持病の薬と歯科治療

ひと昔前までは、歯科医師も歯とからだの関係を気にする必要なかったのですが、最近では歯の治療にからだの治療が影響するということも少しずつですが言われてきています。

かつての歯科医院は、むし歯や歯周病の患者さまであふれ、高齢者になるまでに多くの方が歯を失っていました。

なので、歯科医師は健康な子供や大人の患者さまを相手にして、歯科特有の病気に目配りしていればよかったのです。

しかし、時代が変わって今は超高齢化社会で、65歳以上の高齢者が25%を超え、今後10年ほどでさらに30%を超えるといわれています。

子どものむし歯が減るなか、歯科医院に来院される患者さまの多くは中高年層です。

なかでも、高齢者の患者さまは人口動態の変化とともに増え続けています。

そしてその多くは持病を持ち、他科で処方された薬を常用しています。

統計として65歳以上の高齢者の約6割が循環器系の問題を抱え、多くの患者さまが、血管がつまらないように血液サラサラの薬を服用しているということです。

そんな患者さまの歯を止血のための配慮なしに抜いてしまったら、血がなかなか止まらず困ったことになってしまいます。

ただ最近では全身の投薬を重視して、薬を中止しなくても抜歯してよいという考え方もあるので、いずれにしても担当医との十分な連携は必要になってくると思います。

こうした時代の変化に対応し、歯科医師が歯科の分野だけに目を向けていればよい時代は終わったのです。

現在の歯科医療では、患者さまの全身疾患に対応した治療を受けられるような対策をとっています。

治療を行う際に持病の治療で飲んでいる薬の副作用によって患者さまが不利益をこうむらないようにする配慮は特に重要です。

そこで、必要に応じて歯科医師が医科の主治医に患者さまの全身状態について問い合わせ、連携して治療をすすめるようになりました。

こうした新しい医療形態の構築にとって欠かせないのが患者さまのご協力です。

歯科医師に、今他科で受けている治療などについて必ず教えていただきたいのです。

患者さまが申告して下さらないと、歯科医師は副作用を防ぐための対策をとることができません。

歯科の新たな医療形態は、患者さまとわたしたち(歯科)医療従事者が力を合わせて構築していくものなので、このことをご理解いただきご協力をお願いいたします。^^


《 今日の記事は nico 2014年 1月号 を参考に記載しています 》