被せ物は人口。だけど土台はむし歯になります。意外と知らない?被せ物長持ちナビ!

被せ物を支えるのは患者さんの天然歯

 被せ物の治療が終わり、きれいな人口の歯が入ると、「これでもう歯科医院にしばらく通わずにすむ」と思う方もいることでしょう。人口の被せ物により「歯が強くなった」と考える方もおられるようです。

 でもこれ、じつは大間違い。被せ物の治療というと、口を開いたときに見えるところにばかり目が行きがちですが、その耐久性を決めているのは、歯ぐきの下、歯を支えている骨の中に隠れている「患者さんご自身の歯の根(歯根)」なのです。もちろん被せ物自体は一定の耐久性を備えていますが、それを支える土台の歯は、ケアを怠るとむし歯や歯周病になってしまいます。

 

土台の歯のむし歯にご用心!

 被せ物の治療では、患者さんの歯を削ってつくった土台の上に、キャップ状の補綴物(セラミックや金属など)をかぶせます。建築物の耐久性がその土台にかかっているように、被せ物の治療の寿命は、土台の役目をする歯にかかっています。

 ただ、この土台の歯は、もともとそれほど強度に恵まれていません。被せ物がかぶさっている歯の多くは、むし歯のために神経を取ってあるなど、大きな負荷がかかる治療を経ているからです。大きな治療を経て残すことのできた歯は、健全歯だった頃にくらべると、むし歯に対しても噛む力に対してもだいぶ弱くなっています。

 

定期的なメインテナンスが長持ちの秘訣

 大切の土台の歯を守って、被せ物をなるべく長く使っていくにはどうすればよいのでしょう?そのカギを握るのが、歯科のプロフェッショナルによるお口の健康の維持管理=「メインテナンス」です。

 土台の歯は、被せ物に隠れて見えません。神経を取ってしまった歯であれば痛みも出ません。歯のことは、「痛くないから大丈夫」と判断しがちですが、被せ物の土台の状態を把握するには、痛みと見た目はあまり役に立ちません。油断していると、被せ物と土台の歯のすき間にむし歯が入り込んだり、噛む力に耐えられずに土台の歯が割れてしまうこともしばしばです。

 割れてしまった歯は、ほとんどの場合抜かざるを得ません。ですから被せ物を入れた後は、放っておかずに、土台の歯がむし歯や噛む力で傷んでしまわないようにプロの目で見守ってもらう必要があります。

 お口の中に被せ物がある方は、被せ物の治療の寿命を延ばすために、定期的なメインテナンス受診を始めましょう!

引用参考文献:nico 2020年1月号

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