フッ化物洗口

いよいよフッ素の各論第2弾!

フッ化物洗口は、短時間で簡単にできるため、ブクブクうがいのできる幼児・小中学生はもちろん成人や老人まで幅広い年齢層に適用できるむし歯予防の手段です。

その中でも、特に永久歯エナメル質の成熟が進んでいない幼児・小学生に実施すると予防対策としては大きな成果あり!!

また、矯正治療中の場合などは口腔清掃状態が悪化しやすいので有効な予防法の1つです。

フッ化物洗口の種類としては、大きな差はあまりないと言われていますが、

Ⅰ 週1回法・・・0.2%フッ化ナトリウム溶液を使って1週間に1度行います。

Ⅱ 毎日法・・・0.1%もしくは0.05%フッ化ナトリウム溶液を使って1日1回で毎日行います。
※学校などで実施する場合には、1週間のうち5日間が実施日になるので“週5日法”や“週5回法”と呼ぶこともあります

で、洗口剤の種類としては簡単にいうと、製品化されるものとNaF試薬から作成するものとがあり、製品化されているものでも原液で使用できるタイプは、普通薬として取り扱われますが、顆粒タイプは劇薬扱いとなり保管に十分な注意が必要なのです。顆粒も水に溶解させた状態では、劇薬扱いからは外れますので、この状態でお子様などに渡すのには問題ありません。

洗口の方法としては、洗口液を適量(5~10ml)口に含み、顔をやや下向きにしてブクブクうがいを30秒~1分間程度してから吐き出します。このときは口腔内すべての歯にまんべんなく洗口液がゆきわたるようにして下さい。

※この吐き出した洗口液は、そのまま排水口に流しても問題ありません。

※洗口後は30分程度、お口をゆすいだり、飲食しない方が効果が持続されるので、ご家庭で行う時には寝る前に実施すると1番いいのでは?と思います。

※ブクブクうがいがしっかりできない幼児などには、事前に水などで練習させてからフッ化物洗口を開始した方がいいです。
で、まだ出来ないお子様には、濃度は少し低い(100ppm)ですが、フッ素スプレーなどを使えばいいと思います。
(2枚目画像・・・レノビーゴはフッ素の再石灰化力で初期のむし歯も修復します)

洗口剤は当クリニックでは

ミラノール

という洗口剤(顆粒タイプ)を販売していて、

・未就学児用(黄色1g入り)・・・250ppm
・学童児用(ピンク1.8g入り)・・・450ppm

があります。(1枚目画像)

※ホームページにも記載しています。(予防歯科の関連商品の詳しいパンフレットから開いてみてください。)

洗口液の作り方もセットで溶解ビンをお渡ししていますので、このビンに洗口剤1包を入れ、200の線まで水を加えれば洗口液となり分かりやすいと思います。

また洗口する時にも、このビンの容器のふたが軽量カップになっていますので、これを使用するといいいですよ!

フッ素塗布

今月最初ですが、昨日がむし歯予防デーだったということもあり、フッ素塗布について以前の続きで書きますね!

フッ化物歯面塗布についてですが、これは世界的には1942年に初めて実施が報告されて、日本では1949年から普及が図られたという結構最近のことらしいです。

もちろん、専門家によるう蝕予防法としてプロフェッショナルケアの中心的な方法ですが、薬剤として多いのは2%フッ化ナトリウム(フッ化ナトリウム2gを100mlの蒸留水に溶解して調整したものでフッ化濃度は9000ppmで無味・無臭・無色)です。

このフッ素塗布の方法にはいろいろあり、

Ⅰ.一般法(綿球塗布法)・・・部分塗布をしやすい

Ⅱ.トレー法・・・上下もしくは全顎同時に塗布できる。

Ⅲ.イオン導入法

の大きく分けて3つあります。

いずれも歯面清掃して、歯面乾燥後に綿球で塗布したり、フッ化物の入ったトレーを装着したり、2~3分通電させたりした後は30分くらい飲食や洗口をさせないで作用させます。

またこの歯面塗布剤も液状やフォーム(泡)状、ゲル(ジェル)状のものなどありますので、お子様の年齢や部位、目的に合わせて使い分けていきます。

以前も書き込みましたが、通常乳歯の前歯にはむし歯の進行抑制としてサホライトという黒くなる薬を塗るところが多いのですが、うちのクリニックでは、綿球でフルオルゼリーというジェル状のフッ化物を塗布していきます。

溶液の方が塗布はしやすいのですが、何回も塗布しないと効果なく、塗布した部位の確認がしにくいために歯への滞留性がよく、塗布状況が分かりやすいゲル状のものを使用しています。

また、保険外の自費(2500円)で全歯にフッ素塗布を行う場合は前述のトレー法で、歯間部や歯と歯の間に入り込みやすいようにするのと、使用量も少なく誤飲の心配が少ないフォーム(泡)状のものを使用して行っています。

さらに、当クリニックではこれに500円プラスして3000円で、フッ素塗布直後にミネラルパックというリカルデントの入ったMIペーストを塗布してより強固な歯質強化も行っています。

フッ素は主に歯の原料となるカルシウムやリンの運び屋さんとして再石灰化を促進して歯を強くしていきますが、CCP-ACP(リカルデント)は歯の原料となるカルシウムやリンそのものなので、直接歯にカルシウムやリンを補給して歯を強くします。

似たようなものとしてキシリトールはむし歯菌(ミュータンス菌)にむし歯の原因となる酸をつくらせないということによりむし歯予防をします。

お母様方も人からいろいろフッ素塗布のお話など聞くことが多いと思いますが、いろいろな方法や塗布剤などがありますので、誤解のないように各歯科医院で納得するまでご相談した方がいいと思います。また、自費なので料金体系もいろいろあると思いますので。。。

フッ素についていろいろと。。。

フッ素とは、自然環境に広く分布している自然元素で、土壌や空気、水、食物などに存在しているものらしいですが、あまりなじみないですよね?
また、毎日の食事を通じて体に摂取されている歯や骨を健康に保つためには必要な栄養素(必須栄養素)の1つだそうです。

で、う蝕予防剤に用いられてるものはフッ化物で、歯質を強化する効果が高いため、世界各国で用いられていますが、

Ⅰ.フッ素が多く含まれている食品としては

イワシ(8~19.2ppm)
海草 (2.3~14.3ppm)
牛肉 (2ppm)
りんご(0.2~0.8ppm)
じゃがいも(0.8~2.8ppm)
みそ (0.9~11.7ppm)
塩  (25.9ppm)
紅茶 (0.5~1ppm)
緑茶 (0.1~0.7ppm)

などがあります。こんな食べものにフッ素が入っているなんて意外だな~っと思うもの多いですね!

※ppm=100万分の1の割合を示す単位で、例えば“フッ素濃度1ppm”とは、物質1kg中にフッ素が1mg含まれていることを示します。

①う蝕予防のフッ化物と食品に含まれるフッ化物は性質としてはフッ化物イオンとして存在し全く同じものです。

②フッ化物の局所応用は、用法・用量を守って施行すれば安全で有効な方法です。

一時期、フッ素の安全性について問題視されたこともあったみたいですが、それにはやはり濃度についてや、不特定多数の方が摂取する水道水に希望しないのにフッ素を添加するのは?などという問題みたいです。
また、昔はフッ素の利用を各行政や歯科医師が反対した時期もあったみたいですが。。。

フッ素がなぜむし歯予防に有効なのか?というのは

Ⅱ.フッ化物の歯への作用

①・・・耐酸性の向上→フッ素はエナメル質の結晶表層でフルオロアパタイトを生成してむし歯になりにくい歯面を形成します。

②・・・再石灰化の促進→フッ素はだ液中のカルシウムイオンやリン酸イオンとともに歯の表面に沈着し、エナメル質の生成を助けます。

③・・・抗酵素作用・プラークの最近に対する抗菌作用→プラーク中に潜むむし歯の原因菌が産生する酵素の働きを阻害したり、酸を産生する能力を抑制したりしてむし歯を予防します。

こういう作用によるものなのです。

いろいろなフッ素の商品については、ホームページにも多く掲載していますが、詳しくは院内でもご相談下さい。

次回から

1.フッ化物歯面塗布について 
2.フッ化物洗口について 
3.フッ化物配合歯磨剤について

の3回に分けて詳しく書いていく予定です^^