが低下し、歯石除去の頻度が高いとさらにそのリスクが低下する

などという報告があります。

毎日の 『 セルフケアでのプラークコントロール 』 とともに歯医者さんで行う 『 プロフェッショナルケアでのプラークコントロール 』 も大切にしていきたいものです。^^

( この記事は 『 月刊 糖尿病ライフ さかん 6月号 』 を参考にまとめてあります。 )

歯科のエックス線

                      最近何かと話題の放射線ですが、レントゲン博士によって、物質を透過する「 エックス線 」が発見されてから120年近く経過し、以来医学はエックス線の発見によって多大な進歩をとげてきました。

エックス線発見直後から撮影が始まり、数ヵ月後にはもう医学的な応用がこころみられていたそうなので、物質を透過するなぞの放射線が、いかに当時の医学に求められ希望をもたらしていたのか、その切実さが伝わってきます。

また、歯科の分野でも発見から数年で実用化され、目で見るだけでは分からない病巣の検査・診断や治療計画の立案、治療後の経過観察に、と歯科のあらゆる場面で用いられています。

歯科の病気は患者さまから症状をお聞きし、お口の中を診るだけで発見できると思われがちですが、実は問診と視診だけで病状の全体像を発見できるケースはほんの一握りだけです。

痛みや症状があまりないまま歯ぐきのおくで進行する歯周病だけではなく、むし歯ですら必ずしも痛みがでるとは限らず、そのために発見が遅れ、歯を失わざるをえない場合もあります。

なので、むしろ見えないところまでしっかりと診ることが歯科治療ではたいへん重要になります。

実際、エックス線写真を撮影しないと分からないことも多く、正確な診断を下し最小限の侵襲で治療するにはエックス線検査は重要な検査方法になっています。

ただし、問題として残されるのが放射線の与える人体への影響です。

一般的に歯科のエックス線撮影は部位がせまく限られるだけに放射線は少なく健康への問題はないとされています。

しかし、浴びる放射線量が少ないほうが好ましいのは確かなので、いくら歯科治療に重要な検査だからといって、目をつぶってはいけない大切な問題で、歯科医師の責任も重大です。

当医院では通常の放射線量の10分の1のデジタルレントゲンでの撮影をしています。

また、妊婦さんだけではなく、すべての患者さま(小さいお子さんの撮影でレントゲン室に入室される保護者の方へも)へ防護服の着用をしての撮影を徹底しています。

もし不明な点などあれば、お問い合わせメールでもいいのでご相談下さい。

 ※(今回は nico 8月号 を参考に記載しています)

歯ぎしり

この前の宮崎日日新聞に

  危ない「歯ぎしり」   ~顎関節症や歯周病悪化~

というタイトルが掲載されていました。

睡眠中の「歯ぎしり」や「くいしばり」を総称して「睡眠時ブラキシズム」というのですが、

これが

①.一緒に寝ている人の安眠を妨げるだけではなく 

②.歯の磨耗や破損

③.顎関節の障害        など重大なトラブルを引き起こすというもの

他にも歯がしみたり(知覚過敏)、被せ物や詰め物が外れたり、歯周病が進行しやすかったり、口の周りの筋肉が痛んだり、頭痛・肩こりの原因になったりする場合もあります。

ただ、なぜこのブラキシズムが起きるのかは詳しい原因は分かっておらず、これ自体を止めることはできないが、悪影響を最小限にとどめることはできるということで、早期歯科受診をすすめている記事でした。

治療としてはもっぱら悪影響を与えている要因を可能な限り減らすことが目標となります。

「 重要なのは歯の保護と、歯や顎にかかる力の分布を制御すること 」とのこと。

有効なものとしては患者さまに合わせて製作していくもので、睡眠時のみ装着する「ナイトガード」などの樹脂製のマウスピースがあります。

これは歯の表面を磨耗から守るとともに歯にかかる力を歯列
全体に均等に配分するものになります。

日中の意識がある場合は “ 噛みしめている ”ことを常に意識してご自身でできることとしては

1.唇は上下閉じた状態で上下の歯は合わせない

2.噛み合わせていることに気付いたらすぐに離す

3.唇や頬、顎など口の周りの力を抜く

4.緊張時、集中時には姿勢をよくして肩の力を抜いて深呼吸する

5.ストレスをためない

6.重いものを運んだり、激しい運動をするときには特に注意する

などがあります。



また就寝時に注意することとしては



1.寝るときには極力悩み事や考え事をもっていかない

2.リラックスしたイメージ、楽しい経験などを考えて休む

3.高い枕は噛みしめやすくなるので避ける

4.体の緊張ができるだけ取れる体位で休むことが望ましいが、横向きなど顎に力が入りやすい体位にも注意する

などがあります。

お心当たりがある方はまずは歯科医院で早期相談をしてみては?






    

「いまなら間に合う。ストップ!ザ・歯周病」

歯周病菌の除去がすべての基本

 歯周病が細菌による感染症だということを知っていますか?

歯周病の原因は、歯にベッタリとつくプラーク(細菌のかたまりで歯垢ともいう)。

中に潜む歯周病菌が引き起こす炎症によって歯を支える歯周組織が破壊され、最終的には歯が抜けてしまう怖い病気なんです。

また、いったん破壊されてしまうと、たいへんやっかいです。

 歯周病がふつうの感染症と違うのは、病気の原因菌がふだんから私たちの口の中にいる常在菌だということ。

お母さんの産道を通って生まれてくるときに感染するのではないかといわれていて、私たちと歯周病菌の付き合いは、生まれると同時にはじまっているのかもしれません。

ただし、感染したからといってすぐに歯周病になるわけではなく、常在菌である歯周病菌と人間は、本来、平和に共存しているのです。

 

進行を止めるには?

 しかし、歯みがきをサボったり、みがき方が雑だったりして、プラークが蓄積し成熟するにつれて、歯周病菌は口の中で猛烈に増殖します。

すると、それまで保たれていた共生のバランスが崩れ、炎症が起きます。これが歯周病のはじまりです。

 

 歯周病の進行を止めるには、とにかく歯周病菌を徹底的に追い出すこと。

空気にあたると死んでしまう嫌気性細菌である歯周病菌は、歯周ポケットの奥深くや軽石状の歯石の中が大好き。

温かで空気のない恵まれた環境の中に潜んでいます。

そこで、歯周病菌を減らすには、歯面だけでなく、歯周ポケットの中もスケーリング・ルートプレーニング(SRP)でしっかりと掃除します。

それでも取れなければ、歯ぐきを切り開いてデブライドメント(プラークや歯石、汚染された組織の除去)をします。

 

悪化する前に治療開始を!

 歯面のプラーク除去ももちろん重要で、歯科医院のプロフェッショナル・クリーニングであるPMTC、そして患者さんご自身のていねいな歯みがきで、歯周病菌を徹底的に減らします。

毎日の歯みがきも、歯周病菌を減らすための立派な「治療」なのです。

 本特集では、歯周病から歯を救うにはどんな治療が必要かを、病状の進行度別に順次説明してあります。

歯科の実態調査では、日本の成人の約8割がなんらかの歯周病の症状があることがわかっています。

あなたにとっても他人ごとではないはず。痛くないからと放置せず、病状が悪化する前に歯周病の治療をはじめましょう。

引用参考文献:nico 2011年9月号

何でもインプラント治療が1番???

この前の週末は熊本でのインプラントセミナーを受講しに行っていましたが、これは治療方法の1つとしての知識、技術の習得のためです。

最初にお話ししておくと自分はインプラント治療がどなたにとっても “ 最善の方法 ” という考えではありません。

ある人にとってはベストの方法の場合もありますし、過剰な治療方法の場合もあると思います。

しかし、自分に技術がないからといって患者さまが希望している治療方法ができないというのも???


以前、患者さまから入れ歯の作り替えのご質問で

    『 ここでは入れ歯を作るのはいくらなの? 』

というご質問をお受けしたことがあります。そこで保険内での入れ歯で

    『 3割負担で約〇〇円です(約1~2万円くらい 』

とお答えしたところ

    『 そんなに安いのではたいしたものはできないんでしょう? 』

と言われたことがあります。

それでお話ししてみると、以前お住まいの関東の歯科医院ではまず最初の治療計画では、最初からインプラントありきのお話しで治療費はすべてインプラントにして百万円近くだったそうです。

ただ骨の状態でインプラントは無理とのことで、金属床義歯(粘膜に触れる部分を薄い貴金属で製作する自費の入れ歯)をインプラントよりは安いからという理由で50~60万円で製作したことがあったそうです。

今回の入れ歯の作り替えは、その入れ歯が落ちやすいので。。。とのことでした。

それで保険内の入れ歯だとたいした物ではないんでは?という考えになったということ!

そこで、まず製作してみてダメならば保険外の入れ歯の製作もお考えになってみては?とご提案させていただいて、実際はその入れ歯で大満足ということでした。

皆さんはどうお考えになります?

自分の治療計画立案では、患者さまに提供された治療計画の逆になります。

通常は、詰め物でも被せ物でも入れ歯でもすべて患者さまが最初から問診時などで自費診療のご希望あれば、その情報も一緒に提供させていただき治療計画ではいろいろなパターンをお話します。

その上でじっくりご家族などとも相談していただき治療方法を後日最終決定していきます。

その自費診療のご希望ない場合は、まずは保険内のもので製作してみて、満足されない場合は自費診療もお考えになってみては?というスタイルで提案していきます。

(もちろん保険内の診療でもベストを尽くしますので、それで満足される場合も多いです)

もう1つの例では歯の色が気になりホワイトニングご希望の方でも、着色除去や歯石除去を保険内で行うと歯本来の色になり、そこで満足される方も多いのです。

ところで、最初の例に戻りますと自分の中での治療計画では、まず3方法(保険内での入れ歯、保険外での入れ歯、インプラント)のそれぞれのメリット、デメリットも含めてすべてお話しして迷われている方などには、できるだけ負担の少ない方法から行ってみては?という提案をしていきます。

患者さまと実際お話ししてみると、

①.まず歯科医師とお話しをあまりしたことがない

という方が多いことに驚くのと、
 
②.治療方法の提案が1つでその場で決定して下さいと言われたので、高額だと思いながらもその方法しか知らない

ということでした。

自分は、ここは完全に改善するべきだと考えますし、そこの改善には十分時間をかけて重点を置くべきと考えています。

インプラント治療に限らず、こういうスタイルでの治療計画立案をすべての患者さまに行っていきますので、ご不明な点などは何でもお気軽にご質問下さい^^

「インプラントを可能にする 骨造成術を知りたい!」

歯槽骨が足りない?!

 インプラント治療を希望なさっているのに、「歯槽骨の骨量が足りない」という患者さんはじつにめずらしくありません。

というのも、歯を失うに至る過程で、歯槽骨にすでになんらかのダメージを受けているかたがほとんどだからです。

なかでも多いのは、歯周病や歯根部に生じた病巣のために歯槽骨を失っているケースです。

病気が軽度の頃に治療をしておけばこんなことにならなかったでしょうが、

痛まないからと限界まで放置してしまうと、炎症のために歯槽骨が広範囲に溶け

てしまう場合があります。

また、歯槽骨は強い噛む力でも溶ける場合があり、外傷のために歯槽骨を失ってしまうこともあります。

 もうひとつの理由としては、もともと歯槽骨が少ない部位があることが上げられます。

たとえば上あごの奥歯のすぐ上方には、上顎洞という空洞があります。

上顎洞の大きさには個人差があり、大きく発達しているかたでは、抜歯後の歯槽骨の高さがほんの数ミリしかないことがあります。

奥歯は力のかかる場所ですから、本来ならば長いフィクスチャーを埋めたいところですが、数ミリの骨ではとても足りません。

 また、上あご、下あごともに、前歯のところは歯槽骨が幅が薄いため、歯を失うとますます骨幅が薄くなります。歯槽骨が薄すぎるとフィクスチャーが骨から露出し、インプラント治療が不可能になります。

 ただ、歯槽骨が足りないためにインプラント治療ができないとなると、残される道は入れ歯かブリッジになります。

入れ歯は装着した際の違和感が気になったり、入れ歯に対する抵抗感のあるかたもいるでしょう。

ブリッジは、失った歯が多いときには適用できない場合もあります。

 

インプラントを実現する最後の手段!

「インプラントにしたいのに歯槽骨が足りないと診断された」という患者さんのために、現在はご自身の骨や人工骨を用いて歯槽骨を増やす手術が行われています。

生きた骨を増やすのですから、治療には相応の時間がかかり、効果にも個人差があります。

しかし、歯槽骨が増えてはじめてフィクスチャーの骨結合が可能になるわけですから、骨造成術はインプラント治療を可能にする画期的な手術なのです。

 患者さんご自身の生体反応を利用して歯槽骨を増やすというデリケートな治療だけに、「先生におまかせ」というのでは治療はうまくいきません。

インプラント治療を成功させるためには、患者さんご自身も治療内容を理解し、歯科医師とともに骨造成術にじっくりと取り組んでいきましょう。

引用参考文献:nico 2011年7月号

歯周病の脅威!

日本での糖尿病患者数は900万人弱(2007年の国民栄養調査)といわれていますが糖尿病の可能性が否定できない人も加えると2210万人と想定されているそうです。

原因は主に生活習慣の欧米化といわれていますが、糖尿病が怖いのは網膜症、腎症、心疾患などのさまざまな合併症を一緒に引き起こすところで、歯周病もその一つとして挙げられています。(最近はTV番組でも2時間スペシャルを組んでまで歯周病の特集をしていましたのでご存知の方も多いと思いますが。。。)

この歯周病を放っておくと、糖尿病患者はインスリンの効きが悪くなって糖尿病が悪化し、歯周病もさらにひどくなる可能性があります。

逆に血糖値の管理をし、歯周病の治療をした患者の場合は、歯の状態もだんだんよくなり、歯周病治療をすることによりインスリンが働きやすい状態になるため、血糖コントロールが改善する事例も報告されているとのことです。

これまでも書いたことがありますが、歯周病はさらに心筋梗塞や脳梗塞などの心臓血管疾患を発症するリスクも2.2~3.4倍になることも報告されていて、歯周病がひどくなると細菌などが歯ぐきの血管内に入って体中を駆け巡り、心臓や脳の血管に達して心筋梗塞や脳梗塞のような血管の病気を引き起こすことがあるのです。

歯周病を防ぐことは、糖尿病の悪化を抑え、心筋梗塞などの予防、ひいては全身の健康にもつながるのです。

(他にも歯周病と関連のある疾患としては低体重児出産、呼吸器系疾患、消化器系疾患、骨粗しょう症など様々です)

また30歳代以上の8割以上が歯周病といわれていて、ほとんど自覚症状がないので早期発見して治療することが大事です。
(一度失われたアゴの骨や歯ぐきは元にもどりません)

さらに歯周病になって治療が終わった人と、一度もなっていない人では、経験した人の方が再発しやすいため、かかりつけの歯科を決めて定期的に歯の健康の維持・管理を行うことがおススメです。

それ以上に歯みがきや歯間ブラシなどでのオーラルケアを毎日しっかり行うことで歯周病は予防できるので、セルフケアでの自己管理が大切です。

ちなみに11月14日は「世界糖尿病デー」で、2006年の国連総会で指定されました。

(このときに  『糖尿病の全世界的脅威を認知する決議』  も同時に採択されるほどになっています)

また自分も  「日本糖尿病協会」  にも属していて、歯科医師からの歯周病と糖尿病(もしくは全身疾患)との関連の情報をできるだけ多くの方々に発信できるようにしています。

※今回のブログは日本歯科医師会広報の『歯っぴいスマイル』を参考に記載しています

歯周病とからだ①

歯周病は最近はテレビなどでもよく扱われるようになってきたので以前よりは身近に詳しい方も多くなってきたようですが。

今回は、その中でも女性のからだについて少し書きます。。。


まず妊娠した場合ですが、妊娠中はつわりなどでブラッシングがむずかしくなりやすかったり、ホルモンバランスが崩れたりで、歯ぐきの炎症がおこり歯周病になる人が多くなります。

さらに妊婦さんが歯周病になると、おなかの赤ちゃんが小さく生まれたり、早産となるリスクが高くなったりすることが知られています。

これは歯周病の炎症で出てくる

“ プロスタグランジン ”(子宮収縮などに関わる生理活性物質)

などの物質が、胎盤に影響を与えるためだと考えられています。

なので、妊娠中は自分のためだけでなく、生まれてくる赤ちゃんのためにも、お口の状態に気をつけましょう!^^

特に安定期の5~7ヶ月はほとんどの処置が問題なく受けられる場合が多いですが、もし麻酔の使用やレントゲン撮影などで不安なことがあれば担当の婦人科の先生にご相談するのもいいと思います。(歯周病の処置の歯石除去などはほぼ問題ないです)


次に骨粗しょう症(骨密度が減ってスカスカになり骨折しやすくなる病気で女性に多く、閉経後の女性ホルモンの低下が主な原因といわれています)の方が歯周病になると、歯槽骨(しそうこつ)という歯を支える骨が急速にやせてしまいます。

そうなると入れ歯(部分入れ歯、総入れ歯ともに)を使用している方は、それらが合わなくなったりします。

また歯周病で歯を失うと、噛む力が衰えることにより食事によって得られるカルシウムも不足することになり、さらに骨を弱くしてしまうという悪循環も招いてしまいます。

これ以外にも歯周病は全身のいろんな病気と深く関わっていますので、少しずつ書き込んでいきます。。。

治療した歯が痛~いのはなぜ?

ときどき、この前治療したばっかりの歯が痛くなることってありませんか?

その歯は治療する前も、冷たい物がしみたり、噛むと痛かったりはなかったでしょうか?

患者さまの立場だと、むし歯を治療してもらったのに痛くなるのはおかしい。。。ということになると思います。

ごもっともです。

ただ、これはどういうことかというと治療する前から自覚症状があるということは、むし歯が深かったということを現しています。

そこで、もちろんむし歯になっていたやわらかい歯の質(軟化象牙質・なんかぞうげしつ)を染め出しながら、慎重に取り除いていきます。

で、こういう場合は、神経などの入っている歯髄(しずい)の近くまで到達していることが多いのです。

ここからの処置では

Ⅰ.歯髄までむし歯が達している場合

これは、このまま詰めたりしても、すぐに痛みが出る可能性が高いので、抜髄(ばつずい)といって神経を除去する処置をして、何回か根管内を清掃して感染しない状態までになったら、詰めたり、被せたりしていきます。

Ⅱ.歯髄まではむし歯がだいぶ近いが、達していない場合

①.あとから痛みがでる可能性が高いので、ここで抜髄処置まで行う場合。

②.あとから痛みがでる可能性は高いが、できるだけ歯髄を残すように覆とう(ふくとう)・裏装(りそう)といって歯髄を保護する材料を二重に置いてから詰めたり、被せたりする場合。

の2つの方法です。

患者さまからすれば、痛みがでる可能性があるならば、歯髄(神経など)は抜いちゃえ!(もっと極端な場合は、痛い原因の歯を抜いちゃえ!)って考えると思います。

ただ、この歯髄には神経だけでなく血管などもあるので、この抜髄(ばつずい)という処置を行うと、死んだ組織として歯はそこにとどまり続けるのです。(体の中では死んだ組織として残るのは“ 歯 ”だけです。)

もちろん、歯の寿命は短くなりますし、前歯などでは歯の色も変わってきます。(のちのち後悔する場合が殆どです)

なので、歯医者としては、できるだけ歯の神経は残すようになんとか努力するのです。

そうすると、場合によっては詰め物などをしてしばらくは大丈夫でも1ヶ月くらいしてからしみたり、痛みがでたりすることもあります。

そうすると冒頭の

“ 治療した歯が痛~いのはなぜ? ”

となるのです。

もちろん、抜髄の処置自体はそんなに大変な処置ではないのですが、患者さまの長い一生のことを考えると、

   「 できるだけ神経を抜かない、歯を抜かない 」

という当たり前のことが大事になってきます。

自分の考え方としては、

「 小さいむし歯は削らずに定期健診で経過観察していく 」

ということです。(自分の歯に勝るものなし!)

なので、よく聞くのが

“ 説明なく削られた、神経を抜かれた、歯を抜かれた ”

ということが今も往々にしてよくあるということです。
処置で少しでも   

         “  ん  ?   ”

っと疑問に思ったら、質問するのは患者さまの権利です。

そこは

          百聞は一見にしかず


ではないですが、削った歯は元には戻らないので、早めにきくのは大事です。

ちなみに自分の1番の考えは

「 後戻りできる(可逆的な)処置を優先して行う 」

というものです。歯が痛いと患者さまが訴えても、そこに十分な原因を自分が診断できなければ、その日は噛み合わせの状態を確認するために歯型だけとってそれで終了の場合もあります。

患者さまとしては、痛いと言ってるのに何もしてくれない、と考えると思いますが、風邪の引きはじめや疲れていたりで、体の抵抗力が落ちている場合だけ症状がでたり、原因が歯ではなくて関連痛だったりすることも多いもので。。。

まずは、はっきりした原因を特定できなければ、積極的な処置(削ったりなど。。。)は決して行いません!

こういう考えのもとで治療を行っていますので、ご質問などはご遠慮なくどうぞ!^^