学校と歯科医院での検査の違いって?
学校歯科健康診断とは、学校で行う歯科の集団健康診断で、「学校保健安全法」に定められ、文部科学省の指導のもとで行われている児童や生徒のためのお口の健康チェックです。
一方歯科医院の歯科検診は、厚生労働省の管轄で行われ、精密な検査をしてお口の中の病気を確定診断し問題を洗い出して、治療や経過観察をするために行われます。学校歯科健康診断の目的は、お子さんたちのお口の健康度をスクリーニングし、その結果をお子さんと保護者の方にお伝えして、お子さんのお口の健康の保持・増進に役立てていただくことにあります。
初期むし歯を早期発見&くい止めたい!
子どもたちのむし歯が減り、穴が開くほどの大きなむし歯が少なくなった結果、私たち学校歯科医は、むし歯をより軽度の段階で見つけ管理することで、穴が開くのを未然にくい止め、詰め物や被せ物のある歯を減らしていきたい、と考えるようになりました。そこで必要になったのが、「CO」という検査基準です。
ひと昔前の学校歯科健康診断では、すでに穴が開いた歯を見つけて通知していたのですが、現在は「CO」の段階で見つけ、これをいかに進行させないでいくかが、学校歯科の大きなテーマになっています。
「CO」の歯は、フッ素の入った歯みがき剤でていねいに歯みがきし、食事や間食をダラダラ摂らないようにすると、多くの場合進行を止めることができます。
歯は、一度削って詰めてしまうと、その修復治療の耐久性には自ずと限界があるため、一生歯をもたせるためには、削らないことがいちばん。将来歯で苦労しないように、「CO」の歯を適切にして管理して詰め物を減らし守っていきましょう。
お口の健康を歯科医院がサポート!
じつはこの春、歯科からとてもうれしいお知らせがあります。これまで自費治療だった、歯科医院の「COの進行を止めるための処置」が、この春から保険で受けられるようになったのです。
この改定によって、学校歯科とかかりつけの歯科医院は、教育と医療というそれぞれの立場から、よりスムーズに連携し、国民のお口の健康増進という互いの最終目標に向かって進んでいくことができるでしょう。学校から歯科健康診断の結果のお知らせが届いたら、お子さんと一緒に読んでいただき、お子さんの生涯にわたる歯の健康の扉を開けるために、積極的に活用していきましょう。
引用参考文献:nico2016年4月号
そもそもフッ素ってなに?
フッ素とは、土の中や海水、食べ物やお茶、そして私たちのからだにも含まれている天然のミネラル成分です。海水には約1.3ppm、川の水には約0.1ppmのフッ素が含まれており、じつは私たちにとって、とても身近な成分なんです。
現在国内で販売されているほとんどの歯磨き剤には、むし歯予防を目的に、薬事法で定められた1,000ppm以下のフッ素が配合されています。フッ素は、微量でも口の中に長くとどまることによって効き目を発揮します。どれくらいで効果があるかというと、およそ0.05ppm〜1ppm。ppmとは、百万分の1という意味ですので、つまり0.000005〜0.0001%という低濃度。これくらいのわずかなフッ素が口の中にあると、むし歯予防に働いてくれるのです。
どうやってむし歯を予防するの?
歯の結晶は、カルシウムイオンと水酸化イオン、リン酸イオンという3つのイオンが結合してできています。この結晶は、むし歯菌の出す酸に触れるとバラけてイオンに戻り、だ液の中に溶け出します。一方、だ液の中に溶け込んだ歯のイオンは、再び結合して結晶になり歯に戻ります。この出たり入ったりのバランスによって、歯の健康は保たれています。フッ素はだ液の中のイオンが結晶になるのを促進し、スピードを上げてくれます。すると歯がよく修復されるので、むし歯ができにくく、進行もしにくくなるというわけです。
さらに特筆すべきは、こうして歯に沈着した結晶がふたたび脱灰しだ液の中に溶けるときには、フッ素がイオン化し放出されるということです。つまり歯自体がフッ素の貯蔵庫でもあるのです。
歯のプロと一緒に効果的な予防を!
フッ素の効果を最大限に引き出すには、フッ素配合製品の適切な用量や使用法などコツが必要です。またむし歯のリスクにはさまざまな要因がかかわり、その実態は一人一人違います。歯科医院でだ液検査を受け、定期的に口の中をチェックしてもらうと同時に、フッ素の利用法、歯みがき、食事についての指導やプロフェッショナルクリーニング、フッ素塗布を受けて、リスク管理とトータルケアをお願いするのがいちばんでしょう。
むし歯のリスク管理は、子どもにとってはもちろん、大人にとっても重要です。中高年に多発する根面う蝕など、年齢とともにむし歯のリスクが高くなって、自分だけでは予防が難しいケースも出てきます。歯医者さんと一緒に大切な歯を守っていきましょう。
引用参考文献:nico 2015年6月号
上の前歯が生えてきたら、就寝前の 「 寝かせ磨き 」 をスタート。
「 寝かせ磨き 」 を行う時は、お子さまが歯磨き嫌いにならないように、お口の中の敏感なポイントをガードしたり、楽しい雰囲気をつくる工夫をしたりすることも大切です。
(※例えば、お子様の大好きな歌をかけて歯磨きのテーマソングにしたり、歯磨きをきちんとできたら大好きな絵本の読み聞かせをしてあげたり。。。など)
乳歯の中では、むし歯になりやすい部位は
・ 上の前歯と前歯の間
・ 上の前歯の付け根(歯と歯ぐきの境目)
1~2歳くらいの時のむし歯の大部分はここなので重点的に磨きましょう^^
フッ素は上手に取り入れると確実にむし歯予防ができます。
フッ素のはたらきとしては、
1.直接歯はたらきかける場合
2.口の中の環境(プラーク・唾液)にはたらきかける場合
の大きく2つに分けられます。
乳歯の時はどうやって磨いたらいいか分からない。。。というご相談もよく受けます。
まずは乳歯期は、トレーニング用と仕上げ磨き用の2本用意するところから始めます。
歯磨き習慣のスタートは、まず歯ブラシに慣れさせることから。
歯が生え始めてきたら、乳歯期用の歯ブラシを持たせるようにしましょう。
また親が歯磨きしているところを見せてマネさせるのもいいですね^^
歯周病は歯を支える歯根膜(しこんまく)と歯槽骨(しそうこつ)が破壊されていく疾患です。
ただ、重症化するまで症状は少なく放置されやすい傾向にありますが、実は成人の約8割の方がかかっているといわれています。
この歯周病は、糖尿病患者さんでは重症化しやすいことが分かってきています。
主な原因は、生体の感染防御能としてのマクロファージ機能や好中球の細菌貪食能が高血糖や虚血によって低下し、歯周病菌の増殖を制御できないことにあると考えられています。
重症化するということは、「 歯がぐらつき 」 最終的には 「 歯が抜ける 」 ことになります。
歯を失うと、食事が不自由になるだけではなく、表情や発音にも影響が及びます。
もちろん、歯を失う2大原因は “ むし歯 ” と “ 歯周病 ” が進行し重症化することなので、予防にはこれらの口腔疾患の予防が不可欠なのです。
歯科医院で定期的な検診、予防処置、保健指導などを受けている人の歯の喪失本数は、定期的に受信していない人より圧倒的に少ないことが分かっています。
歯周病も糖尿病も、初期の段階では自覚症状がすくないため要注意です。
お互いの疾患がリスクを上げるため、医科歯科連携が大切になります。
定期的な歯科受診は、歯を失うリスクという点からいうと、とても大事なことが分かると思います ^^
子供の歯は、お父さん・お母さんが思っているよりだいぶ小さく、小さな歯をうまーく磨くには、歯ブラシの毛先を小さく動かすのがコツです。
また歯の周りには、歯ぐきや頬などやわらかい部分があります。
なので、ゴシゴシ強く磨くとやわらかい部分が傷付いてしまいます。
子供の仕上げ磨きは、歯ブラシを細かくふるわせるように、コチョコチョと動かすのがポイントです。
「 コチョコチョ~ 」
と言いながら、楽しくみがいてあげましょう。
まあ、磨くというよりはマッサージをするような感じでやさしく行ってくださいね ^^
一生おいしく食事をするために定期健診は大切だということは
みなさんご存じだと思います。
定期健診としては、歯周病の進行状況を調べるための「歯周ポケット」測定や、むし歯がないかなどの診査を行います。
その後、チェックした内容をもとに歯面清掃(PMTC)や歯石除去などを行い、むし歯がある場合は治療を行います。
この定期健診を行うことで、お口の未来が変わってきます。
1. 歯周病は人生を変える
~ 歯周病で多くの方が歯を失っています ~
・現在80歳で平均すると約10本程度しか歯が残っていないという国の調査結果がでています。
成人の歯を失う原因の半数近くは 「 歯周病 」で、20~40代にかかり、長い年月を経て少しずつ歯を失っていきます。
一度治療しても、放っておくとまた進行するため定期的なメインテナンスは歯周病の進行を食い止めるもっとも確実な手段です。
2. むし歯は痛んでからではおそい!
~ 「 神経 」 をとると歯がもろくなる ~
・ むし歯は早期発見できれば削らずに済む場合もありますが、この段階では痛みは一切ありません。
一方、はっきりと痛むほどまでに進行してしまうと、「 神経 」 をとらなければならないこともあります。
「 神経 」 は栄養分も運んでいるため、とるとその歯の寿命は著しく短くなってしまいます。
3. 歯みがきだけではむし歯も歯周病も防げない!
~ 歯石・バイオフィルムは 「 細菌 」 のすみか ^
・むし歯や歯周病の原因となる細菌の塊(プラーク)を、毎日の歯みがきでしっかり落とすことがまずは大切です。
しかし、それでも数ヶ月もするとほとんどの方のお口に強固な 「 歯石 」 や 「 バイオフィルム 」 ができてしまいます。
これらは通常の歯みがきだけではとれないため、定期メインテナンスでは専門の器具を使用して、これらを時間をかけて丁寧に取り除いていきます。
これらの理由からメインテナンスが必要なことがお分かりいただけたでしょうか?
長い人生でみると、定期健診での早期受診が治療回数の減少、治療費用の軽減に大きく関わってくるので痛くなくてもかかりつけ歯科医院の早期受診を心がけましょう^^
プロが認める優れた歯ブラシ!
みなさんは、どんな歯ブラシを使っていますか?薬局にはいろんな歯ブラシが売られていますね。かかりつけの歯科医院も、歯ブラシが並べられていると思います。この歯ブラシ、お店では見かけない製品だと思いませんか?これは歯科専売品といって、歯科医院が推奨し患者さんに販売しているものです。いわばプロの目で選ばれた折り紙つきの歯ブラシというわけです。
どの歯ブラシがいちばん良いの?
現在は、さまざまなタイプの歯ブラシが販売されていて、どれがいいのかと選ぶのも、たいへんだと思います。「この歯ブラシがベスト!」とランキングを付けられれば選ぶのはかんたんですが、それぞれの歯ブラシには、得意とする機能や特徴が備えられています。やわらかさも違います。そのため患者さんごとに、合う歯ブラシは異なるのです。歯周病の進行が心配な中高年、細部みがきが苦手になった高齢者など、患者さんたちは人生のさまざまなステージにおられます。リスクやライフスタイルに合ったものを選ぶことで、より快適にケアが続けられるかもしれません。
今回は、近年豊富になった歯科専売品から、特殊歯ブラシではなく、おなじみのごく基本的な歯ブラシをご紹介しています。いろんなタイプがありますので、「この1本だけ」と絞らず、忙しい朝と昼には大雑把みがきの歯ブラシ、夜にはじっくり細かくみがける歯ブラシを、とシーン別に使い分けるのもおすすめです。
プロが歯ブラシ選びをお手伝い!
お口の健康に影響するリスクや、要注意ポイントは、年齢とともに変化します。ライフスタイルも、歯についての意識も、年齢によって変化していくでしょう。ブラッシング指導を受けていただき、ご自分のリスクやクセを知っていただくことはもちろんですが、それと併行して患者さんに合った適切な歯ブラシをお使いいただくこともとても大切なことです。歯科医院では、それぞれの医院の診療方針に合わせて、自院の患者さんにおすすめしたい歯ブラシを選んで、処方できるようにご用意しています。
せっかく毎日みがくのなら、みなさんのお口の状態をよく知っている歯科のプロに、ご自分に合う毛質と機能の歯ブラシを選んでもらいませんか?ふだんから歯科医院を活用していただき、せっかく毎日続けていただいている歯みがきを、より効果的なものへと変えていきましょう。
引用参考文献:nico 2013年6月号
歯科人間ドック
あまり聞きなれない言葉ですが、受診者は年々増加しているそうです。
これからは、定期的な歯科検診を積極的に受診するような時代になり、そこで歯科人間ドックを通して口腔保健に関する意識の向上をはかるというもの。
人間ドックはなんと昭和29年に始まったそうですが、歯科人間ドックに関しては
平成10年に 『 日本歯科人間ドック学会 』
が設立され、平成18年から認定医制度を導入してきました。
この学会では、
口腔内疾患の早期発見による早期治療のみではなく、口腔の健康度やさらには全身疾患についてもスクリーニングが可能な検査項目を考案しています。
自分も6年前の開業当初から、アンチエイジングとともに歯科人間ドックに関心がありました。
ただ導入には躊躇していたのです。
歯科疾患は慢性的な経過をたどるため、初期では自覚症状がなく、さらにほとんどの人が経験しているため軽視されがちな現状があります。
定期的な歯科ドックを受けると。。。
1. 口腔の健康維持
2. 早期治療による医療費の軽減
3. 診療時間の縮小や回数の短縮
4. 身体への影響(歯を削る、抜く)が減少
5. 全身疾患の悪化を防ぐ
6. アンチエイジング
など多くのメリットがあります。
なので、これからのために1日も早く当医院でも歯科ドックが受診できるように体制を整えていきたいと思います。