「小さな治療でちょっときれいに。みんなのプチ審美!」

自分の口もと、気に入っていますか?

 歯科医院にはさまざまな患者さんがおいでになります。そして「歯をきれいにしたい」とおいでになる患者さんのご要望もさまざまです。

 「口をパアッと開いてはなやかに笑えるように、口もと全体をタレントさんのように完璧にしたい」というかた。「大好きなアイドルとの共通点の八重歯が黒ずんでいるのがつらいから、ここだけ白くしたい」というかた。患者さんそれぞれが異なる事情をおもちで、一人ひとり求めてらっしゃるものが違うのは当然のことです。歯の悩みも、それを美しく改善することも、さまざまな人生の大切なひとこまなのですから。

小さな治療ならトライしたい?

 そんななか、目立って増えているご要望、それは「なるべく削らないできれいにしたい」ということ。「この歯の色で悩んでいます。でも、大きく削って被せるのはいやなんです」という患者さんからの切実な訴えです。「完璧にきれいにはならないかもしれないけれど、小さな治療で改善させる方法はありますよ」と、治療の選択肢をご紹介すると、表情がやわらぎ「それならやってみたい」と、身を乗り出して話を聞いてくださいます。

 そうした患者さんとのやり取りのなかから、私は患者さんがいま切実に求めている「審美治療」とは、むしろ、まずはふだんの歯科治療のなかでできる小さな改善なのではないか、と思うようになりました。そして、歯の健康を守る医療の立場から、患者さんのご希望をいかにもっと身近に反映させられるかが、今求められている究極の審美治療なのかもしれない、と気づかされたのです。

プチ審美が可能な時代の到来

 おりしも、歯科材料や治療技術の進歩によって、審美治療は特別なものではなくなってきています。たとえば黒い詰め物をちょっと白く詰め替えたりすることは、日常の治療のなかに取り入れることが可能なのですから。

 歯がきれいになって喜んでくださった患者さんは、前よりもっと深く、歯の大切さを理解してくださいます。口もとの究極の美しさとは「健康美」「機能美」にほかならないのだと気づいていただけるのなら、私たち歯科医師にとって、こんなに嬉しいことはありません。美しい歯を長く保つことができれば、人生の楽しみも増えることでしょう。「プチ審美」、みなさんはどんな治療に興味がありますか?

引用参考文献:nico 2012年11月号